藤林杏が性神に呑み込まれていく様を、遥か天空の高みから見下ろしている視線があった。 巨大化したピンクのステッキに腰掛けた、フリルたっぷりの白衣姿。 キリシマ博士(腐女子形態)である。 「性神……だと!? バカな……まだ早すぎる……! 預言の時までは、まだいくらかの間があったはずだ……!」 その装いとは裏腹に、視線は険しい。 「まずいな……このままでは、この世界そのものが……ん?」 視線の先には、一人の男。 「―――ヤラセロォォォ!!」 否、一匹の淫獣がいた。 かつて岡崎朋也と呼ばれていたその淫獣は、夜の森を真っ直ぐに南下している。 「あの方向は……」 キリシマの見つめる先。 闇に沈む森の中で、二大淫魔が相まみえようとしていた。 「ハァ……ハァ……クク……女……女の匂いだァ……ッ!」 がばぁ、と茂みから飛び出した朋也を待っていたのは、言わずと知れた性神融合体である。 「朋也くんお久しぶりです、相変わらずいいモノ持ってますね」 「こんばんは、なの」 「と……朋也……!」 三者三様の反応を、朋也は気にした風もない。 ただそのぶよぶよとした球状の塊を見て、興奮に身を焦がしている。 「クク……ハァーッハハハ!! 素晴らしい、素晴らしいぞお前たち! 俺のために大股開きで待っていてくれるとはなぁ!!」 どうやら朋也の目には、三人の裸しか映っていないらしい。 朋也のバベルの塔は無論発射オーライである。 先走り汁の代わりに精液がとめどなく漏れ出している辺り、王者の風格を感じさせる。 「と……朋也? どうしちゃったの、キャラが全然違ってるけど……」 杏が不安そうに口を開く。 つい先ほどまで殺そうとしていた相手ではあったが、それも愛ゆえの殺意であった。 「何言ってるのお姉ちゃん。朋也くんは昔からこんな感じでしたよ」 「そうなの。昼の顔しか知らない杏ちゃんにはわからないだけなの」 「な……!」 驚愕の真実に打ちのめされる杏。 「私、全裸に首輪つけて公園の散歩させられたことありますよ。楽しかったなあ」 「夜の朋也くんは王様なの。お父さんを中絶代で破産させたくらいなの」 「嘘……嘘よ! 朋也はそんなロクデナシの絶倫野郎なんかじゃない!」 「―――テメエら、何をゴチャゴチャ言ってやがる! 今夜は誰から犯ってほしいんだ!?」 朋也の怒声にびくりと震える杏。 その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。 「と、朋也があんな声出すの……聞いたことないよ……」 「まあ、今夜はちょっと機嫌が悪いみたいですね」 「どうせヤりそびれただけなの、ちょっと挿れさせてあげればすぐゴキゲンなの」 「あ……あんたたち、何言ってんのよ……おかしいんじゃないの!?」 「―――いい加減にしろテメエらぁッ!! 全員犯り殺してやるから動くんじゃねえぞッ!!」 痺れを切らした朋也が飛びかかってくるのを見て、椋とことみが目配せをしあう。 「え!? ……ちょ、ちょっと! いやああっ!!」 にゅるり、と球状の塊が蠢き、ゲル状の物体に包まれていた杏の身体が、夜気に晒される。 その四肢を触手に固定され、強制的にM字に開脚させられる杏。 「仰角よし」 「右、あと30センチなの」 「こんな感じ?」 「バッチリなの」 「え……やだ……やめてええ!!」 ホールインワン。 飛びかかってきた朋也のグングニルが、正確に杏の秘所を直撃していた。 「あ……ああ……!」 「んん? 何だ杏、おまえそんなに俺とヤりたかったのかァ……?」 「いや……いや、やめて朋也……こんなの……!」 空中でキャッチされた格好の朋也が腕を組み、肉槍一本で己が身を支えながらニヤリと笑う。 「こんだけ濡らしといて言う台詞かよ……ッ!」 「いや……言わないで……!」 「処女ってわけでもねえみたいだしなァ……!」 「ゃ……いやぁ……」 がしりと杏の肩を掴み、腰のグラインドを開始する朋也。 「ひ……いやぁぁっ!」 「クク……どうだ、初めて味わう俺の息子は……?」 「やめて……朋也……こんなの……いやぁ……」 「何だァ? 夜は貴方の奴隷です、ってタイプだったのか、おまえ? ……クク、まぁそういうのも悪くないな……気に入った、ヤぁぁってやるぜ!!」 「ひ、ひがぁぁぁぁぁ!?」 朋也の腰が、その速度を増していく。 とどまる事を知らないその加速に、結合部から湯気が上がりはじめる。 杏の膣から溢れ出す愛液と、朋也が常時放ち続けている精液が摩擦熱によって蒸発しだしたのである。 立ち上るその湯気を見て、椋とことみが喝采を上げる。 「あ、朋也くんの昇り龍だ! 久しぶりに見たなあ……」 「風流なの」 「この香ばしい匂いをかいでるだけで、いくらでもご飯が入っちゃいそうなんですよね」 「椋ちゃんは下のお口でご飯を食べるから底なしなの」 「あはは、いくら私だってそんなの二日に一度くらいですよ、嫌だなあことみちゃんったら」 「流石なの、噂以上なの」 きゃっきゃと騒ぐ乙女たちの会話をよそに、杏は既に失神寸前である。 「ぁつぃ……あつぃよぉ……もぉ……やめてぇ……ともやぁ……」 ぽろぽろと涙をこぼしながら、杏が弱々しく呟く。 その子宮は既に朋也の精液で満たされ、真っ赤に腫れ上がった膣口からは、ぼたぼたと白濁液を落としている。 「あァ!? 奴隷がご主人様に口ごたえすんじゃねーよッ! それよりもっと腰振れ、眠てぇだろうがァ!!」 その腰の動きは既に、常人の目には留まらないレベルに達している。 腰椎が存在しているのかどうかも怪しいその変幻自在の動きに、杏はまったくついていけていない。 ことみの超絶肉棒によって拡張されたそのヴァギナから与えられる快楽は、脳の処理容量を遥かに超えていた。 「チッ……仕方ねえ、マグロにはマグロの扱い方ってもんがあるか!」 「あ、もしかしてアレを出すのかな」 「きっとそうなの」 「うわあ、レアですねえ……お姉ちゃん、かわいそうー」 妹たちの言葉は、既に杏の耳には届いていない。 ただ、ぎらぎらと輝きを放つ朋也の眼が更なる熱を帯びたことだけを、ぼんやりと認識している。 と、杏の肩をがっしりと掴んでいた朋也の手が、離れた。 「な……に……?」 「クク……おまえなんかには勿体無いが……よぉっく、味わえッ!!」 朋也の身体が重力に従って落下を始めた、その瞬間。 「が……か……ふっ……」 朋也の十本の指が、杏の首に食い込んでいた。 そのまま懸垂の要領で己の身体を持ち上げていく朋也。 ぎりぎりと音がするほどに、杏の首が締め上げられる。 呼吸を止めるどころか、頚骨を粉砕せんとする勢いであった。 「クク……い〜い締め付けだァ……!」 半ば意識を失い、だらりと垂れ下がる杏の身体。 その股を割り裂くように、朋也の腰が食い込んでいる。 両手で杏の首を持ち、空中に凛然と立つようなその姿。 「うわあ、ホントにヤりましたよ! すごいすごい! ことみちゃん、ちゃんと記録してる!?」 「ばっちりなの」 「王者の杓杖……人間であの体位ができるのは朋也くんくらいですね」 「希望の星なの」 大喝采である。 「ギャラリーには楽しんでもらえたようだぜ、杏ぉ……」 「か……ひ……」 「そろそろイクぜ……子宮に穴あけてでも全部飲めよ、溢したら殺すからなッ!」 朋也の豪柱が、杏の膣内で更にその容積を増す。 その内圧に杏の膣が何箇所かで裂けるが、既にその痛みすら杏には感じられていない。 「ククク……ハーッハッハッハ!!!」 哄笑しながら子汁を解き放つ朋也。 これまでの常時放出が噴水なら、絶頂時の射精は津波である。 膣の裂け目から漏れ出した白濁液が、瞬く間に杏の腹腔を埋め尽くしていく。 心臓を、肺を侵蝕した白濁液が、逆流する。 「綺麗だぜ、杏! ことみたちにも見せてやれッ!!」 「うわあ……お姉ちゃん、いいなあ……」 「すごいの……」 うっとりと見つめる椋とことみ。 その視線の先には、目、耳、鼻、口……あらゆる穴から白濁液を噴き出す杏の艶姿があった。 同時に、ごきゅり、と音を立てて砕ける杏の頚骨。 朋也の全体重を支えかねたのである。 「何だァ? ……もう使い物にならなくなっちまったのかよ、つまらねえ」 生命活動を停止した杏の、己の子汁に塗れた死に顔を汚物でも見るような目で一瞥すると、 朋也は杏の中からずるりと聖剣を引き抜き、地面へと降り立った。 「つうか杏……おまえ、ガバマンな。ははっ」 笑いながら、言い放つ。 それが、朋也が杏にかけた最後の言葉であった。 「さて……次は、どっちが相手をしてくれるんだ? 昔みたいに二人いっぺんでも、俺は全然構わないぜ……?」 言って、宙に浮かぶ球状の物体を見上げる朋也。 見下ろすかたちになる椋とことみは、楽しそうに言葉を交わしている。 「杏ちゃんが昇天しちゃったの」 「だらしないですね。ま、お姉ちゃん如きは神の器じゃなかったってことでしょう。 首を折られたくらいでいちいち死んでたら、セックスなんてできないのに」 「さすがにビッグバンセックスの女は言うことが一味違うの」 「あら、褒めても何にも出ませんよ……ふふ」 「ところで、朋也くんはまだまだ元気いっぱいみたいなの」 「ふふ……順調に育ってくれてるみたいですね」 「収穫が楽しみなの」 「まあ、まだまだ青い果実……今日は、この子達に相手をしてもらいましょうか」 椋の身体から生える無数の触手が、鋭い槍のように朋也へと迫る。 「……ッ!?」 下唇、首筋、左の乳首、臍の下、裏筋、肛門……正確に朋也の性感帯を狙って繰り出されたそれらは、 しかしそのすべてが、どこからともなく飛んできた星型の物体によって無残にも切り裂かれていた。 地に落ちるや、煙のように消えてなくなる触手の群れ。 「あら、残念」 「……よく見たら、変なのが憑いてるの。 さすが朋也くん、獣姦と霊体セックスをいっぺんにこなせる性奴隷完備なの」 「……にしてもおかしいですね、あのくらいで消えちゃう子達じゃないはずなのに……」 「杏ちゃんなんていうお荷物でも、いなくなると構成が不安定になるの」 「最後まで面倒をかけますね、お姉ちゃんは……」 軽く眉を寄せ、溜息をつく椋。 「まあいいでしょう、今日のところは一旦退散するとしましょうか。 元々、朋也くんの味見程度のつもりだったんですしね。 ……勝平さんの熟成も見ておきたかったんですけど、死んじゃってるみたいですし」 「こんな末端の細胞一つじゃできることもたかが知れてるの。もっと贄を寄越すの……」 「ふふふ……そうですね、あの子には頑張ってもらわないと……」 言いながら、ゆらゆらとその姿を薄れさせていく性神。 「おい待て……! 俺の相手をしてくれるんじゃないのか……ッ!」 「またすぐにお相手してあげますよ」 「今度はもう少し楽しくなると思うの」 「だから、そのときまでにもっともっとイケメンになっててくださいね」 「また明日、なの」 そう言い残すと、椋とことみはその身体を包む球状の塊ごと、完全に消えてしまう。 後に残されたのは、切り離された杏の死体のみであった。 「畜生、どいつもこいつも……! 戻って来い、牝どもがァーッ!!」 叫ぶ朋也の声は、またしても夜の森に吸い込まれていくのみであった。 そんな光景の一部始終を、キリシマは険しい表情で眺めていた。 「あれで……細胞の一つだと……?」 魔法の力を得て理性を失っているとはいえ、下半身無差別級世界王者の朋也のプレイを間近に見て 顔色一つ変えず子供扱いした、あの恐るべき性力。 常人であれば、その周辺にいるだけでよがり狂っても不思議ではない。 それが、末端細胞の一つでしかないというのだ。 「やはり……預言は正しかった」 世界の終焉に関する記述。 それを知る者は、BL団広しといえどもキリシマただ一人である。 統帥葉賀すらも知らぬ秘密をその胸に抱え、キリシマは思案を巡らせる。 「いずれ奴らが真の力を取り戻して降臨する、それまでに……。 世界の命運は君にかかっているのだ、マナ……!」 若き使徒の顔を思い浮かべ、決意を新たにするキリシマ。 だがその表情は、一瞬にして曇る。 「……それにしても奴ら、贄がどうとか言っていたな……。 何者かが、奴らの手助けをしているというのか……。一体誰が……」 答えることなく、雨は降り続いていた。 【時間:2日目午前3時ごろ】 【場所:E−05】 岡崎朋也 【持ち物:お誕生日セット(クラッカー複数、蝋燭、マッチ、三角帽子)、支給品一式(水、食料少し消費)、大変な逸物】 【状態:変態強姦魔】 伊吹風子 【持ち物:彫りかけのヒトデ】 【状態:覚醒・ムティカパ妖魔】 一ノ瀬ことみ・藤林椋 融合体 【持ち物:書き手薬×2、性なる剣、性なる鎧、イケメン触手キョウ、イケメン触手トモヤ】 【状態:性神(The God of Sex)第一段階】 藤林杏 【状態:死亡】 霧島聖 【所持品:魔法ステッキ(元ベアークロー)、支給品一式】 【状態:腐女子形態】 「……んにゅ、ところでおばさん、どこ行ったのかな……? まあいいか、ぐぅ……」 平気で置き去りにされていた! みちる 【時間:2日目午前3時】 【場所:E−2、菅原神社】 【持ち物:アイテム未定(武器ではない)、支給品一式(水、食料少し消費)】 【状況:睡眠中】 - BACK