「――どうやらあんたの知り合いたちはまだ無事みたいだな」 「みたいですね」 放送を聞いた芳野と瑞佳は参加者名簿に死者のチェックを終え、荷物をまとめはじめた。 「―――だが、問題はこれからだな。さっきの放送でまたジェノが増えそうだ」 「ジェノ?」 「ジェノサイダーの略だ。つまりこの糞ゲームに乗って他の参加者を殺しまくる奴ってことさ」 「ああ」 納得した瑞佳は手をぽんと叩いた。 「それに、早いところあんたの知り合いやゲームに乗ってない奴らとも合流しないとこっちもヤバい」 そう言って芳野は自身の銃の残弾を確認する。 芳野たちの武器で唯一の飛び道具であるデザート・イーグルはあと4発しか弾が残っていなかった。 弾切れした場合、サバイバルナイフだけでここから先迫りくる敵に対抗できるか……微妙なところである。(武器がないよりはマシだが……) 「――だから今は敵に対抗するための武器、そしてできるなら食料と水もできるだけ確保しておきたい。だからまずは鎌石村に行こうと思う」 「そうですね。村なら人もきっといるはずです」 「ま。リスクもでかそうだがな。だが善は急げとも言う、すぐに行く………っ!?」 荷物を持とうとした芳野はふと何かを感じた。 (これは―――殺気か!?) すぐさま芳野はデザートイーグルを構え警戒態勢に入った。 「芳野さん? どうしたんですか?」 「―――早速、敵さんのお出ましのようだ」 「えっ!?」 「ありゃりゃ……感付かれちゃったか。さすがはここまで生き残っている参加者。昨日までの連中とは格が違うねぇ………」 芳野たちから少し離れた茂みの中、そこにはスク水の上に制服を着たマーダー朝霧麻亜子が潜んでいた。 その手にはボウガンと投げナイフがあった。 (先程までの様子だと、銃の弾はもう残りが少ないみたいだが………ナイフも持ってるみたいだし油断は禁物かにゃ?) 実は麻亜子は放送が始まる数分前から芳野たちの様子を伺っていた。ゆえに芳野たちの状況はある程度は把握していた。 (―――あたしがヘマさえしなければ、このみんも助かったかもしれない……だけど、優勝すればどんな願いも叶うと判ったならもう話は別。 絶対にあたしたちは勝ち残って、あの日々を取り戻さなければならないんだ! ………だからたかりゃん、さーりゃん。悪いけど、今のあたしはもうヘマも躊躇もしないよ………!) 麻亜子は一度芳野たちから目を離し、自身のデイパックに目を向けた。 (――修羅には修羅なりの戦い方というものがあるのさ。それを今から教えてあげよう………) 現在の自身の所持品を確認すると、麻亜子はにんまりと笑った。 【時間:2日目・午前6:10】 【場所:F−7】 芳野祐介 【所持品:デザート・イーグル .50AE(4/7)、サバイバルナイフ、支給品一式】 【状態:警戒】 長森瑞佳 【所持品:防弾ファミレス制服×3、支給品一式】 【状態:警戒】 朝霧麻亜子 【所持品1:ボウガン、投げナイフ、バタフライナイフ、支給品一式】 【所持品2:ささらサイズのスクール水着、支給品一式】 【状態:マーダー。現在の目的は貴明、ささら、生徒会メンバー以外の排除。最終的な目標は自身か生徒会メンバーを優勝させ、かつての日々を取り戻すこと。スク水の上に制服を着ている】 - BACK