――』 「……むにゃむにゃ」 『―― 「…うるさいですねぇ、むにゃむにゃ…」 ――――』 「…むにゃ」 「……すー、すー」 ズドォォ ーン ! 「 っ!!」 突然の異質な音に眠気は吹っ飛び、起きあがる。 ズドォォ ーン ! 「わぁっ!」 あわててその場に伏せる。 この音は銃声? しかもすぐ近くだ。 逃げなきゃ…と荷物を持ってその場から駆け出そうとしたまさにそのとき! ズドォォ ーン ! その荷物から銃声が発せられた。 「…はあ」 名倉由依は支給された携帯電話を見ながら一人つぶやいた。 「なんでメールの着信音が銃声なんですか。もっと明るい音楽とかにしてくださいよ…」 少し前に服の調達という大きな問題を解決した由依はあれから自分に与えられた支給品をチェックしていた。 その結果、地図より今鎌石小中学校という所にいるということ。また名簿から友里だけでなく、郁未や晴香といった友人たちも巻き込まれていること。 そしてこの携帯はこの島内ならどこにでも電話及びネットワークがつながるということを知ることができた。 だがここに来るまでに相当の疲労と緊張感があったせいか、そのまま眠ってしまっていたのである。 そして銃声…もとい携帯のメール着信音によって受信したメールをいぶしげながらも確認しようとしているのだが、 「死亡者リストなんて…ふざけてませんかぁ」 メール差出人には主催者とだけ表記されていた。あらかじめこの名前が登録されているからにはいたずらではなく本当に主催者からのものなのだろう。 由依はこのメールを開くのを躊躇した。なぜならそこにもしかしたら姉や仲間の名前が刻まれているかもしれないのだから。 迷ったあげく由依はメールの開封を決意した。開封のボタンを押下すると本文が画面上に展開される。 まずはじめにこのメール及び差出人に対して返信ができないこと、そしてこのメールは朝の6時と夕方の6時に行われる放送で発表された死亡者を掲載するということが書かれていた。 そして数行の空白行が続いた後…死亡した参加者の名前が羅列されてあった。 一行一行画面をスクロールし、新たな死亡者の名前が明るみになる度に息をのむ由依。 ――以上 メールはその文を最後に終わっていた。お姉ちゃんも、郁未さんたちも無事だった。だが由依は素直に安堵な気持ちにはなれなかった。 なんせこの数時間の間に10人以上もの人が亡くなっているのだ。その中にはあの血まみれになっていた女の人も含まれているのだろう。 そして残された人々、何より亡くなった人の関係者はどう思うのだろうか。 「……どうしてこんな誰も望まないことが平然と起きるんですかぁ」 由依は誰もいない空間へ向かって問いかけていた。 【時間:1日目18時20分頃】 【場所:D−06:鎌石小中学校内】 名倉由依 【所持品:鎌石中学校制服(リトルバスターズの西園美魚風)、 カメラ付き携帯電話(バッテリー十分)、 荷物一式、破けた由依の制服】 【状態:消沈気味、体力は回復。】 【備考:由依は放送時眠っていたので放送の内容自体は聞いていない】 - BACK