「やおいよ・・・・・・これはやおい臭よっ!」 観月マナは駆けていた。鎌石村小中学校、そこから出る電波を受信したマナの頭の中はますますピンク色になっていた。 「やおいカーニバルよ!これは激しくホモの予感よ!」 叫んだ、ひたすら自身の内に秘めたる情熱を発散した。 快感だった。何故こんなにも開放的になっているのかマナ自身気づいてはいなかったが、その欲望に忠実になる様は傍から見ても気持ちよいぐらいハッスルしていた。 走るマナの左手に抱えられている図鑑も、まるで彼女のテンションに呼応するかのごとく青い光を放ち続けている。 ふと目をやると、その光は道を指し示すかのごとく一筋となって伸びていた。 さながらラピュタの方角を表す飛行石である。 「え、何・・・・・・あっちからBL注意報?!」 図鑑の力が働くとしたら、そのような考えしか思いつかない。 ますますテンションを上げたマナは、その光に沿って全力で走り出すのだった。 一方芳野祐介に惨敗した御堂は、裸身で森の中を進んでいた。 この格好を何とかするためにも、一刻も早く何かしらの衣服を手に入れなくてはいけない。 島の地形は覚えている、人の集まりやすいどこかの村にでも行けば簡単に入手できると彼は踏んでいた。 参加者に関しての知識もそれなりに入手はしてある、芳野といったイレギュラーはそんなに多くもないはずだ。 もう負けるわけにはいかない、負ける気もない。 御堂は一度自分で頬を強く打ち、気合を入れなおした。 次に襲うとしたら、女ではなく男でなくては意味がない。あくまで目的はみぐるみを剥がすことだからだ。 「うおおおぉぉぉ見つけたわよズリネタあぁぁぁぁぁぁ」 そんな時だった、前方から咆哮が鳴り響いたのは。 とうっ!とさながらライダー戦士の如く軽い身のこなしで現れた少女は、黒いツインテールを揺らしながら御堂の行く手を塞ぐように彼の前に仁王立つ。 彼女の手には、見覚えのある冊子が握られていた。それが全てを物語る。 「ほほーぅ? こんな所でBLのお嬢に会えるとは奇遇だなぁ」 ニタリと、獲物を捕らえるかのごとく鋭い視線を御堂は送る。 しかしマナはそれを逆に嘗め回すかのように、逆に視姦し返した。 「嬢ちゃん、中々に肝が座っているようだなぁ。これは面白くなってきたぜぇ」 「・・・・・・け」 「はぁ?」 御堂の問いに答えることなく、マナは小さく呟いた。 そして、今一度。今度は人差し指を突きつけながら、宣言する。 「あんたは受け!!」 「何ぃ?!」 ガビーン ちなみに、いつの間にかマナの背後に集まった見覚えの集団も、一緒に復唱し始めた。 『ミドウウケッ!』 『ミドウウケッ!』 「ちょ、お前ら腐女子だったのかっ?!!」 御堂さんある意味ピンチです。 【時間:2日目午前10時15分】 【場所:D−6】 観月マナ 【所持品:BL図鑑・ワルサー P38・支給品一式】 【状態:瑠璃子の電波により頭の中が桃色カーニバル・BLの使徒Lv1(クラスB×3)】 御堂 【所持品:なし】 【状態:全裸】 砧夕霧 【残り28988(到達0)】 【状態:進軍中】 - BACK