力の制約




「ぐ…ぐぁぁぁっ…」
鬼の力から開放された柳川 祐也は、全身を襲う激痛と
脱力感に苛まれていた。

ヨロヨロと近くの木にもたれかかり、跪く。
これが主催者の言っていた能力の制限って事なのか。
チッ…せっかく鬼の力を意のままに使えるようになったというのに
全く持って不便な話だ。

それならずっと鬼の姿でいればいいのか…?
柳川は鬼の姿になるべく、精神を集中しようとする。
…が、全身を襲う痛みに、その集中は邪魔されてしまう。

ククククク…
そうそう都合の良い話など無いらしい。

元は焼場だったのであろう廃墟から、
おそらくは支給品の一部だったのであろう衣服の中で
かろうじて自分が着れるものを探し出し、
人気の無い場所を探して潜伏する。

しばらくすると痛みも多少収まってきたので、
思考を整理する事にする。

今の状況からして、鬼の姿になれるのは、一日の中で
せいぜい1〜2回。しかも、それほど長い時間は無理だろう。
およそ30分からどんなに長くても1時間ってところか。
そして、その後には今のような激痛と脱力感に見舞われるので、
そこで再び変化する事も無理だろう。
つまり、変化が解かれてしばらくは、完全に無防備になってしまうと
いうことだ。多用できるものじゃないな…。



リー、リー、リー…
虫の鳴き声が静かに独唱を奏でる中で、
柳川は一人、空を見上げる。

倉田…綺麗だな、ここの夜空は。
血みどろの穢れた大地を静かに見守る満天の星空。
その星空に抱かれるように、今は独り…眠りにつく。




『柳川 祐也(111)』
【場所:H−07、元スタート地点の廃墟】
【時間:午後11時すぎ】
【所持品:なし】
【状態:辺りの気配を探りつつ、仮眠】
【能力の制限について:エルクゥ化できる条件は、喜怒哀楽の感情が一定以上に
 昂ぶった時(判断は書き手様にお任せします)。回数は10時間に1回程度で
 1回の変化につき、最大で1時間まで。その後、30分ほどは激痛と脱力感に
 見舞われて無防備になる。】
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