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「ん…」 あの激戦から数時間が経過した平瀬村の民家の一室でるーこは目を覚ました。 起きたと同時に、左耳がやけに痛いなと思ったるーこだったが、その痛みと同時に先程までの記憶がフラッシュバックした。 「うーへい………」 ―――あの時、自分は春原陽平のスタンガンを受けて気を失ったのだ。 そのことを思い出すとるーこは何故か嫌な気分になった。 (――なんなのだこれは? あの時のことを思い出すと胸が締め付けられるような感じがする…とにかく……嫌だ……) そんなことを考えながらるーこは一度部屋の明かりを点け、自身の怪我の治療を始めた。 その際、部屋に武器をはじめさまざまな物が置かれてあることに気付いた。 陽平か秋子かそれとも別の者か…誰が自分やこれらの物をここに運んでくれたのかは今はもう判らないが、 マイクロウージーを綾香に奪われてしまった今のるーこには有り難かった。 耳の手当てを済ませると今度は上着を脱ぎ背中の軽い火傷した箇所の治療に入る。 無論、この火傷は陽平のスタンガンによりできたものだ。 (――るーはうーへいに完全に嫌われたかもしれない………) ―――火傷の傷よりもるーこには陽平に嫌われたのではないかという想いから生まれる心の傷のほうが痛かった。 「これは……相当派手にやっていたみたいだな……」 岡崎朋也たち一向は先程の激戦があった場所へと来ていた。 あの後、朋也は由真と見張りを代わり一度睡眠を取った後、渚やみちるたちの知り合いの手がかりが何でもいいから見つからないかと思いやって来たのだ。 由真たちは危険だと最初は朋也に反対したが、 この島にいる以上常に危険であることには代わりはないだろうという朋也の説得により半納得、半諦めて彼に同行することにした。 「――っ」 「お…岡崎朋也ぁ……」 ここに来て3体目の遺体である雛山理央の亡骸を見つけた途端、風子とみちるは朋也の背後に隠れる。 朋也はいい加減慣れてくれよと言いたくなったが、今までこんなもの見たことないんだからしかたないよなと自分に言い聞かせ、言わないことにした。 実際、彼も先程はじめてかつて人(神尾晴子)だったものを見たときは思わず目を逸らしたくなったが、勇気を振り絞ってそれを目に焼き付けた。 自分の父もこのように死んだのかなと思いながら―― 「あれ? ねえ、岡崎さん」 「ん? どうした由真?」 「この家――明かり点いてる………」 由真の指差す民家の窓からは確かに光が漏れていた。 治療を済ませたるーこは、これから先どうするか考えていた。が、それはすぐに決まった。いや、考える前から既に決めていたのかもしれない。 (――たとえ嫌われてしまっていたとしても……るーはうーへいに会いたい……) 春原陽平との再開――そのためにすぐに出発しようと部屋に置かれていた荷物を整理していたが、6つあったデイパックの内の1つから意外なものが出てきた。 ――それは椎名繭に支給された某リンゴのマークの会社のノートパソコンだった。 「これは……」 るーこは早速パソコンの電源を入れる。何か情報が手に入るかもしれない。調べてみる価値は充分あった。 「――る?」 その時、誰かが民家に入ってくる気配がした。それも数名のだ。 自分をここに運んでくれた者が戻ってきたのか、それとも敵が来たのか。後者の場合部屋の明かりを点けたのは迂闊だったとるーこは思った。すぐさま薙刀を手に取り構える。 「誰かいるのか……っ!?」 「る!? …………うーへいと同じ服……」 次の瞬間るーこの前に姿を見せたのは春原陽平と同じ制服を着た少年――岡崎朋也とその仲間たちであった。 【時間:2日目・午前3時】 【場所:G-3 平瀬村・民家】 ルーシー・マリア・ミソラ 【所持品1:薙刀、ノートパソコン(バッテリー残量・まだまだ余裕)、スペツナズナイフ】 【所持品2:鉈、包丁、トンカチ、、殺虫剤、他支給品一式(2人分)】 【状態:朋也たちと遭遇、現在の目標は陽平の捜索。左耳一部喪失、額裂傷、背中に軽い火傷(全て治療済み)。精神的に軽いショック】 岡崎朋也 【所持品:クラッカー複数、他支給品一式】 【状態:るーこと遭遇、現在の目標は渚・知人の捜索】 みちる 【所持品:武器不明、他支給品一式】 【状態:るーこと遭遇、現在の目標は美凪の捜索】 十波由真 【所持品:双眼鏡、他支給品一式】 【状態:るーこと遭遇】 伊吹風子 【所持品:三角帽、スペツナズナイフの柄、他支給品一式】 【状態:るーこと遭遇】 【備考】 以下の物はるーこの近くに放置されている ・デイパック×5 ・鋏 ・アヒル隊長(9時間後爆発) ・木彫りのヒトデ - BACK