「それで、どこに行くの? 柳川おじさん」 「……氷川村だ」 おじさんじゃない、という言葉をぐっと堪えて、先を行く柳川裕也は言った。別に年齢云々ではない。いくら言っても無駄であったからだ。 「氷川村には、確かわたし達がいました。柳川さんの言う藤林椋、という人は見てないですが……」 後ろから懸念するように言うのは、宮沢有紀寧。彼女にしてみれば殺し合いに乗った人物が徘徊しているかもしれない集落にいくのはなるべく避けたいところだ。 既に柳川という屈強な盾は手に入れているのだ。方針としてはこの面子で終盤まで逃げ回り、最後に残ったグループと柳川に激突してもらい、全てが終わった後に有紀寧が止めを刺す……それが理想だ。 しかしここで意見したところで明確な反対理由もない以上あまり強くは言えない。忠告程度が関の山だろうと、有紀寧は考えていた。 それでも言わないよりはマシだろうと、一応言ってみたが、柳川はすぐさま反論する。 「お前達がそこを出たのは朝だろう? 今は昼を過ぎている。あの女は集団の中に紛れ込むのを得意としている。そして奴は集団を探すため平瀬村か、氷川村にいるに違いない。奴だけは絶対に放置しておくわけにはいかないんだ」 「それは……確かに……ですが……」 「……お前達は人が良すぎる。この島では、危険人物は排除しなければ後々面倒なことになるんだ。気は進まないかもしれないがな」 「……うん」 有紀寧も初音も、柳川の正論には頷くしか(有紀寧は演技だったが)ない。現に柏木初音の家族である柏木楓は殺され、共に行動していた長瀬祐介も殺害されている。加えて、祐介はこの殺し合いは乗っていなかったにも関わらず、というのも柳川の言葉に重さを持たせている。 まあ、初音はともかく、無闇に人を信じないという点では柳川は使えると、有紀寧は思っていたのだが。 「……もうそろそろだな。見ろ、家が見えるだろう?」 山を下ってきていたからか、あまり進んでいる感覚のなかった二人だが、木々の向こうに見える民家を見て、もう戻ってきたのか、という風に驚きの目を見せていた。 「いいか、俺から離れるな。少しでも何か気配を感じたら言え。徹底的に、だ」 凶暴な気配を見せ始めた柳川の様子に、二人は黙って頷く、というか頷くしかなかった。 「有紀寧お姉ちゃん、あれじゃあその藤林椋って人も逃げ出すんじゃないかな……何と言うか、その、オーラが」 「ええ、分かります……わたしだって逃げますね、あれは」 ひそひそと話す二人を咎めるように「何をやっている」と柳川がお叱りの言葉を飛ばす。それに素早く反応して「はいっ!」とついていく二人。 まるでカルガモの親子だった。二人とも(特に有紀寧は)不本意であったが。 そうして、氷川村の捜索は始まった。 * * * 数時間後。 結局、全くと言っていいほど成果らしき成果は得られなかった。 柳川はともかく、初音と有紀寧も与り知らぬうちに、起こった戦闘から難を逃れるために、ここにいた人物達はもう他方へと逃走していたからである。 彼らが見つけたものはといえば、民家の一つに惨たらしい姿で放置されていた天野美汐の遺体と、争いがあったことを思わせる診療所の惨状くらいであった。 しかも既に診療所からはあらかた消毒薬や包帯などの即席で使えそうな医療器具は持ち去られており、柳川達の捜索は文字通り無駄足ということになる。 荒らされた診療所の中で、柳川は一つ息をついた。 「ちっ、遅かったのか、あるいは他の奴らがやりあっていたのか……ロクに物がない」 「でも、その、誰の……もないから、誰も死ななかったんじゃ、ないかな?」 「……だと、いいがな」 癒しの地にはびこる、むせ返るような死臭に心を痛めた表情をしながら、初音は思いを馳せていた。 一体何人の人間がここで助けを求め、そして戦いに巻き込まれていったのだろうか。もしかすると、その中には耕一や梓、千鶴の姿もあったかもしれない。 そう考えると、今すぐにでも外に駆け出し、一刻も早く家族を見つけ出したい――そんな衝動に駆られるが、すぐ近くにいる有紀寧の姿がその考えを思い留まらせる。 長瀬祐介が死んで、その悲しみを受け止めてくれた有紀寧を放っておいてまで勝手な行動を取ることは、心優しい初音には出来なかった。 それに、今は親類と名乗る柳川もいる。なんだかんだ言いながらも初音を守ってくれている彼の好意を無視することもまた、初音には出来ない。 きっと、どこかで無事であるはず――そんな根拠のない憶測を、今は信じるしかなかった。 (役に立ちそうなものは、見当たりませんね。まぁ、こんな民間の医療機関に期待するのも浅はか、ですね) 一方の宮沢有紀寧は、薬だけでなく、毒薬や解毒剤のようなものがないかと、残されたビンなどを調べていた。 けれども収穫はまるでなく、あったものはといえば風邪薬や胃腸薬、そんな類のものばかりである。 ないよりはマシかとデイパックに詰め込んだものの、使う機会が想像できない。それとも、風邪を引いた人間に処方してやって、信頼度でも高めるか? 考えて、すぐにその浅はかな案を打ち消した。風邪を引くような、そんな人間はとっくに殺されているに違いない。 まあ、重荷にはならないと判断して、結局有紀寧はそのまま持っておくことにする。世の中何が役に立つか分からないものだ。 「柳川さん。そちらのほうは何かありましたか?」 「いや、目ぼしい物はなにもない。……率直に聞きたい。例えば、ここで戦闘が起こったとする。それも結構大きな騒ぎだ。その場合、逃げるとしたらどうする?」 聞いて、これは今後の指針を決める質問に違いないと、有紀寧は目を細める。さて、どう答えるべきか。 有紀寧にしてみれば今は人が少ないこの村に留まることは、安全でもないが危険なわけでもない。寧ろ危険性だけで言えばここから移動を開始する方が明らかに危険だ。 仮に動くとしても平瀬村方面に行くのは避けたいところだ。 何故なら、平瀬村に通じるルートはいくつか存在し、分岐点も多い。即ち人の往来もまた多い、ということだからだ。 現状のメンバーだけで十分だと考えている有紀寧にはこれ以上の接触は困る。動くにしても、人がいなさそうな方向へ上手く誘導できればいい。 少し考えて、有紀寧は口を開く。 「……わたしなら、東の方角に逃げます。人が多いところで襲われたのなら、また人が多い村の方面に行こうとは思わないので…… ですが、もし一人だったとしたら、一人で行動するのも危険ですし、不安になります。 ですから、そんなに目立たないところで、でも少しくらいなら人がいそうなところ……例えば、灯台とか、神社とかに行きます。 事実、わたしはそう考えて神社の方へと向けて北上していましたから」 ふむ、と柳川は眼鏡の微妙なズレを直しながら、有紀寧の意見について考えているようであった。 「成程な」 柳川が尋ねたのは、実質藤林椋がどこに逃げるだろうかということについて他ならない。見たところ大した力もなさそうな宮沢有紀寧とは、ある意味で同種だと考えたからだ。 集団に襲われたら逃げ切れる確率は低くなる、が一人くらいなら振り切れる可能性は高い。共に行動するにしても大人数よりは少人数の方が裏切られる可能性は少なくなる……藤林椋も、そう考えるだろう。『微妙に人間がいそうな方向に逃げる』とはそういうことだ。 結論を出した柳川は、こう告げた。 「灯台の方向へ向かおう。神社から下ってきて、誰とも会わなかった……なら、誰かいるとすればそこかもしれない。少々遠いが、そっちはまだ大丈夫なのか。もう夜近くなっているが」 「まあ、そこに行けるくらいには……」 「有紀寧お姉ちゃんが大丈夫なら、私も大丈夫だよ」 賛同を得る事が出来た柳川は、満足したように頷いて歩き出した。か弱そうに見えるが、案外タフであることが分かってきたのは、柳川にとっても嬉しいことであったからだ。まあ、やや平和主義者に見えるのはいかんともしがたいところではあるが―― そう思いながら診療所から一歩、外に出たとき。 遠目ながら、柳川はある集団が歩いてくるのを目にする。 普段の柳川であれば、少々警戒しつつそちらに接触しようと考えたことだろう。 だが、このときばかりは違った。柳川の記憶に新しい、あの倉田佐祐理を殺害した人物、まさにそれが集団の中心にいたからだ。 「あの女……! ぬけぬけと……!」 柳川を理解してくれていた、数少ない人間――それを殺した人物を、柳川は許すつもりは、毛頭なかった。 怒りを殺気に変えながら、柳川は、走り出す。 その背中に、彼の突然の行動に動転した宮沢有紀寧と柏木初音の声がかかる。 「や、柳川さん!? どうしたんですか!?」 「あいつを……藤林椋を見つけたっ! お前らは診療所にいろ! すぐにカタをつける!」 「待って! お、おじさん!」 追いかけようとした初音を、有紀寧が押しとどめる。 「有紀寧お姉ちゃん?」 「初音さんは、危ないですから隠れててください。わたしが柳川さんを追いかけます」 「で、でも」 「大丈夫です、すぐに戻ります。初音さんを、一人にはしませんから」 にこっ、と微笑むと、有紀寧も柳川の背を追って走り出した。 一人にはしない――その言葉を受けた初音が動くことは、できなかった。 * * * その男が溢れんばかりの殺気をむき出しにしながらこちらへと走ってくるのに、祐一達もまた動転していた。 何せ村に入った瞬間いきなりこちらに向かってきたのである。 「お、おい、あいつは前に会ったことがあるんだが、何だよありゃ!? なんか銃構えてるぞ!」 「……なんか知らんが、とりあえず観鈴と川名、藤林は後ろに下がってろ! 俺と浩之で前に出るぞ!」 「お、おう!」 手で下がらせるようにしながら、祐一がワルサーP5を、浩之が包丁を持って備える。 「あ、ああ、あの人!」 後ろに下がった椋が、怯えたような声を上げる。「ど、どうしたの?」と観鈴が聞く。 「き、気をつけてください! あ、あの人、殺し合いに乗ってるんです! 前に一度襲われたことがあって――」 椋が言いかけている途中で、柳川が叫んだ。 「そこをどけっ! 後ろにいる女は、殺し合いに乗っている! そいつのせいで――」 「倉田佐祐理が殺されたんだっ!」「倉田佐祐理さんが、殺されたんです!」 まるで示し合わせたかのように、二人が、佐祐理の死を告げた。しかし相反する物言いに、観鈴は「え?」と混乱するばかり。 みさきと浩之は困惑したように顔を見合わせる。 「ひ、浩之君、あの人は……」 「確か、前に会ったはずだが……全然様子が違う。楓とかいう女の子のために泣いてた、あの時とはな……嘘、だったのかよ?」 「そんな……あの涙が、嘘だったなんて、思えないよ」 「俺もそう思うが……けど、別れてから大分経つし……くそっ、判断できねえ」 二人が思案している中、ただ一人、祐一だけは違った。 真実を知っているわけではない。『倉田佐祐理の死』を知らされたことが、そして同時に『二人のうちどちらかが嘘をついている』ことが怒りを呼び、彼の頭を真っ白に消去していく。 「お前……それは、どういう事だっ! 佐祐理さんが、殺されたっていうのかよ!」 祐一の怒りは、柳川に向けられた。ワルサーP5の銃口が、真っ直ぐに、しかし若干震えながら、柳川の胴体を捉えている。 「……そうだ。残念ながらな。だがやったのは俺じゃない、やったのは、今まさに嘘をついているあの女だ!」 柳川の指差した先。そこにいる椋が、「ひっ」と短い悲鳴を上げる。祐一の鋭い視線が、今度はそちらに向けられる。 「そ、そんな、わたし嘘なんかついてません! 殺したのはこの人です! 本当に殺されそうになったんです!」 「貴様、まだ口から出任せを……! どけ! 邪魔さえしなければ手出しはしない! こいつは嘘をついて内からお前らを殺そうとしている!」 「信じて下さい! みなさん、わたし殺してなんかないんです!」 涙を浮かべ、必死に無実訴える椋の顔と、悪鬼ともとれる柳川の形相。 「悪いが……俺はあんたを信じない。いきなりやってきて、佐祐理さんを殺したって……ふざけるなよ、佐祐理さんはこんな殺し合いを望むような人じゃない。藤林だってそんなことをするような人間じゃない。どう見ても、罪を擦り付けようとしているのはアンタだっ!」 「待て祐一! 俺とあの人は前に会ったことがある。その時は殺し合いに乗ってるようには見えなかったんだ! 早まるな!」 押し留めようとする浩之だが、祐一はそれがどうしたと反論する。 「前は前だろっ!? 心変わりするなんていくらでもある事じゃないか! 俺はそのせいで何度も裏切られて、こんな目に遭ってきたんだ! それとも浩之、お前は藤林が殺し合いに乗った奴に見えるのか!?」 「それは……そうだが……」 「俺だって殺し合いはしたくない。だからアンタ、今回は見逃してやる。さっさとどっかに行けよ。俺だけは、アンタが信用できないからな」 再び、祐一は銃口を柳川に向ける。今まで朝霧麻亜子や向坂雄二など、幾度となく裏切りの様子を目の当たりにしていたことと、これ以上仲間を犠牲にしたくないと思いつめていた祐一は、気が昂ぶっていた。メンバーの中でまともに戦えるのが祐一だけだというのも、それに拍車をかけていた。だが…… 「断る。藤林椋、貴様を放置しておいては災いの種になる。悪いことは言わない、後悔したくなければどいていろ。邪魔をするというのなら……貴様らも殺す」 ゆっくりと、柳川はそう告げる。その目は脅しなどではなく、本気だった。 それがかえって、浩之とみさき(みさきは雰囲気で感じ取っていた)の疑心を刺激する。 少なくとも、あの時の柳川ならこんな言葉は言わなかっただろうからだ。 柳川から見れば数少ない理解者であった佐祐理を殺害し、卑怯な手口で殺害して回る椋をここで逃がすわけにはいかない。退けないのは当然の心理である。 本人は気付いていないが、それほどまでに佐祐理は柳川の心の大部分を占めていたのだ。それを切実に訴えれば、あるいは祐一の心を動かせたかもしれない。 しかし、不幸なことに、柳川はそのような会話が苦手であった。だからこそ、今まで佐祐理がフォローしていたのは大きかった。 それを説明する術を、今は持たない。 そしてそんなことを知らぬ浩之やみさきからとってみれば、祐一の言うとおり、心変わりしたとしても納得がいく。今までの放送で『願いを叶える』などという言葉も出ている。あるいはそれを信じてしまったのかもしれない……そんな考えさえ浮かぶほどに。 急速に、天秤は椋の方向へと傾きつつあった。言葉の選び方、一つで。 「そうはいかない。こっちにだって守りたいものがあるんだよ……お前こそ、後悔したくなければどっか行けよ」 「……そうか、なら、もういい。忠告はしたぞ」 柳川が身構えるのに合わせて、祐一も身構える。浩之とみさき、観鈴は未だどうするか迷っているようだった。 それを知っている祐一は、意識を柳川に向けたまま浩之たちに告げる。 「浩之、お前は観鈴達を連れて逃げろ。どうせその様子じゃ戦ってもすぐに倒されそうだしな」 「祐一……おい、その言い方は」 「まだ迷ってんだろ? ……悪いが、どうしても俺はあいつを信じる気にはなれない。だから時間稼ぎだ。安全なところに逃がすまで、俺が時間を稼ぐ」 迷っていることを言い当てられ、浩之は苦虫を噛み潰したような表情になる。祐一は少し笑みを漏らしながら、続けた。 「少しはカッコつけさせろよ」 浩之は、もう何も言えなかった。躊躇いがちに頷き、残りのメンバーを誘導する。 「浩之君……」 「逃げるぞ。時間はかけたくない。走れるか、観鈴」 「う、うん。少しなら……でも……」 祐一の方を気にしている観鈴であったが、割り込める雰囲気でないというのは、観鈴自身が十分に理解していた。 少し間を置いて、やがて、意を決したように「ううん、大丈夫。藤林さんは、観鈴ちんが守るから!」と意気込んで、その手を取る。 椋はまだ柳川に怯えているようであったが、それでも、その手をしっかりと握り返す。 「逃がすと思うか」 逃げ出そうとする雰囲気を察知した柳川が、動き出す前にコルト・ディテクティブスペシャルを構える。 しかしそれより早く動いていたのは祐一だった。 「こっちの台詞だ!」 当身を喰らわせ、そのままごろごろと柳川と共に転がる祐一。 柳川の凶暴な気配が滲み出ていたこと、そして戦闘経験を積んでいたからこそ、出来たことである。 「……! 邪魔をするな!」 しかし流石は鬼の一族の末裔とも言うべき柳川である。圧し掛かられていたにも関わらず、体のバネ一つで祐一を押し戻す。 押し戻された祐一は転がりつつ、素早く体勢を立て直す。横目で、浩之達が無事に逃げて行くのを確認しながら。 幸いにして、既に拳銃では届きそうもない距離まで、逃げ切っているようだった。 自分の反射神経もまだまだ捨てたものじゃないな、と祐一は心中で笑う。 この場に残されたのは、柳川と祐一の二人のみ。二人の手には、それぞれ一丁の拳銃。 距離は約4メートル程。撃つも殴るも、微妙な距離である。まさに一瞬の判断が命取りになりそうであった。 「貴様……これが最後だ。ここを通せ。これだけ言っても分からないか」 「やなこった。力づくで通ってみろよ」 「ならば、押し通るまでだ!」 踏み込んだのは柳川だった。格闘戦に持ち込もうというのだろう。その瞬発力、そして二の腕から繰り出される速さと重さを併せ持つ拳が祐一に迫る。 祐一はワルサーP5を持ち上げることも、殴りかかることもしなかった。 大きくバックステップしながら、器用に空中でデイパックを開き、もう一つの武器を取り出し、持つ。 「うらぁっ!」 「む!」 それは包丁だった。踏み込んだ直後の柳川に向けて斬り付けるが、軽々と躱した柳川は舌打ちをしながら自らも出刃包丁を取り出す。 すぐに追撃を仕掛けてくるだろうと踏んでの行動だったが、果たしてそれは正しかった。続けざまに伸ばされる包丁を、柳川が弾いて止める。 「甘い」 「……っ!?」 攻撃の方向を逸らされたかと思った瞬間、繰り出された蹴りが祐一の横腹を裂く。 横倒しになると同時に、柳川がディテクティブスペシャルを構える。しかし祐一とて何もしないわけではなかった。 撃たれるのを覚悟で、祐一も倒れたままワルサーP5を向ける。今更回避行動をとっても遅いという判断だった。 もっとも、半ば仲間の為に死んでも戦うという思いがあったというのもあるのだが。 だが、この時は運命の女神が悪戯でもしたのだろうか。ワルサーを向けられたことに少し動揺し、僅かながらに逸れた柳川の銃口が、そして遮二無二向けた祐一の銃口は―― 「うお!?」 「ぐっ……!」 それぞれのもう一つの得物、即ちお互いの包丁の刃を貫き、見事にそれぞれの刀身を粉砕していた。 驚きながらも、祐一は銃弾に当たらなかったということを認識し、距離を取るように立ち上がる。 それと同時、祐一の倒れていた場所に銃弾が突き刺さっていた。冷や汗を感じつつ、祐一も下がりながら発砲する。 こちらも軽々と躱されたが、動きを止めるには十分であった。 さらに一発発砲して、木々の間へと隠れる。 「クソッ、残り何発だ……?」 一々マガジンを取り出して確認している暇はない。が、多く見積もって1、2発というところだろう。以前の戦闘でも何発か発砲していたのだから。 柳川も無駄撃ちを避けているのか、これ以上の発砲をしようとしない。 暫くの膠着。それは時間にすれば十秒と満たない間だった。 残り少ない弾薬で導き出す勝利の策。それを考え出した祐一が、飛び出る。 だが、それを待っていたかのように、柳川の銃口が祐一にロック・オンされる。 「迂闊だ!」 「そうかよ!」 ロック・オンされたと同時。絶妙のタイミングで、祐一は柳川の真正面に向かって、着ていた制服を、視界を遮るように投げ入れる。 これが祐一の作戦だった。 視界を遮られ、何も見えなくては照準を定めることなど出来はしない。頭は狙いを変えようと、体の動きを変えろと命令を下すはず。 しかし人間の体はそう都合よく出来てはいない。続けざまに命令を与えられ、混乱した体は僅かな間であろうとも、動きを止めるだろう。 そこを、俺の銃弾が仕留める――! ……そのはずだった。 真横に飛んで、硬直した『はず』の柳川がいる場所。そこでは、 「だから、迂闊だと言った」 まるで何事も無かったかのように、柳川の銃口が、祐一に向けられていたのだ。 何故だ、と呆気に取られると同時に、どん、どん、どん、と、音と同時に、祐一の体が小刻みに揺れた。 手から、するりとワルサーが抜け落ちる。 ああ、駄目だ。手放しては駄目だ。 あれが無ければ、俺は、皆を、守れない―― 完全にワルサーが祐一の手から離れ、それに連動するかのように、彼の意識は、途絶えた。 「……所詮、お前では『鬼』は殺せない。いや、殺すつもりもなかったかもしれんがな」 目を見開いたまま赤い水溜りを広げていく祐一を見下しながら、柳川はそう言った。 所詮は素人の考えだ。 何度か運に助けられたからといって、それで勝てると思い込む。 殺し合いで運を信用してはならないのに。 結局は、場数を踏み、より実戦慣れしている俺が勝った。 ――つまらないな。 ふぅ、と一つ息をつき、戦利品のワルサーP5を拾い上げたとき、一つ、声が登場した。 「やはり、貴方はそういう人だったんですね、柳川裕也さん」 「宮沢……か?」 振り返った先で、気味の悪い、蔑んだような笑顔を浮かべながら立っていたのは、宮沢有紀寧だった。 わずかに不快感と、その言葉の意味を尋ねて、柳川が喋る。 「どういう事だ」 「分かりませんか?」 相変わらず嘲笑するような笑みの有紀寧に眉を顰めて柳川が返事を返す。 すると有紀寧は、やれやれ、と物分りの悪い子供に言うように肩をすくめる。 「ですから、貴方はやはり殺人を楽しむような、そんな人間だったという事です」 「何だと」 「違いますか?」 今までとは明らかに違う有紀寧の雰囲気に敵意を持ち始めながらも、柳川は殺人鬼と形容する有紀寧の言葉を否定しようとする。 だが有紀寧は何を今更、と言わんばかりの表情で、 「わたしはずっとあの様子を眺めていましたが……あれは明らかに暴力に訴えていたじゃないですか。何故話し合いをしようと思わなかったんです?」 「話し合いも何もない。奴は殺し合いには乗っていないと嘘を吐き、卑怯にも倉田を殺した、そんな奴だ。生かす理由が無い」 「では、藤林椋、という人とやらが本当にその倉田さんを殺した証拠でもあるんですか? ここに来るまでにその話を聞いてましたが、貴方の話を聞いている限り、戻ってきたときには殺されていた、それだけでしょう? 本当に彼女が殺したかどうかなんて、分からないじゃないですか」 「だがそれなら俺がいくら探しても出てこなかったのは何故だ。奴が殺し合いに乗っていることの証拠だ」 「そうでしょうか? 襲いかかる真犯人から逃げるために、そうせざるを得なくなったのかもしれないかもしれません。確かな証拠がない以上、柳川さんの言っていることは憶測なんですよ」 「……何が言いたい」 回りくどい言い方に痺れを切らした柳川は、トーンを上げながら真意を尋ねる。 せっかちですね、と全く調子を変えぬまま、有紀寧は続ける。 「つまり、貴方は倉田佐祐理さんの死を免罪符にして、殺し合いを楽しんでいる。別に犯人が誰かなんて関係ないんです。ただ殺し合いを正当化する理由を求めていただけなんですよ」 「ふざけるなっ! そんな事が」 「違うとでも? では何故そこの男の子を殺したんですか」 「何を……藤林椋を追いかけるのを、妨害したからに決まっている」 「だからといって、殺す必要性はありましたか? 見たところ実力差ははっきりしているようでしたし、戦闘不能に持ち込むくらいは容易いはずでした。 なのに貴方は無常にも殺した。それも銃弾を三発も撃って。そして極めつけは、『つまらないな』ですか。 そもそも、本当に藤林椋さんを殺したいだけならさっさと戦闘を切り上げて追いかければよかったんです。 なのに貴方は戦闘に拘った。本当に、ええ、本当に楽しそうな表情でしたよ、殺し合いを楽しむ貴方の顔は」 殺し合いを楽しむ、そう言った有紀寧の顔には見下すような色が篭められている。 有紀寧は決して糾弾しているわけではない。 ただ、殺し合いに抗うと言った人間が殺し合いを楽しんでいる、その姿が浅ましいように見えたのだ。 ――もっとも、目的は別にあったが。 一方、まったくの正論に、柳川は言葉を返せない。確かに、方法論としてはそうするべきだった。だが、それでも、まだ否定しなければならない部分がある。 「……お前の言う事も一理ある。だが、俺は殺し合いを楽しんでなどいない! それは事実だ!」 「は、まだ言いますか? まったく、貴方の偽善者ぶりには呆れます」 侮蔑したように言う有紀寧だが、「どうしてそんな倫理にこだわっているのですか?」と、まるでうってかわったように優しい口調に変わる。 「貴方は殺人に快楽を求める人間なんですよ。とどめを刺したときの貴方の顔を見ていれば分かります。 ですが、それがどうしたんですか? 楽しめばいいじゃないですか。 ここは殺戮が許される場所……いくら人を殺したって、裁かれることはないんです。 本能のままに身を任せ、存分に殺しあえばいいんですよ。本当は、他人なんてどうでもいいんでしょう? まあ、家族くらいは別でしょうが……人を殺す理由が欲しいんですよね?」 ゆっくりと柳川に向かって歩きながら、全てを受け入れるかのような有紀寧の言葉に、今度は否定の言葉を返すことができなかった。 そう、ここに来るまで、柳川は日々苛む殺人の衝動に耐え、それでも耐え切れずに何人もの人間を殺害している。 しかしそれは鬼の本能のせいだ。ここに来て以来、殺人を自発的にしようとは、思わなくなっているではないか。 これが本来の柳川だ。そんな、血を好むような、悪しき人間であるはずなどが、ない。 「――違う!」 だから、理由などなくてもいい。柳川は、否定し続けることを選んだ。 自分は、決して殺人鬼――いや、快楽殺人鬼などではないと。 「俺は、そんな人間ではない! 誰が、何と言おうと……! だから、俺は、貴様を否定する……!」 ワルサーP5を、有紀寧へと向ける。ディテクティブスペシャルは既に弾切れだった。 何発入っているかは分からないが、目の前に立ちはだかり、誘惑したこの悪魔を斃すには十分だろう。 ご丁寧に近づいてきてくれたお陰で、この近距離だ。避けられるわけがない。 けれども、有紀寧は焦るどころか、苦笑いを浮かべ、余裕綽々という風に首を振った。 「全く、偽善者というものは度し難いですね……でも、貴方にわたしは殺せませんよ?」 「は、貴様は死なないとでも言うのか」 「まあ、違いますけど。正確には、貴方の家族が死んでしまう、ですかね」 「……何?」 「見てください」 そう言うなり、有紀寧がポケットから粉末のようなものを取り出す。 それを軽薄に、さらさらと揺らしながら、有紀寧は言う。 「これは遅効性の毒……支給品な訳ですが、ということは当然、解毒剤もある訳ですよね? さて、毒は誰に使ったと思います?」 「……! 貴様、初音に――」 「ええ、まあ。貴方が走り出した直後くらいにですが。もって24時間というところでしょうか。勘のいい貴方なら、もうわたしの言いたいことは分かりますよね?」 「……」 「解毒剤はわたしにしか分からないところに隠しました。つまり、わたしの命は初音さんの命という事です。この場でわたしを殺しても構いませんが、大切な家族の初音さんを見殺しにはできないですよね? ああ、それとも『偽善者』なんですからやはりわたしを殺しますか? いえ、『殺人鬼』でしょうか?」 「……何人だ」 「ふふ、物分かりがいいですね。取り敢えず貴方はとても強そうですから、5人程お願いしますね。ああ、それと――」 カチッ、と音が鳴った。続いて、柳川の首輪が赤く点滅を始める。 何事かと有紀寧を睨み付ける柳川に、ひらひらとリモコンを取り出しながら有紀寧は告げる。 「今、24時間後に首輪爆弾を作動させるリモコンのスイッチを押しました。当然解除方法はわたししか知りません。下手なこと、しようなんて思わないでくださいね?」 ギリッ、と歯噛みし、己の不覚を恥じながら、柳川は一つ尋ねる。 「……ということは、当然これは――」 「ええ、初音さんにも作動させてあります。解毒剤だけ見つけても無駄だということですよ。分かりましたか?」 「貴様……」 「殺したいですか? そうでしょうとも、殺人鬼なんですから、貴方は。さ、早く行った方がいいですよ。時間は、待ってくれませんからね」 己の絶対優位を確信した有紀寧が、暢気に空を見つめる。 まったく、柳川裕也も甘い人間だ。 本当は毒なんて嘘で、首輪爆弾も実際には初音には起動していないというのに。 それこそ確証のないことを信じる柳川という人間は、やはり救えない、と有紀寧は思っていた。 柳川は血がでそうなくらいに拳を握り締めながら、聞く。 「く……一つ、最後に一つ、聞きたい。貴様……殺し合いに、乗っているんだな?」 すると有紀寧は、何を当たり前のことを、と言って、続ける。 「ええ、そうですが? これで乗っていなければそれこそジョークです」 「……だろうな。何故、乗った」 答えるのも面倒臭そうな様子で、有紀寧は返答する。 「決まってますよ。……死にたくないからです」 その一言で、柳川は言うか言わまいか決めかねていた言葉を、発する。 「なら、決まりだ。貴様は……必ず、殺す」 「……楽しみにしていますよ、柳川さん」 背を向ける柳川に向ける有紀寧の視線は、また蔑むようなそれへと戻っていた。 * * * 「もう、ここまで来れば……!」 祐一と柳川のいる場所から少し離れた、民家の影。大きく息をついている三人を見ながら、浩之はそう言った。 背後には、柳川の気配はない。ということは、祐一の足止めは成功しているということだ。それは彼が未だに戦い続けているということでもあったが。 「……」 それも理解している以上、このまま突っ立っているわけにはいかない。デイパックから武器になりそうなものを取り出し、元いた方向へ一歩を踏み出そうとした浩之の裾を、みさきの手が掴む。 「浩之君……」 不安に震える、みさきの腕。あまりに切実な感情。だが、それでも、浩之は優しくみさきの手を解かねばならなかった。 「みさき。俺は、祐一の助けに行かなきゃいけない。あいつを助けてやれるのは、俺だけなんだ」 「……悔しいよ」 違う。みさきの手は、不安で震えてなどいなかった。 「目が、見えてれば、良かったのに」 「……」 「みさきさん……」 観鈴と椋が、複雑な表情を浮かべる。その心中は、察するにあまりあるものだった。 「我侭だよね。……ごめんなさい、浩之君」 「……みさきにだって、守れるものはあるさ。安心だ。みさきがいるだけで、俺は安心できる。だから、待っててくれよ、笑顔で戻ってこれるようにさ」 肩を叩きながら、浩之は笑う。その雰囲気を感じ取ったのか、みさきも笑った。 「行って来る。観鈴、二人を頼むぜ」 「う、うんっ。観鈴ちん、ふぁいとっ」 「頑張ってね、浩之君」 「……おう!」 最後に、かけられたその声に、力を貰ったように、浩之は駆け出し、あっという間にその背中は小さくなっていった。 二人が、その背をいつまでも見つめている間に、もぞもぞと動く人間が、一人だけいた。 「浩之君、大丈夫、だよね?」 「大丈夫だよ。うん、心配しなくても浩之くんは大丈夫。強いし、丈夫そう。にはは」 観鈴の笑い声に釣られるようにして、みさきも笑う。 「みさきさん、やっぱり笑ってた方が可愛いよ。その方が、浩之くんも喜んでくれるよ」 「……? どうして、浩之君の名前が出てくるの?」 「えっ? だってみさきさん、浩之くんの彼女さんじゃないの?」 「え……そ、それって……ち、違うよ〜、私と浩之君は、別に……」 顔を真っ赤にして、俯くみさきだが、遠慮を知らぬ観鈴は追い討ちをかける。 「違うの? でも、好きなんだよね、みさきさん」 「それは、えーと、その……」 ごにょごにょとどもるみさき。観鈴は返事を待っているのか、何も尋ねてこない。 しばらく悩んで、同性の観鈴になら、と意を決したみさきが、顔を上げる。 「……うん、その、好き……だけど」 ……が、観鈴から返事はない。いつまで待っても、返事はない。 「あの、観鈴ちゃ――」 ガツン、と、何かで強烈に頭を叩かれる。そんな感覚がして、平衡感覚を失ったみさきが倒れる。 同時に、べちゃ、という何か生ぬるい液体に触れた感覚が伝わった。 何だろう、この生ぬるい液体は。 「……やっぱり、これくらいじゃまだ死なないんですね」 そんな風に考えるみさきの頭上から、ひどく冷たい声が降りかかった。 「椋、ちゃん?」 「うん、やっぱりあなた達、邪魔です。死んでください」 理解できなかった。この声は、確かに藤林椋のそれだ。 殺し合いなどとても望んでいるとは思えない、椋の声そのものだ。なのに、何故、あんなことを言っているのか。 混乱するみさきに、更に声がかかる。 「ですけど、せめて楽に殺してあげます。観鈴さんのようにすぐに楽になりますから、安心してください」 「――え? 観鈴ちゃんが、あなたに」 それがみさきの言いえた、最後の『まともな』言葉だった。 腕にチクリとしたものが走ったかと思った瞬間、猛烈な吐き気――いや、苦しみがみさきを襲う。 「あ、あ、あああ、か……!」 声にならない声を上げながら、血溜まりの中をのたうち、みさきは苦しむ。 命が吸い取られていく感覚の中で、彼女は彼女のもっとも大切な存在へと、手を伸ばす。 浩之君、浩之君、浩之君! 助けて、苦しい、苦しい、苦しいよ……! ひろゆきくん、たすけ…… 「――」 思いすら、最後まで言い切れないままに――川名みさき。神尾観鈴は、裏切った藤林椋の前で、無残に死んだ。 「……ふぅ。一時は、どうなることかと思いましたけど」 みさきが完全に死ぬのを確認した椋は、額についた汗を拭いながら己の幸運を噛みしめる。 演技が功を奏したらしく、この連中は椋の言葉を信じてくれた。 お陰で、柳川から逃げることができたし、また二人も殺せた。 それに柳川は強敵だ。相沢祐一はともかく、藤田浩之も無事では済まないだろう。いやこのまま死んでくれるのが望ましい。 ともかく、ここからは離れよう。 デイパックから使えそうなものを奪取し、観鈴殺害に使った包丁を引き抜こうとする。 「ん〜……!」 が、体に深々と突き刺さり、心臓まで貫いている包丁を抜くことは出来なかった。伝説の勇者でもないと無理だろう。ああ一般人は切ないです。 「まあ、いいです。包丁くらい」 それよりも一番の収穫は参加者の人数が分かるという道具。 結局どれかははっきりしなかったが、このフラッシュメモリが怪しい。 パソコンに繋げば、結果は分かる。 楽しみで仕方なかった。早く、早く姉の居場所を知りたい。 荷物を仕舞った椋は、ふんふんと鼻歌を鳴らしながら、その場を後にした。 * * * 「……クソッ、一歩、遅かったってのかよ」 立ち尽くす浩之の前には、相沢祐一だった男の遺体が転がっている。 無念を押さえきれぬかのように、目が見開かれている。 既に、この場には誰の姿もなかった。あの男は、今も椋を探して走り回っているのだろうか。 戻らなければならないと思いつつ、それでも祐一をそのままにしておくことができずに、浩之は祐一の体を整えなおし、目を閉じてやった。 敵を、とってやると心に誓って。 「祐一、やっぱ、俺は間違っていたのか……?」 そう呟く浩之の耳に、ひどく不快な雑音が響いてきた。 それは、放送―― 新たな絶望の火を灯す、悪夢の時間だった。 【時間:二日目18:00】 【場所:I-6】 【当面の目的:聖を連れ帰る】 藤田浩之 【所持品:珊瑚メモ、包丁、殺虫剤、火炎瓶】 【状態:呆然。守る覚悟。腹部に数度に渡る重大な打撲(手当て済み)】 相沢祐一 【持ち物:支給品一式】 【状態:死亡】 【時間:二日目18:00前】 【場所:I-6、南部】 藤林椋 【持ち物:ベネリM3(7/7)、100円ライター、包丁、参加者の写真つきデータファイル(内容は名前と顔写真のみ)、フラッシュメモリ(パスワード解除)、支給品一式(食料と水三日分。佐祐理のものを足した)、救急箱、二連式デリンジャー(残弾2発)、吹き矢セット(青×5:麻酔薬、赤×1:即効性の猛毒、黄×3:効能不明)】 【状態:マーダー。上機嫌。左腕を怪我(治療済み)、姉を探しつつパーティに紛れ込み隙を見て攻撃する】 川名みさき 【所持品:包丁、ぼこぼこのフライパン、支給品一式、その他缶詰など】 【状態:死亡】 神尾観鈴 【持ち物:なし】 【状態:死亡】 【時間:二日目18:00前】 【場所:I-7、北西部】 宮沢有紀寧 【所持品:コルト・パイソン(6/6)、予備弾×19、包帯、消毒液、スイッチ(4/6)、ゴルフクラブ、ノートパソコン、風邪薬、胃腸薬、支給品一式】 【状態:前腕軽傷(完治)、強い駒を隷属させる(基本的に終盤になるまでは善人を装う)、柳川を『盾』と見なす】 柏木初音 【所持品:フライパン、懐中電灯、ロウソク×4、イボつき軍手、折りたたみ傘、鋸、支給品一式】 【状態:柳川おじさんに少しなついた。目標は姉、耕一を探すこと】 柳川祐也 【所持品:ワルサーP5(3/8)、コルト・ディテクティブスペシャル(0/6)、支給品一式×2】 【状態:左肩と脇腹の治療は完了、ほぼ回復。椋を見つけ出して殺害する。他の参加者を五名殺害する】 【備考:初音が遅効性の毒にかかっていることと首輪爆弾のカウントに入っていることを信じている(実際は嘘)】 【備考2:柳川の首輪爆弾のカウントは残り24時間】 【その他:有紀寧のコルトパイソンは初音には存在を知らせてない。スイッチも同様】 - ←PREV BACK