怠惰を抱いた




血って結構かぴかぴになるんだな。
そんなことを考えながらボーっと河島はるかは歩いていた。
あれ?かぴかぴなんて日本語あったっけ?
徒然と考え、最終的な結論は。
まぁいいか。どっちでも。めんどくさい。
そこに行き着く。
はるかはあの後目的も定めずに歩き詰めていた。
剣を手から離さず、返り血もそのままに。
偶然か、姿を見て逃げられたか、誰とも会わずにここまで来た。
仮に見付けても追う気などさらさらなかったが。
そして。
「あ……」
海へと辿り着く。
そういえば……
「前……」
冬弥と話したっけ……
南の海とかに潜ってみたいなって。
期せずして連れて来られてしまった皮肉な運命に、ぼんやりとした笑いを返す。
(でも、はるかの場合、何かにつないどかないとどこまでだって流されていきそうなんだよな)
流されるまでもなくついちゃったよ……


「一日中……」
空と雲眺めて。
お腹空いたら椰子の実が流れてきて。
好きな時に好きなだけ眠って。
目が覚めても見えるのは空だけ。
太陽と、月と、星と。
「いいかも……な……」
冬弥と一緒ならもっとよかったかもしれないけど。
ここには椰子の実なんて流れて来ないかもしれないけど。
それでも、それもいいかもしれない。
人を殺しても彰が話してくれる本の中の様な感動なんてなかった。
それより、きっと散歩でもしていたほうが楽しいだろう。
ここで眠って。
起きたら海に潜ったり。
お腹が空いたら……空いた時に考えよう。
死ぬまでにお腹が空くかもわからないし。
何より、今はただ、めんどくさい。
考えるのも、起きてるのも、生きてるのも。
「ねよ……」
はるかは呟いて、砂浜に寝そべった。
剣を手から離さず、返り血もそのままに。




河島はるか
【時間:一日目午後五時頃】
【場所:D-08の海岸線】
【持ち物:デイパック、水の消費、ニンジャソード】
【状態:寝る。ニンジャソードは持ったまま。返り血浴びてます】
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