高槻ネオ




「ぴこっ、ぴこっ」

変な兄ちゃんとクソジャリと別れてから、俺様はとりあえず目的もなく歩いていた。

「ぴっこっ、ぴっこっ」

地図を広げてみたんだが今の場所がまず分からん。

「ぴぃーーーっこっ」

大体の予想で一番近そうなところは氷川村だと思ったんだが、極力人がいそうなところには行きたくなかった。

「ぴこぴこぉ?」

今日の運勢は最悪だしな、間違いない。

「ぴこぉぉぉ!」

「……うぜぇぇぇぇっ!」


一時は生涯の友(?)とまで上機嫌にポテトの相手をしてた俺様だが限界というものはある。
食料は全部取られるし歩きづくめで足はいてぇ。
そんな俺の気持ちも知らずぴこぴこ足元をはしゃぎまわりやがってこのクソ畜生。
他人の気持ちがわからない奴は最低だぞ?
あぁ?人のこと言えるのかって?俺はいいんだよ。
なんせ俺様は生まれ変わったんだ。

そう、この島は神様が俺様に与えてくれた新たなフィールド。
今までの俺様とは違う、新生高槻としてまったく違う境地を開拓しろってことだ。
言わばネオ高槻、いや高槻ネオ。
そうだよ、だいたいなんで下の名前が無いんだ。
差別だ。
人権侵害だ。
よって俺様は今日この時をもってネオと名乗る。文句あっか!あんならいい名前目下募集中だこの野郎!

……まぁ話はそれたが、今までの自分から一皮向けたって事だ。
ゲームに乗る気もしないし、だからって乗って無い奴と手を取り合って仲良しこよしなんてしたくもねぇ。
そこで俺様は考えた。
名簿を見る限り参加者の名前見ても女だらけじゃねぇか。
さっきも思っただろ、方向性を変える時だって。
これは啓示なんだよ。
悟った。まさに無我の境地。
『女を助けて美味しく頂いて去っていく』
あのクソジャリのせいでいきなり失敗に終わってへこみかけたが
まさか出会う女がみんなあんなのばかりじゃねぇはずだ。
うまくやればこれを機にゲーム化して主人公だって夢じゃない、そう思うだろ?



「ぴこぴこっっっ!!」

あぁもうさっきから本当にうっせぇな。
なんだっつーんだよ。
ポテトは全身の毛を逆立てて一直線に向かって吼えている。
なんかあるっつーのか?
俺様が訝しげな顔して尋ねると、一目散に走っていっちまった。
しめた!これで厄介払いできるぜとか思って、反対側にくるりと背を向ける。
だが三歩進んだところで、どっからワープしてきたのか俺様の前に立ちはだかるポテト。
お前本当に犬か?
あぁズボンひっぱんじゃねぇ。わかったよ、行きゃいいんだろ。
言いながら上をチラリと見上げる。バカでかい門が目の前にそびえ、俺様を頭上から見降ろしていた。
寺か……仏とか興味あるわけじゃないんだが、一応神様に礼でもしておくかと思って中に進んでいったんだ。

それがそもそもの間違いだったんだけどな。
勢い良く扉を開けた俺様の目の前には、昼間に会った郁乃だかってクソガキが変な女に首を絞められてる現場だった。

……なにこの展開?




【時間:21時頃】
【場所:F-8 無学寺】


高槻ネオ
 【所持品:ポテト、食料以外の支給品一式】
 【状況:半ベソで神様を恨んでる】
小牧郁乃
 【持ち物:写真集二冊、車椅子、他基本セット一式】
 【状況:激怒】
立田七海
 【持ち物:フラッシュメモリ、他基本セット一式】
 【状況:意識不明】
柚原春夏
 【所持品:要塞開錠用IDカード/武器庫用鍵/要塞見取り図/支給品一式】
 【武器(装備):500S&Wマグナム/防弾アーマー】
 【武器(バッグ内):おたま/デザートイーグル/34徳ナイフ(スイス製)】
 【状況:あと10人】
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