姫君の愛した美しき世界




そのむかし、かみさまが光あれと言って世界を創りました。
しばらくして、その世界にはたくさんの生き物たちが住むようになりました。
ときにはけんかもするけれど、みんな仲良し、だんご大家族。

この全てが終わってしまった世界で、
繰り返しママやパパがいる世界の始まりから終わりまでを見続けてきたわたしには、
ほんとうはそんなの違うってことがよくわかってる。
世界を創ったかみさまはえっちなことにしか興味がなくて、
世界を創った理由は気持ちよくなりたいから。
そんなかみさまが世界を創ってるから、
BLがいいだとか、GLがいいだとか、そんな理由で殺し合いができるんだろう。

それはまだいいほうだ。
この世界はいつも軍国主義に染まり、戦争ばかりしている。
主義主張が違うとか、種族・民族が違うとか、変わった力を持ってるとか、
そんな理由で平気で人を殺す。
きっと誰かさんの強い意志が働いてるせいなんだろう。
おかげで世界そのものが死んでしまう。
ママを助けるためにこの世界に来たはずだったのに、なんでこんなふうになってしまったんだろうか。

「あの〜、聞いてる?」
「聞いてるよ、こまだ」
「今回は能力が開放されてるし、こっちには降りてこれるんじゃないかな?」
「そうだね」
別に殺し合いが好きなわけじゃないんだけど、
ゲームがうまく進行してくれないとわたしは向こうにいけない。
向こうに降りてからの記憶は戻ってくるとなくなってるけど、
今ここにいるってことは降りられたときも成功したことがないということ。

「そう言えば、気まぐれで他の世界から送った二人、なんかロボットになっちゃったね」
「あんまり変なことはしないほうがいいんじゃないかなあ?」
そんなこと言われても、何か変化を起こす要因を仕込まないとあんまり結果が変わらない。
「まあ今回こそうまくいくように頑張るよ」
「うん、よろしくね」

「ロボット……」
その言葉で思い出した。今回は変なのがこっちに来たんだった。

ぎぎぎ ぎぎぎ

相変わらず変な音を立てている。
ガラクタはたくさんあるし、こういうのは核として使える。
せっかくだから、これで何か作ってみようか。

「ぷ〜らね〜たり〜うむはい〜かが〜でしょう〜」
適当な歌を口ずさみながら、ガラクタをいじっていく。
ときどきこのゲームで支給されるロボットのセリフ。
(おい、俺をどうする気だ!)
・
・
・

「プラネタリウムはいかがでしょう」
「できた!」
(ちょ、おまっ!)




 岡崎汐
 【時間:すでに終わっている】
 【場所:幻想世界】
 【持ち物:不明】
 【状態:ロボットが完成して御満悦】

 ほしのゆめみ
 【時間:すでに終わっている】
 【場所:幻想世界】
 【持ち物:不明】
 【状態:巨大ロボ】

 岸田洋一
 【時間:すでに終わっている】
 【場所:ゆめみの中】
 【持ち物:なし】
 【状態:ゆめみの動力源】

 少年
 【時間:一日目午後8時ごろ】
 【場所:F−04】
 【持ち物:強化プラスチックの大盾(機動隊仕様)、注射器(H173)×19、レーション3つ、支給品一式】
 【状態:汐との会話終了】
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