星空を見ながら宗一は一人考えていた。 放送のこと。 告げられたゆかりの、醍醐の、篁の死。 診療所でのこと。 暴れだした佳乃、怪我を負った郁未と葉子、そして聞かされた早苗の死。 何が真実で何が嘘なのか、今までに無いほどいろいろな事が一度に起きすぎて宗一の頭はパンク寸前なほど混乱していた。 考えても答えなんか出るわけが無い、そう思った宗一は今すぐにでも出発したかったところなのだが 郁未が急に熱を出した倒れたため、一緒に行くかと聞いた手前置いていくことなどできず、しばしの休息を取ることになった。 そして今、扉一枚隔てた向こうでは葉子と郁未は静かに眠りについている。 見張りとして起きているのは良いのだが、一人だとどうしても考えてしまって今に至っていた。 疲れがたまっているのか眠気が少しずつ押し寄せてきた。 この程度の修羅場なんか何度も味わってきているじゃないか。 最近鈍ってたのかなと自分を奮い立たせるように自身の顔をひっぱたいた。 と同時に内側からコンコンと言うノックの音に、思わず宗一はFN Five-SeveNを構えていた。 ゆっくりと扉を開けて顔を出したのは鹿沼葉子だった。 もっとも中には葉子と郁未しかいないはずで、敵が進入してきたのだったらノックなどしないはずだろうと宗一は自分の行動に苦笑した。 「どうした?」 銃をおろし、葉子に尋ねる。 「宗一さんごめんなさい、郁未さんが目を覚ましたんですが……」 言いながらも、その先を続けることに躊躇いが見えた。 「ですが?」 「えっと……汗が気持ち悪いらしくて身体を拭きたいそうなんですが、お湯とかタオルとかお願いできませんか?」 自分の足はこうですので、と葉子は指差しながら言った。 ここまで来るのにも一苦労だったのか、葉子の顔にも汗が流れ、どこか青白い。 わかった、と頷くと葉子の肩を抱きベットに戻す。 隣のベットで郁未がどこか罰が悪そうにしていたが、気にするなと笑いながら診療所の中を散策しに向かった。 なかなかの設備が整っており、暗いながらも目的のものはすぐに見つけることが出来た。 大き目のタオルと洗面器、そして患者用のガウンを手に取ると、 仮眠室らしきところでヤカンとコンロを見つけ、湯を沸かし二人の元へと戻った。 「これでいいか?」 「はい、ありがとうございます」 葉子にタオルとガウンを、郁未にはお湯の入った洗面器をそれぞれ手渡し 「じゃ俺は見張りの続きをしてるから」 と扉に向かおうとする宗一を郁未が呼び止めた。 「宗一さん何度もごめんなさい、いいかしら?」 「ん?」 宗一はくるりと踵を返す。 「良かったら拭いてもらえないかしら?少しまだ身体がだるくて……」 「……はい?」 「私もちょっと身体が重いので……お願いできませんか?」 拭くって何を?ヤカンか?んなわけないよな……。 んじゃ何か、この二人は出会ったばかりの俺にその柔肌を拭いてくれと言ってる訳か? ハハハ、んなアホな。 だが宗一の返事を待たず郁未は上着をグイッと脱ぎ捨てると、その裸身惜しげもなく晒す。 「ぶっ!」 同じように葉子も上着を脱ぎ捨てると、懇願するように宗一の顔を見つめた。 「と、とりあえずわかったから、上、上を隠してくれ!」 鼻の下が伸びるのを必死に隠すように顔を逸らしながら、二人に叫ぶ。 だがどうしても目線は二人の胸元を追ってしまっていた。 二人はさも気にして無いと言わんばかりに笑っていたが、あまりの宗一の悲痛な訴えにガウンを羽織る。 なんで俺はこんなことをしているんだろう……。 お湯にタオルを浸し、郁未の背中をゆっくりと拭きながら宗一はテンパっていた。 目の前に広がる白い肌が、体中の血液を頭へと送り込んでいく。 シーツで胸元や足は隠しているものの、垣間見える生まれたままの郁未のその姿に変な想像が止まらない。 チラッと後ろを見ると、ガウンを羽織ってはいるがその下には同じように下着一枚つけてない葉子が座っている。 ゴクリ、と自分の喉がなるのがわかった。 頭へと上った血液が一気に下へと向かっているのも自覚してしまう。 ちょ、勃つな!落ち着け息子よ! 宗一の気持ちとは裏腹にズボンの下では自身の育成を邪魔する布と必死に格闘する息子の姿。 タオルを掴む手が興奮してうまく握れない。 思わずズルッと手が滑り郁未の背中を掌でなでおろしてしまった。 「ひゃっ!」 いきなりの冷たい感触に、郁未が身体を震わせ悲鳴を上げる。 「ご、ごめん!」 落としたタオルを取ろうと宗一が目線を下に落とすと、郁未がクルリと振り返り上目遣いで見下ろしていた。 「フフフ……」 その表情の妖艶たるや否や。 ゆっくりと右手を宗一の顎に伸ばし 「何を考えてたの?」 と尋ねてくる。 答えることが出来ずに宗一は逃げるように後ずさった。 だがその背中に柔らかい感触が当たる。 恐る恐る振り返ると葉子に抱きかかえられるように、宗一の身体は葉子の身体に収まっていた。 「あら……?」 宗一の姿を見て、葉子も嬉しそうに微笑む。 「郁未さん、宗一さんのここ、こんなになってますよ?」 葉子の右手が宗一の股間に伸びる。 「ちょ、ちょっ!」 逃げようとする身体を押さえるように郁未が身体で道をふさいだ。 「あら、ほんと」 「ね?」 まさぐる葉子の右手の動きが少しずつ早くなり、 郁未ははだけたシーツを直そうともせず、胸を宗一の身体に当てながら今度は下目に声をかけた。 「……ねぇ、何を考えてたの?」 繰り返された郁未の言葉に宗一の頭は真っ白になる。 何も答えない宗一の顔を見て、郁未はからかうように笑うと、頭を下げ、ズボンのファスナーに手をかけた。 ――いや、ちょっと、さすがにそれは! 止めようと叫びかけた宗一の口は葉子の唇によって塞がれた。 咥内に侵食する舌の感触に、脳がとろけそうになり意識が飛びかける。 全身から力が抜け、抵抗する意識の消えかけた宗一を見上げると、嬉しそうに郁未はトランクスごとズボンをずり下げた。 股間に聳え立つその巨頭を嬉しそうに眺めると、郁未は躊躇うことも無く咥えこんだ。 ――ちょっ!郁未さん!それやばい、やばいって! 上は葉子、下は郁未に執拗に全身を舐られる。 何かを言いたくても考えたくても、襲ってくる快楽に手も足も出ずただ流されることしか出来なかった。 ――あ、ダメ、あ、ああああああ 勢いよくそこで宗一は身を起こした。 自身の眼前には先ほどと変わらぬ星空。 身体を見渡すも服は脱がされた後も無く、先ほどと何も変化は無い。 強いて違いを上げるとすれば股間がじんわりと冷たい。 ――最悪だ、俺…… 数分後、ベットで眠る二人を起こさないようにそっとトイレに入り、 頭を抱えながら下着を洗濯する宗一の姿があった。 那須宗一 【所持品:FN Five-SeveN(残弾数20/20)包丁、ロープ(少し太め)、ツールセット、救急箱、ほか水・食料以外の支給品一式】 【状態:洗濯中】 天沢 郁未 【持ち物:支給品一式(水半分)】 【状態:右腕と頭に軽症(手当て済み)、睡眠中】 鹿沼葉子 【所持品:支給品一式】 【状態:肩に軽症(手当て済み)右大腿部銃弾貫通(手当ては済んでいるがまだ歩けるほどではない)、睡眠中】 共通 【場所:I-07診療所】 【時間:2日目2:00】 - BACK