儚くも永久のカナシ (後編)






「……英二」
「やあ、リサ君」

 疲れた、ただ疲れきった、そんな表情で英二がリサを出迎える。
 周りには一人の人間の体がうつ伏せに転がっており、恐らくは遺体なのだろうと判別できる。
 そして英二自身は車に背中を預けるようにしてもたれかかり、座っている。

 見た感じではどこからも出血はしていなさそうだが、ひどくぐったりとしていることからダメージは大きいらしい。
 いや、単にそれだけではないだろう。英二がひとりでいるということは、
 ひとつ失われてしまったものがあるということだった。

「……栞君は、残念だが、恐らく……」
「……そう」

 暗澹とした思いがリサを包み込む。いざこうして言葉で受け止めてみると辛い。
 間に合わなかったという後悔が胸を軋ませる。肌にかかる雨が冷たくなったように感じられた。
 結局言えなかった。家族のように大切に思っていたのだということも、
 もし帰れたら一緒に暮らしてみないかという提案も……全てが遅きに過ぎた。

「ボロボロだな、君は。だが、強くなった。そんな目をしているよ」
「そうかしら……? 英二は優しくなった気がする、そんな目よ」
「お互い、何か踏ん切りがついたようだな」

 そうらしいと微笑しながらも、それを伝えられる相手がひとりいなくなったしまったことを認識する。
 追いつく前に、肩を並べる前に栞は遥か遠くに行ってしまった。悲しさよりも寂しさの方が先に突き上げる。
 逆に言えばまだそれだけの関係でしかなかったということで、本当に取り返しがつかなくなったなとリサは思う。

 だがこうして自分も英二も生きている。この感情を共有できる相手がいる。それだけでマシなのかもしれない。
 そう考えてリサは英二に手を伸ばした。

「行きましょう。栞の最後、見届ける義務があるわ、私達には」
「……ああ。多分、栞君は診療所の近くにいたはずだ。そこで別れたからな」

 リサの手を支えにして英二はゆっくりと立ち上がった。その傍らの遺体には一丁の銃……P−90が落ちている。
 ついでに拾おうかと思ったが、英二がそれを阻む。

「弾は入ってない。予備弾もなかった。……武器はそれだけだった」

 どうやら調べはついていたらしい。あの車はまだ使えるだろうかと次に考えたが、歩いていく方が早いだろうし、
 今は車を走らせられる気分じゃない。栞の本当の最期を見届けたら調べようとだけリサは考えて英二の横に並んで歩き出した。

「ねえ、英二」
「ん?」
「以前レストランとかお酒なら話せる、って言ってたわよね」
「ああ……そうだな、それなりには」

 よかった、とリサは柔らかく微笑する。英二はというとまったく脈絡のない話題に目をしばたかせ、
 何を企んでいるんだという風に首をかしげている。別に他意なんてないのに。内心にため息を吐きながら続ける。

「私とディナーの約束をしてくれないかしら? お店は貴方に任せるわ」
「は? おいおい、何をいきなり」
「私じゃ不満?」
「そういうことではないが……」

 ここの殺伐とした雰囲気とはあまりに場違いな提案に戸惑っているのか、英二は考えあぐねているようだった。
 自分も口には出してみたものの実におかしなことを言っていると思う。
 そもそも生きて帰れるかさえ分からない状況で、今は仲間の死を確認しに行っているというのに。
 不謹慎だと思う一方、やりたいようにやればいいと思う自分もいる。後悔だけはしたくない。それは本心だったから。

「一度貴方とゆっくり話してみたいのよ。落ち着いた場所で、じっくりとね」
「……ふむ」

 英二は眼鏡を直し、まじまじとリサを見つめる。あまりにも真剣な目で見るので気恥ずかしいとも思ったが、
 じっと英二の答えを待つ。せかすつもりもない。思うに任せてやったことなのだから。

「了解だ。こんな美人の誘いをお断りするなど男のすることじゃない」
「光栄ね。褒め言葉と受け取っておくわ」
「あまり期待はするなよ、僕だってそんなに詳しいわけでもないからな……ん?」

 英二が声を上げたのと同時にリサも発見する。
 診療所の近くには『三人』の人間がいた。ただし一人はうつ伏せに、一人は壁にもたれて座りながら、
 そしてもう一人は様子を確かめるように倒れた二人の体を触っていた。

 髪型は栞に似ていて少しドキリとしたリサだったが服装が明らかに違う。
 そしてあの戦々恐々とした様子は、今しがたこの現場を発見したというところだろう。
 何にせよ、このまま好き勝手に仲間の遺体を弄らせるわけにもいかない。そのために自分達はやってきたのだ。

「そこの子、ちょっといいかしら」
「!? は、はいっ!?」

 思い切り動揺した裏声で応じられる。どうやらこちらの存在にも今気付いたらしく、リサと英二は顔を見合わせる。
 取り合えず敵意はないというように手を上げながら二人は近づく。

「この子はね、僕達の仲間だった子だ。……ちょっと悪いけど、席を外してもらえないか」
「え、え、は、はぃ……」

 緊張しながらも素直に言葉に従い距離をとってくれたが、どこか挙動がおかしい。
 常に視線を動かし、まるで何かに怯えているようだ。探ってみる必要性があると考えたリサは栞に近づくと、
 その額を撫でて、持っていたM4を取るとそれで別れの儀式を済ませる。
 僅かに温かさを感じる。最後に残した栞の余熱を覚えて、リサは立ち上がった。

「それだけでいいのか?」
「いいの。……それより、あの子、おかしい」
「おかしい?」
「何か落ち着きがない。それに見て、あの首輪。何かチカチカ点滅してる。……柳川と会ったときもそうだった」
「トラブルがあるということか。確かに、ここにあんな子が一人でいるというのもおかしな話だ」

 任せたという風に頷き、英二は荷物の回収を始める。栞への別れは後でするつもりなのだろう。
 或いはもう心中で終えているのかもしれないと思いながら、リサは「さて」と話をする相手を切り替える。
 わけありと見るのが妥当なところだ。……ひょっとすると、柳川のことも少しは分かるかもしれないと思いながら話しかける。

「自己紹介しないかしら? 私はリサ……で、あっちにいるのが緒方英二。貴女の名前は?」
「ふ、藤林……椋、です」
「なるほど、じゃあ藤林さん? ……その首輪について聞かせてくれないかしら? 何故点滅しているのかを、ね」
「!? そ、それは……」

 明らかに動揺した様子でうろたえている。やはり何かあるらしい。万が一のことを想定して油断なく気配を探りながら、
 リサは「落ち着いて。話せるならでいいから」と肩を叩く。余程怯えているのか呼吸するのもままならなさそうだったが、
 次第に平静を取り戻し、微かに聞こえる程度の小声で話し出した。

「実は、その……お、脅されて、いるんです」
「脅されている……?」

 不意に嫌な予感が駆け巡るがまずは話を最後まで聞こうとリサは考え、続きを促す。

「私、ずっとお姉ちゃんを探してて……それで藤田浩之さんって人と一緒に行動していたんです。でも、
 ある人と会って、出会い頭にリモコンを押されたんです」
「リモコン?」
「この、首輪の爆弾を起動させた、って……私も、藤田さんも」

 首輪爆弾を起動させるリモコン。そんなとんでもないものが参加者に支給されていたと知り、リサは戦慄を覚える。
 だとするなら柳川がああなったのは、実質あのリモコンのせいだということか?
 家族に裏切られた挙句、殺しを強要させられた。だとしたらあのようになっていたのも頷ける。

 この藤林椋も同じ境遇だと考えたほうがいい。解除してほしければ人を殺せ、などと言われれば頷くしかない。
 ましてや椋の怯え振りからすれば相当強要されたと言って過言ではない。
 いくつか怪我も負っているが……まあ、それについては大体想像はつくし、
 ここまで来れば戦闘に巻き込まれていない方がおかしいというものだ。それよりも大事なことを聞いておく必要がある。

「いつ爆発するの?」
「……12時間後です。それまでに三人殺せ、と言われました」
「貴女の相方は?」
「バラバラにさせられました。二人で歯向かわれても困るから、って」
「なるほど。じゃあどうして私達を攻撃しなかったの?」
「……それは」

 わざと回答に困るような質問をしてみる。首輪爆弾を起動させられたのは間違いないだろう。
 だが普通なら生存欲求が働き、こちらを攻撃してくる可能性が高いはずだ。
 無論そのときにはこちらも反撃していただろうが、彼女はそうしなかった。単に数の有利不利を見たのか、それとも……
 しばらく待ってみたが、椋は困ったように口を閉じて何も言おうとはしなかった。

「オーケイ。悪かったわね、変なことを言って。ちょっと試しただけ」
「た、試した……?」

 呆然とした様子で返事をした椋に、「ええ」とリサは笑いつつも悪びれもなく続ける。

「何か言い訳してくるようなら怪しい……って思ってたところよ。まあ殺しはしなくても縛るくらいのことはしてたかな。
 でも貴女は何も言わなかった。ならたとえ殺す度胸がなかっただけなのだとしても今こちらに危険はない。
 そう思っただけよ」
「……」

 何とも言えない表情をしているが取り敢えずは納得したのか椋は無言で頷く。
 椋がどう思っているにしろ、犯人の目星はついている。
 柳川が最期に言い残した人の名前……宮沢有紀寧が下手人だろう。

 そのやり方を見る限り、かなり狡猾で容赦がない。
 こんなことをしている時点で人の命を軽視しているとしか考えられないのだから。
 それに保身能力も高い。二人で組ませ効率よく殺させるメリットを捨てながらも二人をバラバラに行動させ、
 なるべく自分の身に危険が及ばないようにしている。

 更に柳川を裏切ったという家族の存在も気にかかる。宮沢有紀寧と一緒にいるのか、それとも単独行動なのか、
 或いは既に死んでしまっているのか……
 椋の口からは有紀寧は一人のように思えるが別行動していたことも考えられる。
 とにかく、最大限有紀寧の存在には注意を払わねばならない。

「リサ君、どうだ?」
「厄介なことになってる」

 荷物を回収してきたらしい英二があるものを投げて寄越す。M4のマガジンだった。
 まだ四本分きっちりと残っており、栞がこれを使ったのは最後の最後だったのだろうと思わせた。
 デイパックに仕舞うと他に何か物はなかったかと尋ねてみるも英二はいや、と首を横に振った。

「ハンマーが一つだけだった。銃の方は弾切れだ。……弥生君達の装備はかなり悪かったみたいだ」

 そんな状況でも、戦い続けるしか生きる術を知らない。言外にそう語る英二の表情は渋面だった。
 しかしすぐにそれを打ち消すと「そっちの話も聞かせて欲しいな」と椋の方を見る。

「ええ。でも一旦戻りましょう。あの車、まだ使えるかもしれないから。話は歩きながらするわ」

 二人も頷き、賛同の意を示してくれたようだった。
 同意を得たリサは歩きながらこれまでのあらましを説明する。

「リモコンの件だけど、恐らくは解除も出来るはず。そうでなければこのリモコンは使えない。
 だって、解除できないと分かったら自棄を起こして歯向かって来るかもしれないからね」
「だがその犯人が嘘をついていることもあるんじゃないか?」
「確かにね。でも万が一誤作動して自分の首輪が点滅したとしたら……必要でしょ? そういうものが」
「……本人が持っていないという可能性はあるが。確かに、理にはかなっているか。それと、椋君、だったか?」
「は、はい?」
「君のお姉さんに会ったことがある。君を探すと言って別れてしまったが……心配していた、君のことを」
「っ! 本当ですか!? 何もおかしなところとかはなかったんですか?」
「あ、ああ。まあ随分前の話……だが」
「そうですか……良かった」

 それまでの暗い表情から一転して華やいだ表情を見せる椋。
 へえ、とリサも興味を示す。英二が椋の姉と会っていたとは。
 別れているとはいえ、家族が心配しているのを伝えられれば少しは安心するだろう。

 そう、別れているよりは一緒の方がいいに決まっている。
 仕事の都合とはいえ会えない日々が続き、最後には物言わぬ形でしか目を会わせられず、
 一度は復讐の塊になってしまった自分という存在がいるのだから。
 なるべくなら、姉妹を無事に会わせてやりたい……そう考えながら車のところまで戻ってきたときだった。

 車の近くに二人の人間がいる。一人は男、もう一人は女だ。
 女の方はどこかで見た事がある髪型だ。一体誰だっただろうか? だがすぐにその疑問を打ち消すと、
 新たなる来訪者が来たことを英二と椋に告げようとする。今日は客が多い……そんな風に言おうとした。

「あ、あ……!」

 何故ここに――そう言って差し支えないほどに目を驚愕の形に見開いた椋が半歩後ずさっていた。
 同時、こちらに気付いたらしい二人組が叫びながらこちらへと走ってくる。その内容にリサも、英二も耳を疑った。

 『離れろ。そいつは、藤林椋は殺人鬼だ』――と。

 椋が殺人鬼? そんな馬鹿なと思いながらも決死の勢いで叫ぶ二人組にリサの勘がヤバいと警笛を鳴らす。
 何故出会った時点で攻撃してこなかった、何故こんなにもうろたえている?
 疑問はつきなかったが、嘘と断じるにはあまりにも証拠が足りなかった。

 混乱しながらもまずいと判断したリサは椋から離れようとしたが、予想外にも対応は椋の方が早かった。
 既に彼女は自身のデイパックからショットガンを取り出し、筒先をリサ……引いては、あの二人へと向けていた。
 その目は既に、怯えるだけのか弱い少女のものから凶悪さを含んだ殺人鬼のものへと変貌している。
 M4で応戦しようにも遅い――撃たれるのを覚悟したリサの体にぶつかってきた人間がいた。

「危ない!」

 英二だと分かった瞬間、耳をつんざくような発砲音が聞こえ、英二の片手を吹き飛ばした。
 至近距離で放たれたショットガン、ベネリM3の散弾がまとまったまま英二の手に命中し、
 肉や骨ごと根こそぎ吹き飛ばしたのだ。

「が……ぁっ!」

 激しく出血した英二だがショック死は免れたようだった。リサは英二を支えつつ、己の目測が外れたことを実感する。
 だが疑問は残っていた。演技だったということは分かる。分かるが、何故最初に会ったとき、
 いや遺体を調べているときに撃ってこなかったのだ? 奇襲をかけるなら絶好のチャンスだったはずなのに。
 二人とも殺せないと思ったからなのか? それとも本当に驚いただけだったから?

 ……違う。物音を立てたくなかったからだ。あの二人に見つかるのを避けたかったから。
 派手な戦闘はしたくなかったからというのが推論として浮かぶ。
 しかしそれだけではない気がする。自分はまだ何かを見落としている。決定的な何かを……

 とにかく安全な場所まで移動しようと英二を引っ張る形で移動し始める。警告してきた二人は攻撃を回避できたようで、
 それぞれ武器を持って椋と対峙していたようだった。
 椋は半ば乱射気味に二人の方へベネリを撃ち放すがショットガンは遠距離から狙い打つには向かない。
 二人はしっかりと回避し反撃の体勢を取る。
 勝てるか……? リサが三人の戦いに一瞬意識を向けたとき、支えられていた英二が叫んだ。

「リサ君ッ! 向こうに……!」

 手のない腕で椋の後ろ側を指す。そこにはまたしても新しい人影が現れていた。
 マシンガンを持った小柄な少女。恐らくはMP5Kであろうものを抱えて、こちらへと狙いを定めていた。

「計画がちょっと狂っちゃったみたいだけど……結果は同じだよ。皆殺しにしてあげる」

 計画、と少女が口にしたとき、リサの中で見落としていたパズルのピースが見つかった。
 周到に包囲していたのだ。藤林椋を囮に使い、彼女を誰かと出会わせた上でしばらく泳がせ、
 人数が増えてきたところを他の仲間の射撃と椋の内部からの攻撃で一網打尽にする。
 内と外からの同時攻撃。それが狙いだったのだ。だとするとこの近くには宮沢有紀寧がいる。

 これだけ大掛かりな作戦だ、指揮をとる宮沢有紀寧がどこかで見ているはずだった。
 だが、遅きに失したと言わざるを得ない。待ち構えていたのか少女の銃口は確実にこちらを捉えており、
 英二を連れたままの状態では掃射を回避することもままならない。
 何より、この作戦を見抜けなかった時点でこちらは詰んでいた。
 完全に出し抜かれた……そんな敗北感に駆られたリサの体を、叱咤するように英二が突き飛ばした。

「!?」

 片手を吹き飛ばされたとは思えない力は、恐らくは最後の力を振り絞ったものだったのだろう。
 力を使い果たした英二は口元に微笑を浮かべていた。
 直後、弾丸の雨が降り注ぎ、体を細かく跳ねさせる。
 銃弾の雨に貫かれ、身体中から血を噴出させながら、英二は首をゆっくりとこちらへ向けた。

「愚直に、過ぎたかな……?」

 微笑を含んだままの声で、彼は最後にそう言った。
 そうね、という返事が喉元まで突き上げ、しかしそれは言葉にならなかった。
 愚直に過ぎた。何も話していない。酒を酌み交わしてもいない。
 貴方は本当にそれでやり通せたのか。分からないじゃないか。
 私はまだ、自分の本当の名前すら教えてもいないのに……

 だが言葉にならない哀しみをすぐに怒りに変え、リサは眼前の敵を見据えた。
 泣いている暇はない。泣いていたら殺される。自分の何も伝えられないまま。
 それより何より……あの女は、私を本気で怒らせた。

 地獄の雌狐を出し抜いたことを称賛しよう。そして、後悔させてやる。
 全身の血液を猛然と沸騰させ、リサは限界の体を引き摺って戦い始めた。

     *     *     *

 また人が死んだ。
 ここに来たときには車の近くで一人死んでおり、今もまたこうして一人が命を落とした。

 一体何があったのかまだ想像もできないし、結論から言えば出遅れた自分達には当然の結果なのかもしれない。
 だがこれだけは分かる。恐らくは観鈴を殺し、みさきを殺し、珊瑚をも殺した藤林椋という仇敵が目の前にいる。
 性懲りもなく獅子身中の虫を気取って入り込もうとしていた奴がいる。

 これ以上誰かに後悔させてたまるかという気持ちを振り絞って自分と、傍らにいる瑠璃も叫んでくれた。
 後で問い詰められようと構わない。とにかく、あいつだけは倒さなければいけない。
 生かしておいちゃいけないという強い信念が体を動かし、一度は間に合わせたと思った。

 だが椋は周到さを増しており、今度は共闘相手まで連れてきた。
 あくまでも殺しに罪悪感を感じる気も、やめる気もないらしいと悟った浩之は、もう言葉もかけまいと思う。

 どんな理由があっても、どんなに大切な家族がいてもそれは悲しみや憎しみを撒き散らしてまで守るものなのか。
 人と人の繋がりを構成する命を断ち切って、まるで何も思わないのか。
 おれは許さない。奪ってまでしがみつこうとする奴を絶対に許さない。
 自分の未来はもう明るさを取り戻せないのだとしても、人の未来、翳りのない明るい道は守れる。
 だからそのために、ただ戦う。

「てめぇっ!」

 新たに現れた小柄な少女、柏木初音に対し浩之は火炎瓶を投げる。
 雨の中だったが小降りなお陰で威力はそれほど損なわれなかった。一気に膨張した炎が初音を包もうとするが、
 距離の長い投擲であったために初音は回避動作に移っており、炎から逃れ椋と合流する形でまとまる。
 一方の浩之と瑠璃にも金髪の女性、リサ=ヴィクセンが合流し、三人は遮蔽物となっている車の陰へと身を隠した。
 壁ができたことで銃撃の嵐は一旦なりを潜め、つかの間の静寂が辺りを支配した。

「助けてくれてありがとう。まず礼を言わせて。……リサ、リサ=ヴィクセンよ」

 そう名乗ったリサが差し出した手を、この状況でいいのかと一瞬躊躇しながらも浩之も名乗って手を取った。
 浩之の名前を聞いたときリサは不意に首をかしげたが、今は気にしなくてもいいと思ったのかそのまま瑠璃へと視線を移す。
 瑠璃も「姫百合瑠璃です」とリサの手を握ったが、表情は心なしか申し訳なさそうだった。

「でも、その……間に合わへんで、ごめんなさい……もう少しウチらが早かったら」
「そうね、間に合ったかもしれない。でも私にそれを責める気はない。英二は望んで私を助けた。
 ……それで満足に生きられたのかは分からないけど、一緒に死ぬはずだった私を生かしてくれた。
 だから私は何も言わない。何も言わず、ただやり通すだけ。今はそうしましょう?」

 ふっと大人の笑みを見せたリサに、まだ引け目を感じている風だったが瑠璃も応えて「そうやな」と笑った。
 強いな、と二人のやりとりを見て浩之は思う。恐らくは心を通わせあっていた仲間を失いながらも、
 自分の為すべきことを見失わずに目を逸らさず進もうとしている。リサにはそういう強さがある。

 羨ましいと思う一方、己には無理だと悟りきっている他人のような自分がいる。
 空虚になるのも是としているのだから……
 しかしリサの言う通り、今はただやり通そう。どうこう考えるのはそれからでいい。

「さて、一気にケリをつけるわよ。敵さんもそう考えているようだしね。そっちは何を持ってるの?」

 リサの持ち物はM4というアサルトライフル、接近戦用の木製トンファーだった。
 浩之はライフル、瑠璃は小型ミサイルの発射装置を出してみせる。

「……そういや、そんなもん持ってたな」
「強力過ぎて使いどころが分からへんのやけどな。家一軒吹き飛ばせるらしいし」
「いや、それがあればもう作戦は決定よ。いい、耳を貸して」

 瞬時に戦法を組み立てたらしいリサに、浩之と瑠璃も真剣な面持ちで聞き入る。
 一通り聞き終えた浩之は、なるほどこれなら倒せると納得する。
 しかしこれだけの戦法を一瞬で考えられるリサという女性、一体何者なのだろうという疑問が浮かぶ。
 ここに来るまでの身のこなしもいいように見えたし、ただの外人金髪ねーちゃんというわけではなさそうだ。

「でも私と貴方……浩之が少々危険な目に会うわ。いや死ぬかもしれない。覚悟はいい?」

 リサの問いに「ああ」と浩之は寸分の迷いもなく返答する。うだうだ迷っている暇はない。
 手をこまねいていると向こう側から仕掛けられるかもしれない。瑠璃は不安そうだったが、
 浩之が自信に満ちた表情で応えると、心配を苦笑に変えてくれた。

「でも……そうだ、ちょっと時間をくれへんか?」
「何を?」

 ちょっとした御守りや。そう言ってデイパックの中身をひっくり返し、持ってきた缶詰をデイパックに詰めていく。
 なるほどね、とリサは感心したそぶりを見せ、ならその間少しでも牽制しようとリサは車から身を乗り出し、
 M4で射撃を開始した。浩之も続いて援護射撃に回る。

 隙あらば側面に回り込もうとしていたらしい初音と椋は、
 いきなり再開された射撃に慌てながらもしっかりと撃ち返してくる。

 車に銃弾が当たり甲高い反射音を細かく刻む。貫通する危険性は低そうだが、
 万が一燃料タンクを貫いてしまったらという不安が頭を過ぎる。リサもそう思っているのか、
 敵に行動を取らせないように細かく発砲を続ける。

 リズム良く、流れるような一連の行動は十二分に足止めの役割をも果たしていた。
 援護なんて必要ないんじゃないか、と思いかけた浩之の前に「出来たで」と瑠璃が少し重たくなったデイパックを差し出す。

「気休めかもしれへんけど……盾にして。ええな、死んだらあかんで、絶対や」
「たりめーだ」

 苦笑で返した浩之は肩にデイパックを抱え、ライフルに銃弾を再装填し、己の準備が終了したことを伝える。
 頷いたリサもM4のマガジンを取替え、地面に転がっている持ち物から使えそうなものをいくつか見繕った。

「よし、それじゃ……ミッションスタートよ」

     *     *     *

「いい? 逃げ出そうだなんて思わないでね。あなたは最後まで戦うんだよ。最後まで、ね」
「わ、分かっています……」

 牽制的にライフルを撃ち放してくるリサの射撃を動きながら避ける一方、初音は椋の様子にも目を光らせる。
 椋はカタカタと震えながら仕方のないといった感じで初音について回っている。
 どうやら手持ちのショットガンはほぼ弾切れになってしまったらしく、残りが数え二発しかないらしい。

 他に射撃できる武器もなく、この距離から反撃できるのは初音だけという状況だった。
 だが初音のクルツは残弾十分でたった今もマガジンを交換したがそれでも残りは八本もある。
 長期戦に持ち込めれば勝てる。どこかで自分達の戦い振りを見ているであろう有紀寧の視線を想像しながら、
 初音は必ず仕留めると誓う。

 当初の予定ではまず椋を潜入させ、適当に人数が揃ったところでまずこちらが襲撃をかけ、
 向こうがこちらに気を取られた瞬間椋が内側から攻撃を仕掛けさせ、内と外からの二段構えの攻撃をする作戦だった。
 素早く殲滅できればそれでよし。失敗しかかっても外側にいるこちらが逃げればいいだけでそれほどリスクはない。
 椋が行った後にそう言った有紀寧の作戦は完璧で、流石は自分の姉、やることが違うと感心し、尊敬さえした。
 有紀寧の言う通りやれば上手くいく。全てが上手くいくはずだった。

 が、椋は何をトチ狂ったのかいきなり射撃を仕掛け、こちらが仕掛ける前に戦闘が始まってしまった。
 椋の勝手すぎる行動に初音は心底怒り、もう放って見殺しにしようと進言したが、
 有紀寧はまだ間に合うと断じ、一人くらいは殺せると舌打ちしながら現場に行こうとしたが、初音はそれを押し留めた。

「有紀寧お姉ちゃんが直接出ることはないよ。わたし一人で皆殺しにしてくる。
 あんなヤクタタズのために有紀寧お姉ちゃんがやることなんて、何もない」
「……いいんですか?」
「お姉ちゃんを危険な目に合わせたくないもの。だからわたしがやる。大丈夫、わたしはお姉ちゃんを信じてるから」

 そう言って初音はクルツを持って向かい、現にこうして一人を仕留めることに成功した。
 自分には有紀寧がいる。絶対的な守護神。どんなときでも守ってくれる敬愛する姉。
 だから死ぬわけがない。皆殺しにして帰ればきっと有紀寧が褒めてくれる。家族だった人達の仇も討てる。
 有紀寧に従ってさえいれば全てが上手くいくのに。言いつけを破ったばかりに窮地に立たされかけている椋を見て、
 初音はそれ見たことかと蔑みに満ちた感情を寄越す。

 だがまだ殺しはしない。殺していいのは有紀寧が用済みだと判断したときだ。自分は有紀寧の決定にただ従えばいい。
 初音の持っている感情は従属意識でも恐怖でもなく、純粋な思慕だ。
 この狂った世界においてなお初音に慈愛の精神で接してくれたのは有紀寧だけだった。
 全てを奪われ、寄る辺をなくしてさえ有紀寧は初音を必要としてくれた。
 そして一緒に堕ちよう、と。

 重なる悲劇の中で差し伸べられた手。たとえそれが悪魔の手だったとしても初音は迷わず取っていた。
 必要としてくれる。大事にしてくれる。それだけで有紀寧に全てを委ね、身を任せるには十分だった。

 いや、初音でなくとも誰もがそうしていただろう。
 本当に真っ暗な闇の中、手を差し出されれば縋ってしまうのが人だ。

 誰も初音を責めることなど出来はしない。
 初音は意思して悪を為そうとしたわけではなく、ただ心の拠り所が欲しかっただけなのだから……
 柳川と同じく、彼女もまたやさしすぎたのだ。

「……埒があかないね。ねえ椋お姉ちゃん、ちょっと特攻してきてよ」
「と、特攻って! 何を言ってるんですか、こんな状態のまま行っても死んじゃうだけじゃないですか!」
「それがどうしたの?」
「……っ、嘘をついてた癖に……お姉ちゃんを人質にしてるって嘘をついてた癖に!」
「ああ、そうなんだ。へぇ、流石有紀寧お姉ちゃん。誰がばらしたのか知らないけど上手い嘘をつくね」
「……悪魔です……あなたたちなんて、いつかお姉ちゃんが……」
「うるさいよ。そういえば面白いもの持ってたよね。あれ、吹き矢セットだっけ? まだ効果の分からない黄色のやつ、試してみようかなあ?」
「な……」

 ニタリと気味悪く笑った初音に椋はそれまでの怒りも忘れ、吐き気さえ覚えて顔を青褪めさせる。
 だが彼女は逃げられない。逃げたところで待つのは制裁、それも無残な死。

 いやだ、まだ死にたくない。姉と再会し、無事に脱出して平和に暮らす。そのためにもこんなところで死にたくない。
 選択肢は一つしかなかった。特攻して、その上で全滅させる。これしかなかった。
 行くしかないとカチカチ鳴る歯を必死で食い縛り、駆け出そうとしたとき、椋と初音の頭上に何かが投げられた。

「殺虫剤……?」

 呆然とそう呟いた初音は、しかし何かを予期して椋に「逃げて!」と叫び、自身も大きく飛び退く。
 次の瞬間ライフルの発射音が聞こえ、激しい爆発が起こり、爆風が椋と初音を襲う。
 爆発というよりは衝撃の塊だった。爆風に押されはしたものの初音も椋も地面に転がり反撃が出来ない。

 そこにリサと浩之が飛び出してくる。リサは車を乗り越えて初音に、浩之は車を回りこんで椋に。
 先手を取られたと思いつつ、初音はクルツで迎え撃つ。
 だがリサは車から高く跳躍すると初音の目の前へと接近する。

 速い。そして高い。咄嗟の機転でデイパックから鋸を取り出し振り回したがM4で受け止められ、
 更に手刀を叩き落されクルツを落としてしまう。
 拾おうとした初音だったがその前に蹴り飛ばされクルツは遥か遠くへと転がってしまう。
 歯噛みした初音だが懐に潜り込んでいるのは自分だと気付き、少しでも身軽にすべくデイパックを投げ捨て、
 鋸を振りかぶり、連続して斬りかかる。

 初音自身でも驚くほど俊敏な動作だった。リサも初音の意外な運動能力は想定外だったらしく、
 必死に受けに回るしかなさそうだった。
 本人さえ気付いていないが、初音も鬼の血を引く一族の末裔。命を賭けた戦闘を続けることで鬼としての意識が研ぎ澄まされ、
 徐々にその能力を高めていたのだ。

 初音はいける、と確信を持つ。意外と動ける上に相手は血だらけで満身創痍。雨でいくらか流されていようが分かる。
 何故だか、分かる。無意識に初音は哂っていた。凄惨な、悪鬼の笑みを。

 一方の椋と浩之は睨み合いが続いていた。一方は武器がショットガンであり、一撃必殺の威力がある。
 対する浩之はライフル銃。貫通性能が高く人間の体程度ならほぼ確実に貫く。
 下手に先手を打てない。特に慎重かつ臆病な椋はショットガンの弾数上絶対に自分からは切り出せなかった。

「何だよ、仕掛けてこねえのかよ……」
「わ、私はまだ死にたくないんです。こんなところで死にたくないんです!」
「……そう言って、また殺すのかよ。言い訳したまま、同じ人間を……家族がいる人間を。観鈴や、みさき……珊瑚みたいにか」
「……殺さなきゃ、こっちが殺されるんです。騙さなきゃこっちが騙されるんです。他人同士で信じあうなんてないんです。
 そうやって私は、私は騙されてきたんですから……殺し合いじゃ、もう誰も信じられないから……」
「そうかよ……お前は『疑う』ことさえしなかったんだな。もういい。こちらから仕掛けるぜ!」

 浩之がライフルを持ち上げ発砲する。だが狙いが浅く、銃弾は椋の足元に着弾するに留まった。
 椋はたたらを踏みつつも己の身を守るべく撃ち返す。しかしこちらも軸がブレていたためか容易に避けられてしまう。
 不意をつく奇襲はできても、真正面からの撃ち合いはあまりにも不得手に過ぎた。

 元々運動が苦手なのにもそれに拍車をかけていた。続けて撃つも外してしまう。
 混乱の極みに達した椋はもう弾がないことも忘れて引き金を引いたが、当然出るわけもなく。
 弾切れだと読んだ浩之が確実にライフルを命中させるために接近しようとする。

 死ぬ――現実となりつつある事態に泣き叫びそうになった刹那、椋はポケットに隠していたある武器の存在を思い出し、
 必死に手繰り寄せて遮二無二攻撃した。

「なっ……!」

 もたつきながらも取り出したのは小型の拳銃、二連式デリンジャー。驚きを隠しきれない様子で、
 咄嗟にデイパックを盾に使ったようだが、その程度では防げないと断じて容赦なく発砲。
 デイパックを突き抜け、腹部に致命傷を負った浩之は倒れ――

「危ねえっ……!」

 ――なかった。
 そんな馬鹿な、と今度は椋が呆気に取られる番だった。
 浩之の持っていたたくさんの缶詰入りデイパックは22口径のデリンジャーなどでは貫通できない。
 既に浩之は反撃のライフルを構えていた。その心中では、瑠璃に感謝しつつ。

「ひ……っ」

 最早脇目もふらず一直線に逃げ出そうとした椋だったが、今回ばかりはいささか遅すぎた。
 発射されたライフル弾が椋の腿を貫通し、瞬く間に足を奪った。
 悲鳴を上げ、痛みにのた打ち回る椋。
 それを聞きつけた初音がちっと舌打ちを漏らす。

「相打ちにすら出来ないなんて……本当、役立たずだよ!」

 この調子ではまずい。ここは一旦撤退するしかないと弾いて距離を取る。
 後はデイパックとクルツを回収し、有紀寧のところまで戻る。決着は後でつけよう……
 そう思っていた初音の耳に「離れてくれてありがとう。……チェックメイト」という声が届いた。

 思わず足を止め、リサへと向き直る。リサ、いや浩之までもが身を翻し、追撃することなく退いていく。
 どういうことだ……? 思わず考えてしまったのが、初音の命を奪う致命打となった。
 嫌な予感に駆られ、空を仰ぎ見たとき。

「……嘘」

 そこには高速で迫る、小型のミサイル砲弾があった。
 最初からそういう算段だったというのか。ミサイルが着弾するまで時間を稼ぐのが奴らの役目だったということか。
 有紀寧お姉ちゃん――初音は内心に絶叫する。

 早く引いておけば良かった。敵の行動をおかしいと思うべきだった。
 ごめんなさい。生きて帰れなくて、ごめんなさい。
 懺悔を頭の中に満たし、何故か涙が溢れ出て……しかしそれも、巻き起こった爆発の中に巻き込まれていった。

 初音と椋の間に撃ち込まれたミサイルはそこを中心にして小規模な火球と爆風を巻き起こし、
 初音の体を微塵も残さずに砕いた。

 椋は痛みに苦しんだまま、それでも姉と会いたい、助けて欲しいと愚直なまでに願いながら。
 だがその叫びも誰にも届くことはなく、爆発音にかき消されたのだった。

 柏木初音。藤林椋。
 沖木島の狂気に身を焦がされ、最後まで踊り続けるしかなかった彼女達も……ようやく、死を迎えたのだった。

     *     *     *

「くっ、これでは……」

 激しい爆発音が起こった後、一部始終を見届けていた宮沢有紀寧は初音達が完全敗北したと悟り、一人で逃げ出していた。
 椋の暴走から始まり、それでも人数を減らしたいと欲をかき、初音を行かせた結果がこれか。

 元々有紀寧は自身が行く気はなかった。自分が行くと言い出せば初音は止め、自らの身を差し出すだろうとして、
 それは思い通りに運んだ。一人二人殺して引き返してくれば上出来だとは思っていたが、
 よもやあんな切り札があるとは思いもしなかった。重要な駒を二つも失ってしまった……

 だが有紀寧の心には、それ以上に初音の死が重く圧し掛かっていた。
 なぜこんなにも心苦しいのか。なぜこんなにショックを受けているのか自分でさえ分からない。
 元々自分はひとりでこの殺し合いを生き残り、ひとりで帰るつもりではなかったのか。

 最初の予定に立ち返っただけではないか。
 まだリモコンの残りも三回ある。一人くらいを手駒に取り、殺しに向かわせれば後は己の独力だけでもどうにかなる。
 そうだと理解しているはずなのに。

「……家族……」

 亡霊を追っているに過ぎない自分を縛り上げる言葉だ。
 いつもこの言葉が自分を苦しめる。
 分からない。初音が死んでしまった今、初音が自分に抱いている感情の意味も確かめる術はなくなった。

「……いや、まだだ」

 有紀寧は放送で告げられた『褒美』の言葉を思い出す。
 褒美。それを使えば、もしかすると、また初音と……
 だが絵空事に過ぎないし、第一まだ殺し合いは続いている。

 考えるのは優勝してからでいい。無理矢理そう結論して、有紀寧は黙って逃げ続ける。

 その一事が有紀寧のしこりとなり、彼女の体を重くしているのにも気付かないふりをしながら……




【時間:2日目午後21時00分頃】
【場所:I-6】

リサ=ヴィクセン
【所持品:M4カービン(残弾15/30、予備マガジン×3)、鉄芯入りウッドトンファー、ワルサーP5(2/8)、コルト・ディテクティブスペシャル(0/6)、支給品一式】
【状態:宗一の言葉に従い分校跡に移動。どこまでも進み、どこまでも戦う。全身に爪傷、疲労大】

姫百合瑠璃
【持ち物:デイパック、水、食料、レーダー、携帯型レーザー式誘導装置 弾数2、包丁、救急箱、診療所のメモ、支給品一式、缶詰など】
【状態:浩之と絶対に離れない。珊瑚の血が服に付着している】
【備考:HDD内にはワームと説明書(txt)、選択して情報を送れるプログラムがある】

藤田浩之
【所持品:珊瑚メモ、包丁、レミントン(M700)装弾数(3/5)・予備弾丸(7/15)、HDD、工具箱】
【状態:絶望、でも進む。守腹部に数度に渡る重大な打撲(手当て済み)】

美坂栞
【所持品:支給品一式】
【状態:死亡】

緒方英二
【持ち物:何種類かの薬、ベレッタM92(10/15)・予備弾倉(15発)・煙草・支給品一式】
【状態:死亡】

柳川祐也
【所持品:支給品一式×2】
【状態:死亡】

神尾晴子
【所持品:H&K VP70(残弾、残り0)、大きなハンマー、支給品一式】
【状態:死亡】

篠塚弥生
【持ち物:支給品一式、P-90(0/50)、特殊警棒】
【状態:死亡】

藤林椋
【持ち物:ベネリM3(0/7)、100円ライター、参加者の写真つきデータファイル(内容は名前と顔写真のみ)、フラッシュメモリ(パスワード解除)、支給品一式(食料と水三日分。佐祐理のものを足した)、救急箱、二連式デリンジャー(残弾1発)、吹き矢セット(青×5:麻酔薬、黄×3:効能不明)】
【状態:死亡】

柏木初音
【所持品:MP5K(18/30、予備マガジン×8)、フライパン、懐中電灯、ロウソク×4、イボつき軍手、折りたたみ傘、鋸、支給品一式】
【状態:死亡】


【時間:2日目午後21時00分頃】
【場所:I-7】

宮沢有紀寧
【所持品:コルト・パイソン(6/6)、予備弾×19、包帯、消毒液、スイッチ(3/6)、ゴルフクラブ、ノートパソコン、風邪薬、胃腸薬、支給品一式】
【状態:前腕軽傷(完治)、強い駒を隷属させる(基本的に終盤になるまでは善人を装う)、柳川を『盾』と見なす。初音と共に優勝を狙う】


【その他:車が完全に使えないかどうかは不明】


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