情報を求めて




ホテル跡を出発する前に割烹着を着た北川潤、広瀬真希、遠野美凪の三人組みは花を摘んでいた、今はこの世にいない二人の墓に供えるために
先に出発していた皐月達も同じ事をしていたのか二つの墓の前に申し分程度の花が供えられていた
何を言うわけでもなく自分達の摘んだ花を供え墓に黙祷する三人、
「言ってくるよ、柚原…エディさん」
合った事も無いエディはともかく柚原このみはここに居る三人しか死の瞬間を見ていない、それぞれが思い思いに胸を募らせる…。
そう言うと北川と真希は墓の近くの地面に突き刺してある(このみを弔った時に使った)スコップを地面より引き抜き三人はこの地を出て行く…。

「でっ…あたしたちの家政夫さん…何処行くの?」
ホテルを出て数十分後、荷物を北川に持たせ手ぶらならぬ肩ぶらでスコップ片手の真希が今後の方針に付いて聞く
「昨日ホテルを寝床に選んだわけは、どっちの村に行ける様にという意味でもだったんだけど…
 いろいろな事があったからな、当初の通り平瀬村に向かうよ。」
『してその訳は?』と美凪が聞きたそうだ、それを感じたのか北川は続けて話す
「ここからだと氷川村は平瀬村より少し遠い…それに」
そういいつつ北川はポケットの中からごそごそと地図を取り出し開ける、地図には色々と書き込まれている、それを覗く真希と美凪

「昨日、笹森の手に入れた手帳の中身を読ませてもらったんだけどな…色んなことが書いてあったんだ。」
柚原このみの生前、保科智子と今後の方針について打ち合わせした時に見せてもらった前回参加者の手帳の事だと二人は察した
「この島にはイチ一人の前参加者の手帳しか残っていないとも言い切れないと思うんだ…。」
今回の参加者は120人、前回の参加者が総勢何人かは解からないが他の前参加者が何か手がかりを残していないとも限らない

「上手くいけば情報は元より、捨てていった武器か何か手に入るかもしれない。」
順序だてて計画を語る北川、昨日の間に行動した成果でもあった。
「手帳書いた人物によると、あのホテルに着く前に近くの平瀬村のある場所に滞在してたらしい…その時は仲間付きで。」
手帳を書いた女性は3日目には一人でホテル跡に滞在していた…つまり何かあったのだろう。
「…つまり、手がかりが何かあると言うことですか?」
地図を見つつ北川に聞く美凪
「だといいんだけどなぁ…結局のところ前回参加者が存在してた情報は保科達とオレ達しか知らないし」
自分達にしか出来ないことをやりたい…北川はそう感じていた。
「頼りが有るんだか無いんだか…。」
やれやれと相槌を打つ真希、べつに悪気は無い

「だけどオレ達と保科達しか知らない情報って、ある意味収穫なんだ…参加者全員にもらえる情報は【地図】と【参加者名簿】ぐらいだし。」
【定時放送】も付け加えたかったが、それは生きていたらの話…止めておく北川。
「まっ…あたし達がこれから行く場所に収穫が無くても智子達には確実に収穫があるからね」
皐月達が取りに行ったアサルトライフルは隠した幸村しか場所は知らない、つまり他の参加者が見つける可能性は低い、そう考える真希
「そういう事だな、こっちが駄目でも湯浅達があるしな」
気軽に考える北川、昨日北川達がホテル来る前にエディの件があったが、少なくとも皐月と智子は呼吸が合っていた…そう思い出す北川
「じゃあ、あたし達はあたし達でやるべきことをやろう。」
上手く話を〆る真希、こっちはこっちで息が合ってるようだった………。


「………ところで真希さん美凪さん。」
何かを気付いたように、北川がジト目で真希と美凪の二人を見る

なにかしら北川君♪」
「………何でしょう北川さん?」
真希と美凪は口裏を合わせるかの様に北川に返答する…。
「………御姑さん方の…お荷物…昨日より…格段に、重たいんですが…。」
三人の荷物はおにぎりが増えたといえ最初の支給品を渡された重さと然程変わらないはずである
…しかし昨日より2倍くらい重さが増えているのである
「はぁ…アンタ等…ホテルでなぁ〜にパクってきたんだよ…。」
「おほほほほっ♪」
「…ぽっ」
ため息を付く北川、手の甲を口に当て貴婦人笑いして誤魔化す真希、頬に手を当て顔を赤らめる美凪
「どうせ、剃刀とかバスタオルとか気に入った銀のスプーンとかその他諸々見繕ったんだろ…」
「あはははっあんただって諦め切れずにワインとキャビアをパクってるじゃない。」
「ここのホテルは良い調味料を使ってました…エッヘン」
考えることは同じらしい割烹着三人組み、田舎モノ丸出しだ
「とりあえず…村に着いたら、荷物の整理な…。」
「…ワインを飲んで整理しないでほしいで賞」
「………しくしく」

こうして彼らは前回参加者が居たと言う平瀬村のとある場所へと出発することになった
北川は知らないが、生前エディが一番欲しがっていたのは【情報】だった、確かな情報は一番の武器になる
出合うことがなかったエディと北川だったが、エディの意思は北川が受け継いでいたのだった。




【場所:F−4】
【時間:2日目07:00頃】
北川潤
【持ち物@:防弾性割烹着&頭巾、SPAS12ショットガン8/8発+予備弾薬8発】
【持ち物A:剣先スコップ、支給品一式、おにぎり1食分 ワイン&キャビア】
【状況:首輪の情報を探して前回参加者が滞在していた平瀬村へ】

広瀬真希
【持ち物:スコップ、防弾性割烹着&頭巾、支給品一式、おにぎり1食分、携帯電話、お米券】
【持ち物A:ホテルにあった様々なもの(剃刀、タオル、食器、調味料、救急箱、その他諸々)】
【状況:同上】

遠野美凪
【持ち物:包丁、防弾性割烹着&頭巾、支給品一式、おにぎり1食分、お米券数十枚】
【状況:同上】
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