頭文字(イニシャル)Y




「さて……まずは武器や情報を集めなくてはなりませんね……」
篠塚弥生は消防署を後にするとマーダーとしての活動を再開した。
まずは近くの民家から武器になりそうなものと情報を集めることにした。
(――おそらく先程の放送で藤井さんもこのゲームに乗ったと考えていいでしょう……)
由綺の恋人だった藤井冬弥が先の放送を聞きゲームに乗ったならば、必ず自分と同じく由綺を生き返らせるために動くだろう。
ならば彼と自分は同志ということになる。そのため、冬弥とはできれば合流したいと弥生は考えた。

一件目の民家を発見した弥生は早速消防署から拝借してきた消防斧で窓ガラスを破壊し窓の鍵を開け、そこから民家に侵入した。
まず弥生は台所から包丁を、冷蔵庫からは食料と水を拝借した。
次に他の部屋をくまなく捜索し、結果バンソウコウなど一般家庭にある基本的な医療品が入った救急箱を発見した。
情報収集に役立つであろうパソコンもほしかったが、残念ながらこの家にはパソコンはないようだった。
(――仕方ありませんね。他の家を探してみましょう……おや?)
民家を後にしようと玄関の戸を開けようとした弥生ったが、この時玄関にあるものが置いてあることに気がついた。

「……自動車のキーでしょうか?」
そう。弥生が手に取ったそれは間違いなく自動車の鍵であった。
(ということは、この民家の近くに自動車が止めてあるということでしょうか?)
弥生はその鍵を手に民家の外に出ると、早速自動車を探してみた。


――自動車はすぐに見つかった。
民家から少し歩いたところで駐車場を発見し、弥生はそこに駐車してあった数台の自動車を一台一台調べていった。
そして3台目の自動車に見事弥生の持っていた鍵が一致した。
ティーダという名の日本の某自動車会社の5ドアハッチバック型乗用車だった。
早速ドアを開け車内に入り、エンジンをかける。
ガソリンの残量は充分あった。
(―――ならば、まずは藤井さんを探しましょう)
弥生はシートベルトをするとハンドルを握りティーダを走らせた。


自動車ゆえに森林や山など道無き道は進めないであろうが、早く動ける分冬弥もすぐに見つけられそうな気がした。




 篠塚弥生
 【時間:2日目・6:55】
 【場所:C−5・B−5境界】
 【所持品:消防斧、包丁、救急箱、水と食料少々、ほか支給品一式(車の後部座席に置いてある)】
 【状態:脇腹に怪我(治療済み)、マーダーだがまずは冬弥を探す、自動車運転中(燃料は問題ない)、とりあえず東(C−6方面)から道を走ってぐるりと島を一周するつもり】

【備考】
・自動車は基本的に道しか走れません
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