「本当にごめんなさいエディさん・・・・、私、きっと宗一と一緒に生き残ってみせるからね・・・ それじゃあ、いってきます」 「エディ、約束は守ったるからな・・・・、あんたの代わりにうちらがこの糞ったれゲームをぶっ潰したる!」 エディの遺体はホテル跡の裏側に埋められた。 皐月達は一人一人、最後の別れの挨拶をしていた。 皐月の目にはホテルでの事件が起こる前以上に強い光が宿っていた。 彼女達はエディの冥福を祈り両手を合わせた後、その場を離れた。 ホテルの裏口を通り、フロントへと戻ろうとする。 すると、ホテルの入り口の方に複数の人影が見えた。 智子は警戒して捕縛用のバズーカ砲を構えようとしたが、すぐにそれは中断した。 「なあ広瀬、こんな幽霊が出そうな所よりも野性味溢れる野宿の方が素敵だと思わないか?」 「思わない、思えない、思えるかっ!大体幽霊なんて実在するわけないでしょ!」 「凄い3段活用だな・・・・」 周囲に全く注意を払わずに騒いでいる女と、引き摺られている男。 どう見てもゲームに乗った人間とは思えない。 遅れてもう一人女が入ってきたが、特に武器は持っていないようだった。 後はエディと出会ったときと同じである。 「・・・・あんたら、何やっとんのや?」 すっかり戦意を削がれた智子が呆れ顔で声をかけていた。 ―――そして今。ホテルの食堂で北川と智子が二人で話していた。 「そっか、じゃああんたらも首輪を解除しようとしとんのやな?」 「ああ。まだ有力な情報は何も得られてないけどな」 「まあこんなややこしいモン解除出来るヤツなんて、そうそうおらへんわな」 智子と北川は真面目に首輪の対策について話し合っていた。 だが結局の所自分達の知識ではどう頑張ってもこの首輪は外せない。 優れた技術力のある人間と偶然出会う事に期待するしかない、という結論が得られただけだった。 他の者達はどうしているかというと、幸村、花梨、皐月の3人は流石に疲れたのか別室で睡眠を取り、 広瀬と遠野はすぐ近くのキッチンで夕食の後片付けと明日の分の食料の確保をしていた。 このみはというと、 「えへへ、かわい〜」 智子達の話には我関せずで夢中でぴろに頬擦りしていた。 「あんたら、明日はどうするんや?」 北川は少し考えた、答えた。 「明日は村を中心に回ろうと思ってるよ。それが一番人とたくさん遭遇出来る方法だからな」 「でもそれって危険ちゃうんか?ゲームに乗った奴らに会う可能性も高いやんか」 「俺達は一応防弾性のある服を着てるからな。ショットガンもあるし少しは無茶出来ると思うぜ」 そう言って北川は自分が着ている割烹着の袖をぱんぱん、と叩いた。 何故このような服に防弾性があるかは非常に疑問が残るが、性能自体は勝平との1戦で証明済みだ。 「じゃあ明日になったら別行動やな・・。うちらのメンツじゃ無茶できへんからな」 「ああ、そうだな。それにバラバラに探した方が、首輪の解除が出来る奴を見つけれる可能性は高いしな」 「せやな。でもさっきホテル入ってきた時みたいな事はもうしたらあかんで。隙だらけや」 あの時の北川達の様子を思い出し、智子はぷっと笑った。 「い、いや、あれは深刻な事情があってだな・・・・」 「ま、ええわ。あんた意外にしっかりしてそうやし、大丈夫やろ」 しどろもどろになりながら言い訳をしようとする北川には構わず、智子は立ち上がった。 「どこ行くんだ?」 「今日はそろそろ寝るわ、あんたらも早めに寝えや」 そのまま智子は歩き去った。 北川は一息付き、このみの方を見た。 「あら、かわいい猫ね。私も触って良い?」 「うん、良いよ〜〜〜」 「お近づきの印にお米券を・・・・」 このみに加え、遠野と広瀬もぴろに群がっていた。 ぴろは少し疲れた様子だったが、みんな楽しそうだった。 北川はその様子を眺めながら微笑んでいた。 とても平和な光景だと思った。 こんなゲームの中だからこそこの光景はとても大事な、かけがえのないものだ。 ――――しかし、異変は突如訪れた。 ピピピピピピ・・・・ 「何だ?」 「この音、何なの・・・?」 どこからともなく、電子音が聞こえてきた。 北川達は音と出所を探り始めた。 ほどなくしてそれは判明した。 「この音・・・・、このみの方からしてない?」 「ふえ?」 そう言って、広瀬はこのみの首のあたりを調べた。 次の瞬間、全員が言葉を失った。 このみの首輪のLEDが点滅していたのだ。 嫌な予感が走る。 ピピピピピピピピピピピピピピピピ・・・・ 電子音の間隔はどんどん短くなっていた。 「柚原、すまんっ!!」 北川が弾かれたように飛び出し、遠野と広瀬の傍にいたこのみを突き飛ばしていた。 「あうっ!!」 このみは突き飛ばされ、地面に尻餅をついた。 「き、北川君、何で・・・?」 まだ状況を理解しきっていないこのみの表情には、驚愕の色のみが映っていた。 「・・・・・ごめん」 北川は顔を伏せたまま、それだけしか言えなかった。 その両手は遠野と広瀬の腕を掴んでいた。彼女達がこのみに駆け寄れないように・・・・。 直後、爆発音と共に食堂が光に包まれた。 「何事や!?」 すぐに、騒ぎを聞きつけた智子が銃を手に走ってきた。 皐月達も起きたのか、別室から物音がしている。 食堂に飛び込んだ智子が見たものは、泣きじゃくる広瀬と、表情を歪めながらも広瀬をなだめている北川、 床に倒れている遠野。そして、 「この・・・み・・・・?」 ――――首から上を消失した、かつてこのみだったモノだった。 智子は狂いそうになる心を必死に抑えて、状況の把握に努めた。 返り血を浴びている3人、このみの死体、すぐ近くのテーブルの上に置かれているショットガン。 ここから推測出来る事は・・・・・・ 智子の銃が北川に向かって構えられる。 「ほ、保科・・・・?」 北川は事態がよく飲み込めず、呆然としていた。 「・・・あんたらがこのみをやったんか?」 智子の目には、強い殺意が宿っていた。 幸村俊夫 【所持品:無し】 【状態:次の書き手さん任せ】 湯浅皐月 【所持品:無し】 【状態:次の書き手さん任せ】 ぴろ 【状態:爆発音に驚いて食堂の端に逃げた】 笹森花梨 【持ち物:無し】 【状態:次の書き手さん任せ】 保科智子 【所持品:38口径ダブルアクション式拳銃(残弾7/10)】 【状態:激怒】 北川潤 【持ち物:防弾性割烹着&頭巾】 【状態:驚愕】 広瀬真希 【持ち物:防弾性割烹着&頭巾】 【状況:号泣】 遠野美凪 【持ち物:防弾性割烹着&頭巾】 【状況:ショックを受け気絶】 柚原このみ 【所持品:無し】 【状態:死亡】 共通 【時間:E−4、ホテル跡】 【場所:1日目23:50頃】 ※北川、遠野、広瀬の荷物はショットガン以外は食堂の端へ、ショットガンのみすぐ近くにテーブルの上に ※智子達の荷物は38口径ダブルアクション式拳銃以外は幸村達が寝ていた別室に - BACK