真夜中の森は闇に包まれていた。 その闇の中に一つの影が溶け込んでいる。 少年は藪の中に降ろしていた。 彼は考えていた。これまでの事を。これからの事を。 自分の掌を覗き込んでみる。その手は見た目には綺麗な手だったが、少年からすれば血が染み付いているように見えた。 自分は既に数え切れない程沢山の命を奪ってきた。 そしてこれからも奪い続けるだろう。 けれどそれも仕方の無い事だ。 主催者への協力を拒んだ所で殺し合いの螺旋は途切れない。 殺し合いは「計画」が成功するまで終わる事は無いだろう。 「計画」が完遂される事なく参加者が死に絶えても、また新たな人柱達が参加者として連れてこられるだけである。 前回のゲームは失敗に終わった。「鍵」を参加者に奪われ、参加者達が死に絶えてもそれは見つからなかった。 少年はその手を汚して戦い続けたが結局大勢の命が無駄に消えただけだった。 少年の目的はただ一つ、今度こそ「計画」を成功させこの殺し合いの螺旋を終わらせる事。 そして彼にはその自信もあった。ゲームが始まるまでは。参加者の顔ぶれを知るまでは。 ゲーム開始時まで参加者が誰なのか知らされていなかった彼は、名簿を見て絶句した。 今回の参加者は前回とはまるで違う構成だった。 理外の民の末裔、鬼の血筋の者達、毒電波を操る者達……そして、自分と同じ「不可視の力」を持つ者達。 「人外」の力がある程度制限されるとは言え、彼らは前回の参加者の誰よりも強敵になる事は疑いようが無い。 それに今回は自分にとってかけがえの無い存在――――天沢郁末も参加している。 だが既に彼女をこの手にかける覚悟も出来ている。 今度こそ、全てを終わらせなければならない。例えそれがどんなに辛く困難で道であろうともだ。 気付くと森に光が差し込んでいた。 空には朝日が昇っている。 「さて……そろそろ行こうかな」 少年は立ち上がる。顔に出てしまっていた表情と感情を押し殺し、再び笑顔の仮面を被りながら。 そしてまた1日が始まる。 とても長い、とても辛い、螺旋の中の1日が。 【場所:f-05】 【時間:二日目午前五時半】 ※441採用ルートの場合 少年 【所持品1:注射器(H173)×19、グロック19(15/15)】 【所持品2:支給品一式(水を半分消費)、レーション3つ、グロック予備弾丸3発。】 【状況:頬にかすり傷、行き先はお任せ】 ※441非採用ルートの場合 少年 【持ち物1:強化プラスチックの大盾(機動隊仕様)、注射器(H173)×19、MG3(残り17発)】 【持ち物2:支給品一式、レーション3つ、グロック19(15/15)・予備弾丸12発。】 【状況:行き先はお任せ】 - BACK