狂人の目覚め




 気絶していた月島拓也はついに目を覚ました。
「あのじじい、次にあったら必ず殺してやる。ん?」
彼は頭を振って起き上がると、電波が使えるようになっていることに気が付いた。
「ああ、瑠璃子の電波を感じるよ……向こうの方角だ。
初めて見るけどよく知っている、くっけっけっけ!!!
ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ!ひゃああああああああッ!!!
すぐに迎えにいってあげるよおおおおおおおおッツ!! 」
彼は一度強力な電波を周囲に放つと、瑠璃子の方角に向けて歩き出した。

チリチリチリチリ

 激しく流れる電気の粒は、近くにいた往人たちを直撃する。
そのとき、宙吊りになっている往人の前に古ぼけた人形が現れた。
人形は往人を守るように淡い光を放っている。
「これは俺の人形……どうしてここに?」

「「ぎゃー!」」
「ぴこー!」
傍で高槻、香里、そしてポテトの悲鳴が上がる。

「せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、
せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、
せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、
せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、せっくす、
せっくす、せっくす、せっくす、せっくす……もっとセックスする!」

 香里は卑猥な言葉を吐きながら、ふらふらと歩いていってしまった。
下ではポテトが奇怪な踊りを踊っているようだ。
「一体どうしたんだ?」
往人が考える間もなく、続いて隣から声が上がる。

「参ったぁーー! 俺は参ったぁーーー!!」
高槻はそう叫びながら、左足で右足のロープを切り裂いた。
そして地面に降り立つと、往人を下に一気に引っ張った。
右足のロープはその力で引きちぎられ、往人は高槻に組み伏せられる。
「何をするんだお前は!」

 そこに、放送を聴いてショックを受けていたマナが帰ってきた。
「……アンタら何やってんの……」
「逃げろ! 今のこいつは正気じゃない!」
高槻の濁った瞳がマナを捉えた。




 美坂香里
 【時間:午後8時15分ごろ】
 【場所:F−7】
 【持ち物:アーミーナイフ・Remington Model 700Police装着数4 残弾数51、支給品一式】
 【状態:電波直撃】

 国崎往人
 【時間:午後8時15分ごろ】
 【場所:F−7】
 【所持品:人形】
 【状態:貞操の危機?】

 高槻
 【時間:午後8時15分ごろ】
 【場所:F−7】
 【所持品:なし】
 【状態:電波直撃】

 月島拓也
 【時間:午後8時15分ごろ】
 【場所:F−7】
 【所持品:支給品一式】
 【状態:瑠璃子に会いに行く】

 観月マナ
 【時間:午後8時15分ごろ】
 【場所:F-07】
 【所持品:ワルサー P38・支給品一式】
 【状態:意気消沈】

 【備考:往人の所持品と高槻の所持品は木の根元に散在、詳細は下記に。
     トカレフTT30の弾倉(×2)、ラーメンセット(レトルト)化粧品ポーチ 支給品一式(×3=往人と名雪と拓也と高槻のバッグ)】
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