「そ……そんな……瑠璃子…………」 放送を聞いた拓也は何かの間違いだと乙のが耳を疑った。 瑠璃子が死んだ? そんな馬鹿な!? 確かに瑠璃子は見た目はか弱い少女にすぎないが、芯は強い子だ。なにより自分の妹なのだからそう簡単に死ぬような子ではない。 そうだ。そうに違いない。 瑠璃子がそう簡単に死ぬはずがない。 瑠璃子が死ぬはずない。死ぬわけがない。 「瑠璃子。嘘だと言っておくれ。 冗談だと言って僕の前に姿を見せておくれ…… 瑠璃子、君がいないと僕は……… 瑠璃子瑠璃子瑠璃子瑠璃子瑠璃子瑠璃子瑠璃子るりこるりこるりこるりこルリコルリコルリコルリコぉ……」 そう言うと拓也は地面に俯せに崩れ落ち号泣した。 「ううっ…るりこぉ…」 「ううう……」 ――許せない。瑠璃子を殺した奴が。瑠璃子を救えなかった自分自身が。そして、このゲームの主催者が。 「ぐううっ…」 ――ああ、瑠璃子。死ぬ瞬間はやっぱり痛かったかい? 苦しかったかい? 「………」 ……でも大丈夫だよ瑠璃子。 お兄ちゃんが必ず瑠璃子を苦しめた奴らに瑠璃子と同じ苦しみを与えてあげるから…… 拓也は決意した。 瑠璃子の敵を討つ。そして瑠璃子を死ぬ原因となったこの糞ゲームを主催した連中を皆殺しにする。 ゲームに乗るだの乗らないだのそんなものはもう拓也には関係なかった。 第一、拓也の全てであった瑠璃子が死んでしまった時点で拓也はこの世界などに興味はない。すなわち、今の拓也は万一の場合自身が死ぬかもしれないことすら恐くはなかった。 ここまで来る途中に拾った8徳ナイフを握り締める。 覚悟は決まった。 「――さて。行ってくるよ瑠璃子……愚か者たちに三途の川を渡るための6銭を渡しにね……」 実を言うと、拓也は放送を最後まで聞いていなかった。 瑠璃子の名前が放送で発表された瞬間から彼には何も聞こえなくなっていたのである。 そのため彼は先程の放送で最も重要な「優勝者はどんな願いもひとつ叶えられる」ということを聞き逃していた。 それは彼にとって幸運だったのか不運だったのかは誰にもわからない。 月島拓也 【時間:2日目・午前6:20】 【場所:G−8(無学寺方面へ移動中)】 【所持品:8徳ナイフ、トカレフTT30の弾倉、他支給品一式】 【状態:瑠璃子の敵を討つ。主催者を皆殺しにする(ただしゲームの破壊が目的ではない)】 【備考】 8徳ナイフは392話『女狐と殺戮者』でリサが使用しそのままG−7に放置されていたもの - BACK