変態強姦魔の新ジャンル




「冗談じゃないっつーの、あいつらキモ過ぎだっつーの・・・」

七瀬彰は熱を持った体を鞭打ちながらも、必死にあの場所から離れようとしていた。

「っていうか何だよあのパーマのオッサン、マジ最悪なんだけど・・・」

そんなどっかの女子高生のような毒を吐くが、台詞と噛みあわないほど体は衰弱していて。
少し歩いただけでだるくてしょうがなく、ついには膝をついてしまう。

「くそっ、何で・・・」
「はぁ、はぁ・・・追いついたぞ!」
「げっ」

聞き覚えのある声、すぐに追いかけてきたらしき高槻の姿が目に入る。
抵抗する余力などなく、彰はあっさり捕まってしまう。

「やだ、離せ・・・」
「おいおい、具合悪いんだろ。俺様が看病してやるって、無理すんなよ」
「や・・・いやぁっ」
「そ、そんな声出すなって・・・ハァハァ」
「何だ最後の?!っていうか、どこ触ってんだ・・・くそぅ」

まずい。このままでは、本当にまずい。
何とか策を練らなくては、体を弄られながらも彰は必死になって頭を動かしていた。

「あ、あのっ」
「何だ」
「そ、その、自己紹介とか、まだしてないじゃないですか」
「・・・?ああ、そうだな」
「せっかくだからしませんか、その・・・ほら・・・何も知らないで、そのこういうのするっていうのも・・・」

最後の方は言葉にするのもイヤだったが、それでも何とか口にする。
顔を背けボソボソと恥ずかしそうに話す彰の様子がツボにはまったかどうかは知らないが、高槻はにこやかにそれを了承した。
ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべる彼は、何だかとても嬉しそうである。

その様子に対する彰の感想↓

(うわ、キモッ!)

それからも、彰は粘った。とにかく粘った。
ひたすら自分を押し倒すような体勢を陣取る高槻にネタを振り、そこから先へ進ませないよう努力した。
体調は確かに最悪であった、本当はしゃべるのもつらかったがここでそれを止めたらゲームセット。
会話が途切れぬようネタを振りまくった、それは気がついたら数時間続いていて。
しかも、そんなことをしていたら今自分を押し倒している相手の名前や素性、働いている場所までも知ってしまい本当に他人じゃないような関係にまで発展してしまい。

「そうか、彰は大学生か。ちょうど今が華だな」
「はは、は・・・そうですね・・・」

もう、自分が何をやってるのか分からなくなってくる。

(・・・あ、もうダメ)

体力も限界。ごめんね美咲さん、操守れなくて・・・そんな思いを抱えながら、彼の意識はフェードアウトするのであった。

「む?彰、おい彰!・・・返事がないな。うむ、ではちょっくら味見でも・・・」
「ぐああぁっ!どこだ、どこに女がいる・・・はぁ?」

それは、高槻が手を合わせ目の前の彰の味を確かめようとした時だった。
いきなりの乱入者に対し言葉を失う高槻、だがどうやら相手も同じような状況らしく。
二人の間、静かな時が流れるのだった。






岡崎朋也は性欲を持て余した。
女がとにかく欲しかった、誰でもいいから犯る相手を探していた。
そんな時だった・・・目の前、視界に入ったのは二人の男で。
しかもパーマの男が少年を押し倒しているという構図、朋也にとって信じられない光景だった。
有り得ない、男が男を押し倒すなんて。
犯るモノといえば女、女といえば犯るモノ。そんな感覚の彼にとっては新境地である。
・・・しかも、いつもの朋也であったらそれに対する嫌悪感など持つことになっていただろう、それなのに。
朋也の股間は、しっかりと勃っていた。勃起していたのだ。

「何だ・・・この、胸をうつ感覚はっ?!」

朋也はドキドキしていた、この情景に。
興奮していた、性欲を持て余していた。

「どうしてだ・・・どうして・・・」

その時、彼の思考回路を青いオーラが包んでいく・・・それはキリシマ博士に魔法をかけられた時の感覚に似ていた。
意識が飛びそうになる、それを堪えて渦巻くように流れてくる情報を噛み砕いた結果。
朋也の中で、一つの結論が浮かび上がった。

「・・・男の子って、ファンタジーだ」






「何なんだ、一体」

高槻は呆然と、一人百面相をする朋也の姿を眺めていた。
訳が分からなかった、だがこのまま怪しい男に見られながら性交をする気にもなれず。
まるでお預けをくらっている犬のような気分だったが・・・それも終わりを告げる。
さっきまで様子のおかしかった男が、いきなりこちらに向かって近づいてきたのだ。

「や、やるのかこのヤロウ!」

虚勢を張る、不気味な男に対する策を高槻は思いつけないでいた。
彰に圧し掛かるようにしていた体を起こし、とりあえずファイティングポーズはとっておいた。が。
男は・・・朋也は、値踏みするような視線を高槻に送るだけで、それ以上何か危害を加えてくることもなく。
奇妙だった。不思議に思う高槻の心中を察したかどうかは分からないが、朋也は熱っぽい視線を送りながら彼に話しかけるのだった。

「パーマ・・・お前、よく見ると色っぽいな」
「はぁ?!」
「ふむ、俺の周りにいないタイプだ・・・うまそう」
「何だそりゃ?!」
「気にするな、ただの独り言だ・・・ハァハァ」
「何だ最後の?!うわっ、こっち来んなっ」

嫌な予感がした。
高槻の中で警報が鳴り響く、こいつは危険だと。

「ははははは・・・食い尽くしてやるよ。男も女も関係ねぇ、下半身無差別級チャンピオンの意地・・・見せて、やるよ」

高槻、絶体絶命。




岡崎朋也
【時間:2日目午前4時】
【場所:E−06】
【持ち物:お誕生日セット(クラッカー複数、蝋燭、マッチ、三角帽子)、支給品一式(水、食料少し消費)、大変な逸物】
【状態:ますます節操なしになった変態強姦魔】

高槻
【時間:2日目午前4時】
【場所:E−06】
【所持品:支給品一式】
【状態:貞操の危機】

七瀬彰
【時間:2日目午前4時】
【場所:E−06】
【所持品:アイスピック、自身と佳乃の支給品の入ったデイバック】
【状況:気絶】
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