道を選ぶとき




「願いが1つ叶えられる………か……」
藤林杏と別れ鎌石村に向かう途中であった藤井冬弥は現在観音堂で一休みしていた。
そして彼はそこで2回目の放送を聞いたのだった。

―――先ほどの放送で主催者が言っていたことが嘘か本当か、そんなことは別に冬弥には関係なかった。
今自身が成そうとしている事は復讐だ。
ゲームに乗ろうと乗らまいと自分はこれから多くの人を殺しに行くのだから『優勝者に与えられるご褒美』なんて関係のないことだ。

(―――だけど、気になるといえば気になるんだよな……)
そう思いながら冬弥はお堂の中で大の字になっていた体を起こした。
(彰や弥生さんは今の放送で間違いなくゲームに乗っただろうし……)
冬弥はポケットからあるものを取り出した。
――――財布だ。
所持品のうち、携帯電話とこれだけは主催者に没収されてはいなかった。(携帯は残念ながら圏外だったが……)

(このままゲームに乗らず殺戮者だけ殺し続けても、ゲームに乗ってこれから先出会った人は容赦なく殺し続けても、結果的に由綺たちを殺した奴らには出会えるかもしれないんだから………)
冬弥は財布の中から10円玉を1枚取り出した。
(――そう。今の俺は別にどっちでもいいんだ……だから、こいつでこれから先の自身が進む道を選ぶ……!)
そう決心すると、冬弥は右手の親指でピーンと10円玉をコイントスした。
力が強かったのか、トスされた10円玉は天井スレスレまで弾け飛んだ。

(表が出たらこのまま由綺たちを殺した奴らを探すのを続ける。裏が出たら殺し合いに乗る………)
やがて、10円玉は宙で何度もくるくると回転しながら重力に引かれて落ちてきた。
やがて10円玉は床に落ちて回転を止めた。


「―――そうか……」
出た面を確認した冬弥は10円玉を拾うとお堂の外に出た。
「さて。まずは鎌石村に向かうとするか………」
そう呟くと冬弥は鎌石村へと歩き出した。




【時間:2日目・午前6:10】

 藤井冬弥
 【場所:C−6・観音堂(移動済み)】
 【所持品:FN P90(残弾49/50)、ほか支給品一式】
 【状態:鎌石村へ】

【備考】
・10円玉の出た面が表(マーダーキラー化)か裏(マーダー化)かは後続の書き手さんにお任せします。
-


BACK