お子様たちの再会




「ふあ………」

モニターから聞こえる声にわたしは目をさました。
胸にガラクタ人形をかかえたまま少しねむっていたようだった。

ぎぎぎ ぎぎぎ
ぎぎぎ ぎぎぎ

「えいっ」

必死に手足をうごかそうともがき、きしんだ音を鳴らせるそれに
すこしいらだったわたしはガラクタ人形の目に指をつきさした。

ぎっ―――

すこしおとなしくなった。
……そういえば何をするつもりだったっけ。

『もしもーし! 汐ーっ聞こえる〜?』

ああそうだった。モニターに通信がはいってたんだっけ。
わたしはねむい目をこすりながらモニターに近づく。

『おっはよーっ! みずかちゃん復ッ活ぁーつ』

画面にうつる女の子、わたしより少し年上の女の子。
――みずかおねえちゃんだった。

「おはよう、みずかおねえちゃん」
『おっはーっ、久しぶりー。これで何回目の再会かなあー』
「……みずかおねえちゃんは今まで食べたパンの枚数を覚えてる?」
『あ……はははは覚えてないな〜』


そう言って苦笑いを浮かべるみずかおねえちゃん。
彼女もまたわたしの計画に協力してくれている人の一人。
これまで幾度となくこのゲームを繰り返してきた。が、いまだ成功には至らず。
失敗したところでわたしたちには無限の時間があるからいいけど。
 
『――そういえばわたし以外で覚醒した人いてるの?』
「神奈おねえちゃんが覚醒したけど連絡ついてない」
『まいは?』
「まだ覚醒してない。それと、今回はこまだに最初から参加してもらってる」
『汐ちゃん汐ちゃん、一つ質問です。駒田ってダレデスカ?』
「……白髪の男の子、名前ないからわたしがつけた。こまだすごいんだよ? 二千本安打達成したし」
『あ〜名無しの少年かあ……変な名前つけないでよ』
「今こまだに繋ぐからちょっとまって」

わたしはそう言ってモニターのコンソールを操作し名無しの少年に回線を繋ぐ。
べつに彼の名前に意味はない、
遠い世界でおじいちゃんに教えてもらった野球選手の名前をつけてみただけ。

「こまだ、みずかおねえちゃん覚醒した」

ザザーッとモニターにノイズが走り少年が映し出される。彼は引きつった笑顔を浮かべていた。

『あのー汐ちゃん、駒田ってもしかして僕のことだったりするのかな?』
「そう、こまだきらい? じゃあぴの」
『…………』
「デストラーデ」
『…………』
「ブーマー」
『…………』
「わかった。グリーンウェルにするね、ケガをしたのは神のお告げと言ってアメリカに帰った人」
『駒田でいいです……』


久しぶりの再会を喜びあうわたしたち。
この世界はどんな結末になるのかな?




岡崎汐
【時間:すでに終わっている】
【場所:幻想世界】
【持ち物:不明】
【状態:みずか、少年と会話】

岸田洋一
【時間:すでに終わっている】
【場所:幻想世界】
【持ち物:なし】
【状態:ぎぎぎ】

みずか
【時間:一日目午後七時すぎ】
【場所:H-08】
【所持品:なし】
【状態:汐達と会話】

少年
【時間:一日目午後七時すぎ】
【場所:E-05】
【持ち物:レーション3つ】
【状態:汐達と会話】
【称号:二千本安打】
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