夜道を人が3人歩いている。 二人の少女と、一人の少年が歩いている。 全員が割烹着を着て頭には頭巾を被っており、その存在感は一際異彩を放っていた。 北川は親友と合流出来たにもかかわらず、別行動を取った。 それは何故か。 ・このゲームでは仲間が多ければ多いほど安全なわけではない。 人数が増えると裏切りの可能性も高くなるはずだ。 ・仮に多人数の仲間を作り、その仲間達が全員裏切らなかったとしても 首輪を何とかしなければどうしようもない。 ・島内を探索するには小数の方が身軽で動きやすい 以上の理由から北川は祐一達と別行動を取り、首輪を解除出来る技術力を持った人間を探していた。 そして今彼らは平瀬村からそう遠くない位置へとあるホテル跡へと向かっていた。 本当はすぐに平瀬村へと向かいたかったが、夜中は見通しが悪く危険だ。 下手に夜に動き回るより、ホテル跡に泊まって明朝動いた方が良いだろうと考えての結果だ。 広瀬真希と遠野美凪は最初は北川の導き出した今後の行動方針に感心していた。 確かに北川の言うとおり、首輪を解除しなければどうしようもない。 彼女達は北川を見直し、尊敬もした。しかしそれは長く続かなかった。 「なんで俺達、ずっとこんな格好してるんだろうな…」 「一応防弾性があるらしいんだから、文句言わないのっ!」 「実はそう見せかけて、単に主催者の趣味なだけかもしれないぞ」 「…………ぽっ」 「んなわけないでしょっ!アンタも信じないのっ!」 今ではこんな調子で、すっかり元の凸凹□トリオに戻っていた。 「とにかくもうちょっとでホテルに着くはずだ。そろそろ荷物を任せても良いか?」 これでも一応男だからな、と言ってこれまで3人分のデイバックを持っていた北川だったが、 目的地が近付いたのでバックを遠野と広瀬に返していた。 「うん、ご苦労さま」 そう言いつつバックを受け取る広瀬。 「ご苦労様で賞……進呈」 そう言いつつポケットを探り出す遠野。 「いや、お米券はもういらないぞ……」 「…………残念」 遠野は本当に残念そうに、取り出したお米券を閉まった。 そんな事をしながら歩いていると、ようやくホテル跡が見えた。見えたのだが。 「……これはあんまりじゃないか?」 眼前に見える建物は、まるで幽霊屋敷。ボロボロであった。 ホテル跡は夜な事も合わさって、いかにも”出そう”な雰囲気を有していた。 「それでも今から他の場所に行くのは危険だし、体力的にも厳しいわよ」 北川は少し顎に手を当て考え込み、目の前のホテル跡と地図を交互に見やった後結論を出した。 「ホテル跡に泊まる…………そう考えていた時期が俺にもありました」 遠い目をしつつそう言って踵を返そうとする北川。 「ちょっとアンタ、どうする気なの?」 ジト目で尋ねる広瀬。 「ここからなら山が近いしそこで野宿する。山でキャンプ……最高じゃないか!」 身振り手振りを交えて力説し、颯爽と山へと向かおうとした北川であったが、 ガシッ! 「そんな所にレディーを泊まらせないのっ!」 彼は首根っこを広瀬に掴まれて、ホテル跡に向かって引きずられていった。 「………勇敢で賞、進呈」 当然後ろでは遠野がお米券を渡すチャンスを伺っていた。 こうして彼らは沖木島・肝試しツアーを開催する事となった。 【時間:1日目午後8時半ごろ】 【場所:E−4、ホテル跡】 北川潤 【持ち物:SPAS12ショットガン 防弾性割烹着&頭巾、他支給品一式、お米券】 【状態:疲労、首輪を外せる技術者を探す】 広瀬真希 【持ち物防弾性割烹着&頭巾、他支給品一式、携帯電話、お米券】 【状況:疲労、北川に同行】 遠野美凪 【持ち物:消防署にあった包丁、防弾性割烹着&頭巾 水・食料、他支給品一式、お米券数十枚】 【状況:疲労、北川に同行】 - BACK