浩之の残したもの




「ごぉっ……ぐふぅ……」
浩之の放ったデザートイーグルは確実に岸田の内腑を痛めつけていた。
腹の底から響く鈍痛に悶え苦しむ。
「がっ……はぁ、はぁ……糞……」
沸いてくる血と唾液をまとめて吐き出す。
一度デザートイーグルの洗礼を受けたアーマーは最早アーマーの役目を果たしていなかった。
多少の斬撃程度なら守ってくれるだろうが、同じ場所に銃弾が食い込もうものなら砕けて破片までも肉に食い込むことになるだろう。
唯の錘と成り下がったアーマーを脱ぎ捨てる。
「糞……これでは……」
このままではあの忌々しい高槻を刈る事が出来ない。
今銃を撃てば反動で自分の体が壊れかねない。
折れた肋骨が肺に食い込んでないのが僥倖だ。
「くそっ……! この餓鬼……」
眼下の浩之の死体を蹴飛ばす。
その動作も衝撃となって岸田に返る。
「ぐっ! ……糞」
数秒逡巡して、やはり一旦引くことを決める。
「フン……必ず殺してやるからな……高槻……」
そうして岸田は死体を残し、一人役場から離れて行った。




【時間:二日目・15:45】
【場所:鎌石村役場】

岸田洋一
 【装備:電動釘打ち機(5/12)、カッターナイフ、鋸、ウージー(残弾25/25)、デザートイーグル(.44マグナム版・残弾7/8)、特殊警棒】
 【所持品:支給品一式、ウージーの予備マガジン(弾丸25発入り)×1】
 【状態:肋骨一本完全骨折・二本亀裂骨折、胃を痛める、腹部に打撲・内出血、切り傷は回復、マーダー(やる気満々)】
 【備考:アーマー、カッター、鋸は荷物軽量化のため捨てていきます】
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