そして突然のクロージングセレモニー。。




場所:G−5地点。晴れ。11時03分。

780体の砧夕霧が合体していく。
その様は奇異というより表現の仕様がない。
すごいというのか、なんというのか。久瀬本人ですらこの状況を喜んでいた。
これで砲撃すれば、一発で勝てるだろう・・・

そう思っていた矢先に、蝉丸の声がした。
その声は明らかに焦っていた。

「さっきの女はどこにいった?」
「え?」

呆然としていて、気がつかなかったが、いつの間にかに消えていたのである。

11時05分。周りを探してもまったく見当たらない。
そして山の上を見上げるとステッキ持ったピンク色の変な女の姿が見えた。

「・・・・あれ、佐祐理さん・・・・・・なら、山頂に行った・・・?」

坂神:「・・・山頂・・・?」
久瀬:「・・山頂・・」

「「え゛?」」
そこは、まさに向かおうとしている場所だった。気づいた時、およそ11時07分。


*****

場所:F−5、神塚山山頂地点。11時3分。

「あははーっ!すんごいおこまりのようですねぇ〜?」

数十メートルはあろうかというその巨体を見ていたら、突然後ろから声がした。
突然声がしたので後ろを振り向くと、そこに、何かがいた。

「誰だお前は!」と秋夫が驚く。

 また、相変わらずなんの気配も感じさせないデンパな女が立っていた。

「佐祐理は難しいことはよくわかりませんが、魔法はなんでも叶えてくれますから、安心してくださいねっ
 さっきも坂神さんの願いをかなえてきたんですよ〜」

あきらかにこいつ何か人生勘違いしていると秋生は思ったが、今は余計な体力を使いたくない。

「いや、いろいろと困ってることだらけというか、大ピンチなんだがな・・・」と秋夫が返す。
「あはは〜それはたいへんですね〜」とのんきな声。

「はええ〜?大変なお怪我ですよ〜」

瀕死の状態の2人にやっと気がついたのか、という感じではある。

 こういう脳がお花畑なのは非常に対応に困る。
 そういう点では坂神も秋生も同じだった。

(どうする?)と秋生は源蔵に聞く。
(どうするも、こうするもないじゃろ?このお嬢さんをかばって戦うだけじゃ)
 女子供ではもう、逃げられないじゃろ?)

(マジで?!)と再度問う。

 あきらかに『べつにこいつだけは死んだって誰もこまりゃしねーよ』的表情を浮かべる青年。
 彼の頭の中では、この女は『女子供』とは別の『デムパ』という分類にカウントされてるのだが
 この昭和一ケタの老人にはそういう分類法は無い。

「願いのう・・・」と源蔵が返す。

「そうじゃなあ・・・今なら、雨じゃな」
「はええ?」
「今は日光が邪魔なのじゃ。日光が無ければ勝てるのじゃがな・・・のう」
 あくまでも世話話的な話なのだが然し、それを受けた彼女。

「あははー、かんたんですよー♪
 でも佐祐理の魔法は一人一回までですよ〜?そんなことでいいんですか〜?」
 斜め上な答え。

「・・・まあそうじゃ。たとえば三日三晩、島の全てが大雨とか、の」
「あははーっ!簡単ですよー!」

手にした杖のようなものを振った。ピンクの杖。
すると。突然空に黒い雲が沸き出し、
ぽつりぽつりと雨が降り出してきた。

(え?・・・まじ?)と、さすがに驚く。

そして30秒後。
スコールのような雨が島全体に一気に降り出した。

「あははーっ!佐祐理も濡れちゃいますよー!」

なんか楽しそうな声を上げる女。

*********

場所:G−5地点。神塚山山麓、11時10分丁度。

・・・佐祐理の位置を把握した大体3分後に、突然の。大雨。
予期すらしていなかった事が、平然と起きてしまった。

つまり、これはたった一人の倉田佐祐理というエセ天然によって
流れも全て無視し、久瀬の人格と人生の全てを無慈悲にもブッ壊された事を意味した。




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久瀬と倉田家の確執について、Leafの名作・『White Album』で喫茶店『エコーズ』のマスターを勤め
KanonやKey関連の作品にも詳しいフランク長瀬氏はこう語る。

「我々の価値感的に見ると、彼が生徒会で行った行動についてあまり問題とされる行為は存在しない。
 彼は校舎内で暴力行為を振るう生徒の処分を求めたまでであって、その行為そのものに関しては
 むしろ道義的、学校政策上に見て正しいものと言える。

 3年生の倉田氏を差し置いて2年の久瀬氏が生徒会の実行権を握ったと批判される件についても、
 そもそも年長で実権を持つべき立場にあるべき倉田氏にあまりリーダーシップを感じない。
 国会議員の地位は倉田氏の方が上で年長者でもあるのにもかかわらず、2年の久瀬氏の方が学校内の
 実権を取っていたということは、むしろ久瀬氏の方が倉田氏よりもリーダーシップがあったことの証左では
 ないのか。」とし、その上で

「本来ならば、異常行動を起こす三年の川澄を諭すのが倉田の役目であると思われるが
 積極的にそのような行動を作品内で行うことはせず、むしろ相沢をけしかけて久瀬と戦わせようと
 してた可能性すら見受けられる。となると、本当に悪い人間は久瀬よりもむしろ倉田と相沢では
 ないだろうか」と語った。

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その間も、砧夕霧は融合を続けていく。




 【時間:二日目午前11時10分ごろ】
 【場所:F−5、神塚山山頂。大雨】

古河秋生
 【所持品:ゾリオンマグナム】
 【状態:ゾリオン仮面・肋骨全損、肺損傷、瀕死】
長瀬源蔵
 【状態:貫通創3、内臓破裂多数、瀕死】

砧夕霧
 【残り24689(到達120)】
 【状態:進軍中】
融合砧夕霧
 【1090体相当】

倉田佐祐理
 【所持品:マジカルステッキ】
 【状態:何でもありな魔法少女】

 【場所:G−5、神塚山山麓。大雨】
久瀬
 【状態:呆然】
坂神蝉丸
 【状態:呆然】
砧夕霧コア
 【状態:健康】

解説はフランク長瀬さんでした。
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