「さて。村に戻ってきたのはいいけどこれから先どうしようか?」 ドラグノフを片手に美佐枝は愛佳に尋ねた。 「まずは人を探しましょう。それが駄目だったら少しでも有力な情報だけでも見つけましょう」 「よし。それじゃあ手始めにそこの民家から調べていこうか」 「はい」 そうと決まればと2人は早速近くの民家にお邪魔することにした。 もちろん前回同様、先に銃を持っている美佐江が家の中が安全であることを確認してから愛佳が入るという形で。 「さてと。まずは使えそうなものから探していきましょうか」 美佐枝はそう言うとまず台所へ行き、包丁を拝借して次に冷蔵庫を開ける。 「おっ。ここにはちゃんと食べ物とか用意されてるわね」 「美佐枝さん。こっちには缶詰もありますよ」 愛佳はそう言って桃やらアスパラやらシーチキン。果てにはカニや鯖の味噌煮といった数々の缶詰を見つけ次第テーブルに並べていく。 「あ…あのさ愛佳ちゃん。そんなに並べても全部は持っていけないからね?」 「ああっ!? す…すいません………!」 そう言って頭を下げると缶詰をもとあった場所にひとつひとつ戻していく。 「……って、全部戻してどうすんの!?」 「はっ!? そうでした!」 台所の次は居間などを調べていく。 すると寝室と思える部屋で愛佳がパソコンを発見した。 「あっ。美佐江さん。パソコンがありますよ」 「本当? 愛佳ちゃん。それ動かせる?」 「ちょっと待ってください。今電源を入れてみます」 愛佳はそう言ってパソコンの電源を入れ起動した。立ち上がりは問題なかった。 しばらくすると愛佳たちにも馴染みのあるデスクトップ画面が映る。 「この『参加者の方へ』って何でしょう?」 「さぁ? とにかく開いてみましょ」 「はい」 愛佳は言われたとおりマウスを操作してフォルダをダブルクリックする。 すると今度はchannel.exeというファイルが出てきたので続けてそれを開いた。 もちろん現れるのは「ロワちゃんねる」という掲示板である。 「…………え…え〜っと……これって、2ちゃ…」 「と…とにかく1つずつ内容を見ていきましょ」 このゲームの主催者はなんか趣味が悪いなと思いながら2人は立ててあるスレッドを確認する。 まずは一番書き込み数が多かった『自分の安否を報告するスレッド』から見ることにした。 「―――まったく……岡崎も無茶なことをする………」 美佐枝は一度はぁとため息をつくと画面に映っている岡崎朋也の名の書き込みをもう一度確認する。 「お知り合いの方なんですか?」 「ええ。しかし場所が近くてよかったわ。鎌石村役場ならここから歩いても1時間もせずに着くしね」 「じゃあ、準備が出来次第私たちは役場に向かうんですね?」 「もちろん。これじゃあ味方どころか敵すら呼び出しちゃうからね。この次の書き込みをしている奴だってそう言っているでしょ?」 「そうですね…しかも岡崎さんはもうパソコンはチェックできないと書き込んでいます……」 「だから岡崎たちが到着するよりも先に私たちが役場に行って岡崎の奴を引き止めるべきだと思うの。愛佳ちゃんはどう思う?」 「私もそう思います。人が集まったところをゲームに乗った人が襲撃をかけてくるかもしれませんし……」 「よし決まり。じゃあ今すぐ行くとしようか?」 「はい」 愛佳は頷くとロワちゃんねるを閉じてパソコンの電源を切ると自分の荷物を手に取り立ち上がった。 (――さて。できればゲームに乗っている奴があの書き込みを見てないことを願いたいけど………) 民家を後にしながら美佐枝は一度空を見てそう願った。 【時間:2日目8:45】 【場所:C−4】 相楽美佐枝 【持ち物1:包丁、食料いくつか、他支給品一式】 【所持品2:ドラグノフ(7/10)、89式小銃(銃剣付き・残弾22/22)、予備弾(30発)×2、他支給品一式(2人分)】 【状態:愛佳と鎌石村役場へ行き朋也を引き止める。千鶴と出会えたら可能ならば説得する。冬弥と出会えたら伝言を伝える】 小牧愛佳 【持ち物:火炎放射器、缶詰数種類、他支給品一式】 【状態:美佐枝と鎌石村役場へ行き朋也を引き止める。千鶴と出会えたら可能ならば説得する。冬弥と出会えたら伝言を伝える】 【備考】 ・2人は柏木耕一の書き込みは見ることができなかった - BACK