広がる狂気




はあはあと、断続的な男の荒い息が場に響く。
鬼のような形相で朝霧麻亜子達が去っていった職員室の扉を、緒方英二は今もまだ睨み続けていた。
ぽたぽたと地面に垂れていく自身の唾液も省みず、大きく肩を揺らす様はまるで獣のような野生染みたているという印象を他者に与えかねない。
支給されたベレッタを背を丸めた状態で握り締める英二は、いまだ自身の腰に抱きつき暴挙を止めるべくあがいていた相沢祐一を引き剥がそうともせず、ただ大きく肩を上下させながら前方だけを見つめていた。

「え、英二さん……落ち着きましたか?」

大人しくなった英二の様子に、彼が以前の落ち着きある状態に戻ったものだと想像したのか祐一は安堵の息を一つ漏らした。
しかしそんな彼に次の瞬間飛んできたのは、気の聞いた台詞でもなければ穏やかなあの笑みでもなく。
スナップの効いた握りこぶしが目の前にせまる光景を、祐一は他人事のように見るしかなかった。

「相沢君?!」

地面に叩きつけられるように殴り倒された祐一には、声を上げる暇すら与えられなかった。
そのままぴくりとも動かなくなったのは頭から落ちたことが原因だろうか、
頭から落ちたことが原因らしく、祐一は身動きを止め床に伏せ続けた。気を失ってしまったのかもしれない。
そんな居た堪れない様子は、は少し離れた場にいた向坂環にも伝わった。
愕然となる、つい先ほどまでこのようなことが起こるなんて予想だにできなかった環にとってもショックは大きいだろう。
殴られいまだ痛む頭を小さく振り、環はこうしてはいられないと慌てて祐一の下へと駆け寄ろうとした。
……しかしそれには、事の発端である英二の存在が邪魔をする。
環が少しでも近づこうとしただけで、彼は鬼の形相で彼女を見やった。

「邪魔をするな」

先ほどとは違い理性も感じられる台詞だが……その言葉の重みに、環は固まるしかなかない。

「大丈夫だよ、殺しはしないさ。そう、もう誰も殺させはしないよ僕が守ってみせる。 
 少年も観鈴君も環君も……そうさそうさもう誰も欠けさせたりなどさせないよ、守ってみせるんだ! 僕が! 皆を!!」

半分しゃがれた声でまくし立てる英二の、奇妙に歪んだ表情の意図が環には全く伝わらない。
この台詞だけならば、彼は環達の敵ではなかった。むしろ自ら「ナイト役」を買って出るという、頼もしさすらも与える気迫が込められている。
しかし彼の足元にて気を失う少年を手にかけたのも英二彼自身であり、最中ではないことは容易に窺えた。
……今の英二の存在が、新しい争いの火種になることは目に見えている。
何とか対処しなければそれこそ祐一の身が危なくなるだろう、しかし今ここで自由に身動きができるのは環のみであり。
そしてそれこそ今最優先しなければいけない、少女の散りかけた命を助けることができるのも。環しかいなかった。

結局環は現状を変えることよりも、観鈴への応急処置を優先した。
腹を撃ちぬかれた観鈴の容態は、この間にも刻一刻とは悪くなっていく一方である。
止血のためにと何か布状の物がないか、英二を気にしながらも環は職員室内を確認した。
……目で見た範囲ではよく分からない、立ち上がり室内を散策しだすがその間も特に英二が何か仕掛けてくるようなことはなかった。
運がいいという言葉はおかしいかもしれない、しかし反抗さえしなければ攻撃性を見せないという意味では環は今の状況に対し感謝するしかなかった。
そう、あくまで彼女等は「仲間」であるから、排除の対象にはならないということであろう。

このまま時が過ぎ、英二にも心の余裕ができたのならば。また前のような聡明さが戻るのではないか。
環の脳裏に浅はかな願いが浮かぶ、そんな弱気になっている自分のらしくなさに自然と苦笑いも込みあがってくる。

(ダメね、しっかりしなくちゃ。……私が、やらなきゃね)

かぶりを小さく振り甘い考えを払いながら、環は黙々と作業に移った。



使えそうなハンドタオルを環が見つけたのは、それからすぐのことだった。
簡単な処置後、一応出血が止まったことを確認してから環は一端観鈴を部屋の隅へと移動させた。
視界には収まる範囲で、しかし英二が暴走してしまった際に的になってはいけないからと場所にもかなり気を配った。
祐一は、今だ英二の足元に転がったままである。
こうして見ると亡くなった名倉由依や春原芽衣達との違いがつかなくて、それがまた環の焦燥感に火を灯した。
ゆっくりと一つ深呼吸し、顔を上げた環の表情には覚悟を決めた意志の強さが込められていた。
今の英二に話が通用するとは環自身も思えなかった、しかしやらねばいけないという意気込みがそれら全てを上回る。
祐一を助けるために、そして英二自身を救うためにも今行動を起こせるのは環しかいないのだから。

今の彼女の持ち物に武器と呼べるものはなかった、タオルを探しだした際こっそり漁った観鈴の鞄からもそれらしきものは発見できなかった。
物色した職員室内も、使えそうなものといえば教員の机らしき場所に放置された鋏くらいである。
……銃器を所持する英二に対しては気休めにしかならないだろうが、それでも実際牙を向かれたら環はこの唯一の武器で対処するしかなかった。

(願わくば、対話で事が終わって欲しいものだけどね……っ)

キッと視線に覚悟を秘め、環は一つ深呼吸をした後英二の名を静かに呼んだ。
しかしどろりとした瞳でこちらを振り返る彼といざ見合おうとした時、環にとっては最悪の事態が起こる。
廊下から、いくつもの人間の足音が響いてきたのだ。
瞬間英二の視線は開けっ放しにされた職員室の入り口に釘付けになる、そしていきなりぶつぶつと何か呟き始めた彼の視野にもう環の姿は入っていない。
呟きの内容まで環が上手く捉えることは出来なかったが、良くない兆候ということだけは彼女にも理解できる。
このままでは……まずい。

「駄目! ここに来ないで!!」

腹の底からの、ありったけの声を環は張り上げた。
しかしそんな彼女の思いが届くことなく、むしろその叫びを聞いたからか足音達は喧しさを増して。

「大丈夫か?!」

開けっ放しであった職員室の扉、そこから現れた青年の声が室内にかけられる。
次の瞬間その青年に対し英二がベレッタの引き金を引く姿を環は呆然と見やるしかなかった。





「おわっ!」
「きゃああ?!」
「な、何よ!」

人の悲鳴を聞きつけ駆けてきた彼等を迎え撃つ銃弾、慌てて来た道を高槻は後退した。
その拍子に後ろを走っていた久寿川ささらや沢渡真琴にぶつかってしまい、三人はドミノ倒しの如く一緒になって後ろに倒れる。

「いたた・・・・・・ちょっとパーマ、何すんのよぅ」
「それ所じゃねーっつの! お前等、こっちくんなよ!!」

追撃が来たら危ないと、二人を遠のけ高槻は一人職員室へと乗り込もうとした。
しかしちょっと覗きこんだと同時にまた発砲されてしまう、そこに高槻のつけいる隙間はなかった。

「大丈夫ですか?!」
「く、来るんじゃねーっつの!」

思わず尻餅をついてしまった高槻に向かって駆け寄ろうとするささらを片手で制し、彼は一瞬だけ見えた中の状況を思い起こした。
そして、その光景から判断した一つの見解を導き出す。

「まずい、人質が取られてるかもしれん」
「ほ、本当ですか」

ささらの問いと同時に、部屋の中から男女のものと思われる言い合いが漏れてきた。
それが仲間割れなのか、捕らえられている者が牙を向いているかは今の彼等には判断はつかない。
事は急ぐかもしれなかった、しかしここで慌ててしまっても仕方ない。
そんな二つの感情に挟まれながらも、高槻は万が一職員室の中から人が飛び出してこないかを警戒しながら覚えている限りの中の様子を口にした。

「……立ってる人間が二人、あとつっぷしたまま動いてないのが二人か三人か」
「まさか、死んでたりする?」
「分かんねーよ」
「血とかそういうのは?」
「一瞬だったし判断できなかった」

くしゃっと前髪を握る高槻。突然の事態に彼自身パニックになりかけているという所に、真琴は高槻の心情を知らずかストレートに疑問を矢継ぎ早に口にしていく。
真琴の求める解答を出せないことで高槻の中でも飲み込めない状況に苛立ちが沸いてきたが、やはりそれが彼女に伝わることはない。

「もう、使えないわね」
「んだと?!」

煽られるような発言を受け思わず大きな声を出す高槻、だがそこは次の瞬間口元に人差し指をあてたささらが二人を牽制しにかかった。

「あまり目立つことをするのは得策ではありません」
「わ、悪りぃ」
「ごめんなさい……」

項垂れる高槻と真琴の様子を確認した後、改めて今度はささらが高槻への疑問を口にした。

「高槻さん、立っている人はお二人、でしたか?」
「ああ」
「性別は分かります?」
「男と女一人ずつ、男が銃をぶっ放した方だ。ああ、女の方はお前と同じ制服を着てた気がする。
 ぶっ倒れてんのも女っていうかガキだったな。むー……女の方も仲間だった場合まずいな」

ちらちらと室内の様子を窺う高槻とささらの間には、まだ少し距離がある。
来るなといった高槻の言葉を守っているささら、会話はその一定の間隔を置いたまま続けられていた。

「さっきの悲鳴、女の声だったじゃない。ささらと同じ制服の人は味方じゃないの?」

一人置いていかれる形になった真琴が慌てて話に混ざろうと口を挟む、しかし高槻が答える前に隣のささらが小さく首を振った。

「……それは、今倒れていらっしゃる方の悲鳴かもしれませんから」
「成る程、そういう見方もできるか」
「そ、それじゃあどうするのよ」
「やるしかないだろ!」

思わず上がる真琴の情けない声に対する結論を投げつけ、高槻は先ほど入手したコルトガバメントを構え直した。

「お前等、危ないから絶対こっち来んなよ!」

校舎の壁に埋め込まれた弾丸。
部屋の中の人間の装備が銃器であることから、貧弱な装備で勝てるような相手ではないことは否が応でも認識するしかない。
また、岸田を相手にした時のトリッキーさも通用しない。
既に、相手はこちらに敵意を形を持ってぶつけてきているのだ、明らかなそれの厄介さに高槻も自然と舌を打つ。
好戦的な相手を黙らせるには、こちらもそれに対抗する術を持って向かい合わなければいけなくなったということ。
高槻は二人を庇うよう自分だけ前進を図ろうとした、しかしそんな彼の行く手を阻むようささらが駆けて回り込む。

「待ってください!」

芯の通ったしっかりとした響きを含むそれは、高槻へとぶつけられた言葉。
ちょっとした気迫にさすがの彼も押し黙る、一呼吸を置いた後ささらは目元に力を込めるかのごとく、表情を整え言い放った。

「私と同じ制服ということは、知り合いの可能性もあるんです。もしこちらに敵対してこようとも、説得をしてみる価値があるのではないでしょうか」
「……だから、何だ」
「協力させてください、後ろで隠れているだけなんてもう嫌です」

ぎゅっと握りこむささらの手の中には、先ほど岸田洋一に襲われた際彼が落としていったカッターナイフあった。
ささらは手にするそれを今一度力強く握り締め、覚悟を声に表し出す。

「さっきは、高槻さんのおかげで無傷でいることができました。でも今度は違います、高槻さんに何かあったら後悔しきれません! ですからお一人だけで戦おうとしないでください」
「久寿川……」
「足手まといだということは百も承知です、ですがそれでもサポートくらいならやってみせますから」

言いながら、ささらは少しずつ高槻との距離を縮めていった。高槻もそれを止めようとしない。
二人の距離がどんどん近くなり、ついに手を伸ばせば届く頃になった時。
ささらは静かに彼のごつい手の平を、自身のそれで包み込んだ。

「何でも一人で、なさろうとしないでください」

強い語気が、一瞬幼さを含んだものになる。
見つめ合うささらの瞳に混じるもの、決意の固さの裏には事に対する不安が垣間見れ高槻は言葉を失った。
このような形で他人にここまで心配されることなどない生活を送り続けていた高槻にとって、それは新鮮そのものだった。
ささらの持つ不安というのが、高槻自身を失ってしまうかもしれないということに対する恐怖なのだということ。
そんな風に思われることはとてもくすぐったく、そして、温かさに満ちていた。
熱く火照りだす頬が気恥ずかしく、思わず高槻は顔を逸らした。手は、まだささらに握られたままである。
柔らかいそれがささらの存在感を実証しているようで、尚更胸の奥を掻き立てた。

「ま、真琴だって! 真琴だって何かしたいわよう」

いつの間にか横に並んでいた真琴も、二人の間に割って入る。

「うー、そりゃ直接的な戦力になれるなんて思ってないけど……でも、真琴だって安全な所にいるだけなんてイヤよっ!」
「沢渡さん……」

子供染みた言葉だが、それでも真琴は必死に自分の思いを伝えていた。

「ははっ、その気持ちだけで充分だって」

ささらに手を取られていない左手を使って、高槻はちょっと乱暴気味に真琴の頭を撫でた。
「何するのよう〜」という反抗の声が上がるが、それすらも高槻は微笑ましく思えていた。
そして改めて二人を見やる彼の目に、彼女等は「守られるだけのお荷物」としては映っていなかった。

「それじゃ、後方支援を頼む。久寿川は後ろからあっち側にいる女が知り合いかどうかを見極めてくれ。
 その間男の方は俺が引き付ける、もし知ってるヤツだったら声かけでも何でもして注意を引き付けてくれればありがたい」
「真琴は?」
「もし女が襲ってきた場合、俺は久寿川を守りに行けるかどうか分からねぇ。お前は久寿川の護衛だ」
「分かった。ささら、安心して真琴に背中を預けてね!」
「いや、背後から襲われたとしたらそれは新手だろ……」

そこで改めて、高槻達はお互いの装備を確認した。
ささらの持ち物は今だ用途の分からないスイッチに岸田の落としていったカッターナイフとトンカチ、それに電動釘打ち機から彼を守った小説本などだった。
一方真琴の鞄には、スコップや懐中電灯といった雑貨と食料が大量に詰め込まれている。

「おいガキ、これは寺に置いてきて良かったんじゃないのか?」
「何よう、大事な真琴の荷物だもん」
「……勝手にしろ。で、あとは久寿川か。ふむ、万が一あっちが接近してきたらまずいだろうし、これはお前が持っとけ」

そう言って高槻が差し出したのは、真琴に支給された日本刀であった。

「え、でもそれでは高槻さんが・・・・・・」
「ああ、代わりにトンカチでも貸してもらえたら構わない。
 第一コレがあるからな、刀みたいなでっかいもんと両方構えるにもつらいもんがある」

そう言ってコルトガバメントの残弾を確認すると、一発分だけ隙間が見え慌てて高槻はその分を補充した。
いざという時に弾が足りなくなっては危ない、万全を期さなければいけないという状況に改めて緊張感が走る。

「よし、じゃあ準備はいいか?」
「はい」
「完璧よ!」

高槻の声かけに、ささらも真琴もしっかりとした意思を返してくる。
気合は充分だ、後は悔いを残さず事を終わらせるのみである。

「頼りにしてるからな。ただ、無理はするんじゃないぞ。危なくなったらさっさと引っ込め」
「……はい」
「大丈夫よう」

確認は、以上である。
それでは進軍開始、そういった空気になるが……ふと、高槻は生み出た疑問を口にした。

「あれ? そういえば、ポテトは……」





「ちょっと緒方さん、止めてくださいっ」

環の言葉に英二が反応することはない。ただ彼は前方、来襲者の現れた場所を見つめていた。
人が消えた気配はない、まだすぐ傍に隠れているのだろうということは環にも伝わっていた。
あまりのタイミングの悪さに頭痛が止まらなくなる、環は自らの頭に手をやりながら現状への対応を模索し続けていた。

……今の英二の攻撃で、相手が怯んで逃げてくれたのならば。それならそれで事は済んでいた。
しかし気配が消えていないことから、あちらもこちらの出方を窺っているのであろうことは簡単に想像つく。
幸い英二は自分から仕掛けるために教室を後にするような行為に出ることはなく、自分の立ち位置を変えぬまま構えたベレッタを真っ直ぐ職員室の入り口に向け佇んでいるだけだった。

これは、環にとってはチャンスかもしれなかった。
英二が侵入者に気を取られているうちに環自ら手を下す機会ができたという考え方もできるのだ、観鈴に祐一、守らなければいけない命のために彼女も手を汚す覚悟というのはできている。

(ふふ……本当は、朝まで一緒にいるってだけの約束だったのにね)

何故このようなことになったのだろうか、優先順位を間違えてはいないだろうかという疑問は環の中でも勿論ある。
それこそ、こうしている間にも先ほど英二に肩を撃たれてしまった弟分には危険がせまっているかもしれないのだ。

(仕方ないけどね、性分ですもの)

目の前に庇護する対象の者がいたとしたら放っておくことなどできる訳がない、それが環の答えである。
先ほどは邪魔が入り会話すらままならなかった、だが次に侵入者が現れるまで時間もある訳ではない。
悩む暇はない、環は鋏を握る手に力を込め、英二の下へと一歩踏み出した……の、だが。

「ぴっこり」

またしても環のそれは、絶妙なタイミングで削がれてしまうのだった。
……白いモコモコしたわたあめのような生き物が、何故か今環の足元にて「おすわり」をしていた。
例えるならば某国民的アニメに登場するマスコットキャラクターだろうか、出しっぱなしの舌が愛らしい。

「ぴこ〜」

しかしいきなり披露された、謎の踊りのようなものは気持ちが悪いだけだった。
何が起こったか理解していない環の前、生物はしっぽ・・・・・・らしきものを、勢いよく振り続けていた。
いつの間にか職員室への侵入を成功させていたポテト。ベレッタを構える英二の視界には収まらなかったのか、今も英二はこちらの様子に気づいていないようである。

「ぴこ」

もう一度、ポテトが鳴く。その生き物が自分に愛想を振りまいているのだと、環が気づくことはない。
とにかくいきなり現れたそれに対し、どのような処置を取ればいいのか環には全く思いつかなかったのだ。
いや、思いつく暇もなかったといった方が正しいのかもしれない。

「ポテトォォ!!」

裂けんばかりの大声と共に銃を向けられているという事実を環が認識できたのは、纏った白衣をひらつかせながら先ほど侵入を図ろうとした人物が再びこちら側に顔を覗かせたからだった。
そして、それが開始の合図になる。
戦闘開始、飛び出した男に英二は容赦なく牙を向いた。





一方朝霧麻亜子を見送る形になった河野貴明と観月マナは、再び校舎に戻っていた。
英二に撃たれた貴明の左肩を治療するためである、幸い銃弾が中に残ってはいないようで医療の知識の無い二人にもそれだけは運が良いとしか言いようがなかった。
まず校舎の見取り図で確認し、一階に所在する保健室の表記を見つけた二人は一目散にそこへと向かった。
幸い途中で誰かとすれ違うこともなく無事に辿り着くことはでき、手当ても簡単ではあるがきちんと行えた。

「これからどうするのよ」

余った包帯やちょっとした傷薬を自分の鞄にしまいながら、マナは手当てが終わり学ランを羽織直している最中の貴明に向かって問いた。
明確な展望などが築けない状態であるマナは、正直これから何をすれば分からないといった思いの方が強いのだろう。
麻亜子に脅されたこともあり、彼と別行動を取るなんていう選択肢もマナの中には無かった。
だから彼女は、こうして自分達の進むべき道を貴明に託した。

マナの言葉を受けた貴明は、何か考えがあるのかそのまま暫く押し黙っていた。
沈黙は場の緊張感を迫り上げるだけである、その感覚がつらく何でもいいから口をきいて欲しいとマナが思った所で、貴明はやっと口を開く。

「戻りたい」

ぼそっと。その漏れた呟きの意味を、マナが噛み砕くのにまた少し間が空く。

「戻るって……さっきの、あの場所に?」

信じられないといったマナの疑問に対し、貴明は小さく、だが確かに頷いた。
顔を上げマナと目を合わせた貴明の雰囲気にはどこかしっかりとした頼もしさが付加されていて、それがマナの心にさらに強い動揺を走らせる。
決意を秘めた貴明の瞳、言葉を失うマナを他所に彼はそのまま話を続けた。

「やっぱりほっとけない、タマ姉を一人にするわけにはいかないんだ」
「そ、そう……」
「君はいいから、危ないし。俺一人で行く」

……正直、そう言われてマナは少しほっとしていた。
命を失う可能性のある現場を生で見てしまったということ、そして麻亜子からあのような脅しを受けたこともありマナはこの現実に対し確かな恐怖を植え付けられていた。
自分の置かれた『バトルロワイアル』という一種の舞台に対し、怖気づいていた。
かと言って後ろめたさが隠せる訳でもない、自分だけ安全な場所にいて貴明だけを戦地に向かわせるというモラル的観念で見た場合のちょっとした重圧が、マナの背にずしんと圧し掛かる。
どうしたものかとちらちらと貴明を横目で見るマナ、そんな視線を受け貴明はゆっくりとまた口を開いた。

「大切な、人なんだ」
「え……」

真っ直ぐな眼差しはマナを捕らえているわけではない。視線を上げた貴明が何を見据えているか、マナには伝わらなかった。
しかしそんなこと気にも止めることなく、貴明はそのままぼそぼそと語り始める。

「俺にとってなくてはならない存在で、絶対に失いたくない人で。
 こんな所でタマ姉を失くす訳にはいかないんだ、それで後になって後悔するだけなんて……俺には、耐えられない」

貴明の右手、握りこんだ手の指の色は真っ白であった。
それくらい力を込めていたのだろう。その肩は小さく振るえ、隠せない憤りは少し離れたマナにも伝わる。

少年の思いは一途であり、純粋であった。
ただただ、あの場にいた彼女の安否を祈るその姿。真剣な表情が頑なな自我を表している。

マナは他者に対してそこまで固執することのできる彼のことが、羨ましく思えて堪らなくなってきたようだった。
自らの危険をかえりみず、それこそ撃ちぬかれたその肩で何ができるかも分からないというのに貴明に怯んだ様子は全く見えない。
それでも大切な人を守るため、殺させないために覚悟を決めた少年はマナからしてとても眩しい存在に見えた。

「あたしもね……お姉ちゃんと、参加させられたのよ」

マナの言葉は、自然と口から漏れでたものだった。
貴明との絡み合った視線はそのまま、マナは彼の瞳を見つめながら台詞を紡ぐ。

「お姉ちゃんって言っても従姉だったんだけどね。大好きだった、あたしにとって自慢のお姉ちゃんだった。
 でもね、そのお姉ちゃん……一回目の放送で、呼ばれちゃったのよ」

沈黙が生まれる。
哀れむような彼の視線を注がれるが、マナは頭をってそれを振り払った。
そしてマナは最高の笑顔を作り、この島に来て以来浮かべたことのなかったそれを貴明に向けた。

「良かったね、あんたのお姉ちゃんは無事で」

未来があるということ、マナは由綺と再会することは出来なかったが貴明は違う。
そう、居場所も分からずそれこそ死に目にも会えなかったマナと貴明は違うのだ。
貴明の守れる未来は、目の前にある。
一度大きく深呼吸し、マナは自分のデイバッグをしょい直すと一足早く保健室の外に踏み出した。

「行くわよ、こうしている間にもその人は危険にさらされてるんだから」
「え?」

呆けた声、今だぽかんとしたままである貴明に蔑んだような視線を送りながらマナは続ける。

「何ぼーっとしてんのよ、ほら。さっさと戻るって言ってるの」
「え、でも……いいの?」
「いいに決まってるじゃない!」

きっぱりと言い放つマナ目には、揺ぎない光が灯っていた。

「べ、別にあんたのためじゃないわよ。確かに、あそこにいる人達をほっとくわけにもいかなっていう……そういう理由なんだからね!」

そしてその直後、まるで付け加えるかのごとく言い訳めいたことを口にするマナの頬は、ほんのりと赤く染まっていた。
そのまま背を向け「先に行くわよ」と呟き駆け出していったことから照れ隠しなのだろう、貴明もそこでやっと置いていかれまいと動き出した。
遠ざかりそうになるマナの背中に慌てて駆け寄ってきた貴明が追いつき、二人は無言で走り出した。
先導するマナの横顔に、迷いはない。
もう彼女の中には、逃げだすという選択肢はなかった。





その頃職員室では、飛び込んで来た高槻と英二による攻防が繰り広げられていた。
鳴り響く銃声は英二の放つものだけではない、名も知らぬ侵入者がいきなり好戦的になった様子に環は愕然となった。
……確かにこの状況証拠だけでは、あちら側の人間が環や英二を「敵」だと認識しても仕方はないのかもしれない。
そこは環も割り切るしかない、最悪英二が倒れてしまってもという覚悟はある。
しかし床には、まだ気絶させられたまま放置され続けている祐一が、あの時のまま転がっているのだ。
このまま撃ち合いが盛んになった際、流れ弾が祐一に当たらない可能性なんて否定できるはずもなく。
環は何としても、彼を助けなければいけなかった。

先ほどまではきちんと整列して綺麗な並びになっていた教員達の机や椅子らは、既にあの二人によって乱雑に組みかえられている。
職員室というフィールドをフルに使って攻撃し合う彼等から身を隠すように、環もしゃがみ込んで場を窺っていた。
幸い二人とも、今の所はは当てずっぽうに撃ちあうだけの弾の無駄遣いのようなことはしていない。
お互いの隙をつくように一定の距離を取る高槻と英二、環はちょうど構える二人の真ん中辺りの場所にいた。
……下手に動けば的になる状況、右方には英二、そして左方には高槻と挟まれた形で身動きの上手く取れない現状は彼女を焦らせる原因にもなる。

下手に動いてこちらに意識を向けられたら堪らない、しかし祐一の身は確保せねばならない。
握る鋏に力を込めながら、環が悩んでいる時だった。

「向坂さん!」

聞き覚えのある声が背中にかけられ、思わず環は入り口の方へと目を向けた。
見覚えのあるプラチナウエーブの髪、環と同年代の少女がそこから顔を覗かせ声を張り上げる。

「向坂さん何故です、何故あなたのような人が……っ」
「久寿川さん……?! え、な、何を言っているの!」

まさかの再会、予想だにはできなかったがお互いが無事であるというそれは環にとっては吉報のはずであった。
しかし破顔しかけた環に向けられるのは、明らかに含まれた動揺と困惑が表立っているささらの嬌声であり。

環は気づいていない、先ほどの白い小さな獣……ポテトが今だ彼女の足元に座っているということを。
そして、場を睨んでいた環の手にはしっかりと鋏が握られていた。
その鋏の切っ先は、見ようによってはポテトに向けられているものにも見える。
だがそんな自覚は環には全くないのだ、今、この瞬間でさえ。

「向坂さん止めてください、あなたはこんな殺し合いに乗るような人ではないはずですっ」

いきなりの誤解に戸惑うもののささらが何に対して苦言を零しているのか、やはり環には伝わっていなかった。
何と答えればいいのか言葉を詰まらせる環、しかし次の瞬間飛んできたのは思いがけない衝撃だった。

「ごちゃごちゃ五月蝿えんだよ、ポテトを離せっ!!!」

わき腹に走る突然の痛み、次の瞬間床に叩きつけられた衝撃も右半身を襲ってきて、環は思わず呻き声を上げた。
投げ出された体は転がって、入り口の方……それこそささら達の近くへと放られる。
突然の事に即座に対応できないものの、焦る気持ちを抑えた環は痛みで閉じていた瞳を無理矢理こじ開け周囲の状況を確認した。
ぼんやりとした環の視界に映し出されるのは、こちらに駆け寄ろうとするささらの腰にしがみつき、小さな少女が必死に彼女を抑えている様子だった。
振り返る、隠れていた場所から環を蹴りだした張本人である来襲者は、ポテトを抱き上げ環に対し睨みを効かせていた。

ささらに気をとられていたことで周囲に対する警戒が疎かになってしまったという結論が、環の中の疑問を打ち消す。
一瞬でも軽視することになってしまった高槻の存在、無様な自身に環は腹が立って仕方なかった。

追撃を恐れ、床に打ち付けられたことにより軋む肩を庇いながらも痛む体をゆっくりと起こす環、目線は高槻へと固定されている。
背後になってしまったささらの様子を顧みる余裕を持てる訳もなく、環は抱き上げたポテトを乱暴に部屋の隅へと投げ捨てた高槻と睨み合った。
高槻の瞳には、明らかに敵意が込められていた。何故自分がこの男の反感を買わねばならないのかと、不条理な現状に環は悔しさを隠せなかい。
しかし、その憤りが環の口から吐かれることは無かった。

「……環君。君、敵側の人間としゃべっていたね」

絶対零度、それは男の湛える瞳の温度と同じくらい冷ややかな台詞だった。
はっとなる、もう一人軽視してしまった男の存在に緊張感が走り抜け、環はそのまま身動きが取れなくなった。
そう、環の背後にはささら達の他にももう一人外せない人物がいたということ。
それもこの中では一番危険に当たる輩が、今、環の真後ろに立っていた。

「環君環君、君は僕の仲間だろう、そうじゃないのかい?」

英二の問いかけに対し自然と鳴り出すガチガチといった雑音、環の歯が奏でるそれは押し付けられた恐怖に体が反応している証拠だった。
言葉のとおり次の瞬間ぐっと後頭部に硬い金属を押し付けられ、環の鼓動のスピードは跳ね上がる一方となる。
虚ろな瞳を湛える英二の視線の先、ヘビに睨まれたカエル状態の環はただただ彼の出方を窺っていた。
高槻も、ささらも、真琴も。いつしかただの外野になってしまった彼等も、この男の不気味さに圧倒されただ呆然と事を見るしかできなくなっていた。

「……そうか、分かった」

そして一人、場の中心にいた英二がついに結論を出す。
見開かれた瞳は確かに環を捉えていた、その濁った雰囲気の放つプレッシャーは計り知れないものとなる。

「君はスパイだったのか気づかなかったよ、そうだ君だ君の手筈で芽衣ちゃんも死んだのかそうなのか!!
 やっと分かった君だ、君が元凶か君が君が!!」

どんどん荒くなっていく語気に、その邪悪な呪詛に環の中で改めて恐怖が膨らんだ瞬間。
銃声が、また、鳴り響いた。

それは、環にとって今までで一番大きく聞こえたものかもしれない。
それと同時に体から一瞬で力が抜けていく、再び床の固い感触が上半身に響くが環はそれを自覚できなかった。
肩の、わき腹の痛みなんて目じゃない。悲鳴を上げた痛覚だけが自分が存在している証とも思えるくらい、意識が希薄になっていく。

「タマ姉えぇぇーー!!!」

ふと、大好きなあの子の声が聞こえたような錯覚を環は受けた。
どこか遠くで聞こえるそれを感じると共に、環は意識を手放すのだった。





崩れゆく体は、まるでスローモーションだった。
再び訪れた職員室、その手前でささらという日常の中の知人に出会えた喜びが膨れ上がったのも束の間。
それは貴明が、ちょうど教室を覗き込んだタイミングだった。大切な、大切な彼女の鮮血が一帯に舞っていく

「タマ姉えぇぇーー!!!」

何かを考えるよりも速く、口が動いていた。
悲鳴。撃たれた肩の痛みなど吹っ飛んでいた、駆け出そうとするが片腕を捕られ前に進めなくなる。

「落ち着いてっ、下手したらあんたも撃たれるわよ?!」

だが、落ち着いてなんていられなかった。
こうしている間にも環の着用していたピンクのセーラーはどんどん赤く染まっていく、そんな様子を見るだけなんて耐えられない。
そんな中、けたけたと笑い続ける男の声が耳障りだった。
とても愉快そうに、楽しそうに。男は笑っていた。
芽衣ちゃんやったぞ、君の敵はとったぞ。そんな台詞が貴明の耳を右から左へと通り抜けていく。
瞬間貴明の中を走り抜けたのは、限界を通り越した怒りと彼女を助けられなかった自分に対する情けなさだった。
ほら、こうしている今も。少女に腕を掴まれただけで、進行を止めている。
そんな自分が、非常に嫌になった。

『それがお前の限界なんだ』

声は、内側から響いていた。

『結局タマ姉助けられなかったなぁ、何でだろうな? あの女なんか無視して、中に入り込んでたら間に合ってたかもな』

――横目で、あまりの出来事に顔を覆って泣き出しているささらを見やる。

『肩撃たれちまったのは仕方ない。だけどな、その原因は何だ? 誰と合流したせいで、お前はそんな目にあったんだ?』

――脳裏に、スク水姿の麻亜子が浮かぶ。

『いやぁ、そもそも変に誰かと連るまないで、真っ先にここに来てたらさぁ……なーんにも問題なかったと、思わないか?』

――今も尚自分の腕を掴んだままの、マナを見やる。

『本当に大切なモノをお前は見間違えた、女従えて楽しんでる暇なんかなかったはずだぞ』

――別に、そんなことしていた訳ではない。楽しんでもいない。

『けど、それでタマ姉を守れなかったんだ……お前は、優先順位を、見誤った』

――……確かに、そうかもしれない。

現に環を守れなかったという事実は目の前にあり、それは自分の責任であると貴明は思っていた。
非常に重い闇が心を包んでいくのを実感する、いつしか視界さえもが黒に統一されていた。
その中でただ声だけが響き渡る、果たしてそれが誰なのか貴明には考える余力もなかった。

『絶望、したか?』

――絶望した、この全く望んでいなかった展開に対し。
――絶望した。結局何もできなかった……いや、「しなかった」自分の存在に対し。

『力が、欲しいか?』

――欲しい、現状を変える力が。
――欲しい。どうすれば大切な、大切な存在を守れるのか。

その答えを、貴明は心の底から求めた。

待ち続けるが『声』は一向に返って来ない、しかし自分の中で新しい『感覚』が生まれ出ていることを貴明は何となく実感していた。
『感覚』が啄ばんでいく領域は次第に大きくなっていき、貴明の内部と混ざり合いながら浸透していく。
融合という言葉が貴明の脳裏を掠る、多分それがぴったり合うというくらい違和感というものは特になかった。

そんな中で新たに産み落とされたのは、目的を達成するために必要な強い意思だった。
次第に明確になっていくそれは、まるで貴明自身を導くように。
ゆっくりと、彼の中を満たしていくのだった





目を開ける、その間が数秒にも満たない現象であることは隣から聞こえてくるささらのものであろう悲鳴で貴明も理解することができた。
息を飲んでいるマナの気配も何となく伝わる、しかしそれに対し何かしようなどという思いは貴明の中で全く沸くことはなかった。
笑い声を上げ続ける男の向こう、呆然と立ち尽くしている男がいるが気に留める必要はないと貴明は即座に判断した。
そのまま、環が撃たれたという現状に対し慌てふためく周りの状況を一切無視し、貴明は手にしていたレミントンを迷うことなく身構える。

……銃を持つということ、それを人に対し向けるということ。
貴明のような普通の少年が銃器を扱う機会などない、それこそ支給品として与えられても扱っていいかという迷いの方が出たくらいだった。
まして、貴明は争いごとを好まない性格である。それこそ人に対して銃を向けるこの行為ですら、「貴明」は胸を痛ませたであろう。

でもそれは、一瞬前の彼に当てはまることである。今の『貴明』ではない。
真っ直ぐ向けた銃身の先、今もまだ笑い続けている男を狙う貴明の目に迷いはない。
意図に気づいたマナがはっとなる、しかしもう遅い。何もかも遅い。

響き渡る銃声二発、止まる笑い声。
呆然。高槻も、ささらも、マナも、真琴も、皆。
一様に信じられないと言った視線を、赤い水溜まりを作り出す英二に向けていた。

「もっと早くこうしていれば、タマ姉は死なずにすんだのにな」

独り言、しかし聞こえてしまったのだろうかマナが貴明に目線を向けてくる。
貴明はそれを無視して、レミントンの反動で痺れる腕の感覚と、何物にも変えられない達成感に身を支配させるのだった。
……そして、妙な疲労感が彼の全身を包んでいき、銃を撃った反動だろうかは分からないが肩の痛みが再来してたことから貴明もそのまま気を失うのであった。
彼の表情には、事をやり遂げたという満足げな笑みが浮かんでいた。

こうして残された者にとってはどうすることも出来ないような状態を残し、事はあっさりと終息した。




【時間:2日目午前2:30】
【場所:D-06鎌石中学校職員室】

河野貴明
【所持品:Remington M870(残弾数2/4)、ささらサイズのスクール水着、予備弾×24、ほか支給品一式】
【状態:気絶・狂気の存在が表に出る・このみを守る・左肩を撃たれている(治療済み)】

観月マナ
【所持品:ワルサー P38・包帯や傷薬など・支給品一式】
【状態:呆然】

高槻
【所持品:コルトガバメント(装弾数:7/7)、ガバメントの予備弾(12発)、カッターナイフ、食料以外の支給品一式】
【状況:呆然】

久寿川ささら
【所持品:日本刀、トンカチ、スイッチ(未だ詳細不明)、ほか支給品一式】
【状態:呆然】

沢渡真琴
【所持品:、スコップ、食料など家から持ってきたさまざまな品々、ほか支給品一式】
【状態:呆然】

相沢祐一
【持ち物:レミントン(M700)装弾数(4/5)・予備弾丸(15/15)支給品一式】
【状態:気絶、体のあちこちに痛み(だいぶマシになっている)、】

神尾観鈴
【持ち物:ワルサーP5(8/8)フラッシュメモリ、支給品一式】
【状態:麻亜子に撃たれる。急所は外れている】

向坂環 死亡

緒方英二  死亡


【備考】
環の持ち物(鋏・支給品一式)は遺体傍に放置
英二の持ち物(ベレッタM92(0/15)・予備の弾丸(15発)・支給品一式)は遺体傍に放置
由依の荷物(下記参照)と芽衣の荷物は職員室内に置きっぱなし
   (鎌石中学校制服(リトルバスターズの西園美魚風)
    カメラ付き携帯電話(バッテリー十分、全施設の番号登録済み)
    荷物一式、破けた由依の制服
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