膠着




柚木詩子とセリオは街道沿いに鎌石村へと向かって歩いていた。
詩子は放送を聞くまでは落ち着いた様子で、歩くペースも遅かった。
しかし今は明らかに歩く速度が速まっている。
彼女は明らかに焦っていた。

先ほどの放送で、知り合いの名前はなかった。
しかし、放送は詩子を大きく動揺させていた。

「詩子さん。もう少し落ち着いた方が良いと思われますが」
セリオが諌めようとするが、
「落ち着いてられないわよ!もうあんなに、人が死んだのよ!?」
こんな調子であった。

(茜……、どこにいるの……?)
彼女はそれだけを考えていた。

そのまま苛ついた様子の詩子と、それとは対照的に落ち着いた様子のセリオは歩き続け、
ようやく鎌石村に到着した。
その頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。

詩子達がまずは民家を調べてみようと歩き出したその瞬間、それは起こった。

「えっ、何!?」
セリオは突然詩子を抱きかかえ、民家の塀に向かって駆け出していた。
直後、ダダダダダ…という音が聞こえ、彼らが元にいた場所の地面と、
セリオの左足の甲の部分の1部が、吹き飛んでいた。
それでもセリオはそのまま走り続け、何とか塀の影まで辿り着いていた。

「くそぅ!」
襲撃者、山田ミチルは悔しそうに叫びながらも、すぐさま姿を隠した。



「危ない所でした、敵襲のようですね。」
セリオはいまだ冷静そのものだった。
「ちょ……、セリオ!大丈夫なのっ!?」
「余裕があるとは言い難いですね。相手はマシンガンを持っているようですから」
「違うわよっ、あなたの足の傷の事よ!」
「私はロボットですから、頭部さえ破壊されなければ致命傷にはなりえません。
それよりも、今は敵をどうするかが重要です。」
落ち着いた様子で、そう告げるセリオ。

センサーを光学から赤外線に切り替え、民家からそう遠くない木の影に隠れている敵を調べる。
>身体能力:女子高生の平均的レベル
>装備:マシンガンの類と推測。危険度レベルはかなり高い
>山田ミチルを脅威的な存在と断定、警戒レベルAへ
>左足損傷チェック........損傷度35%、最高速度での走行は困難、通常歩行は問題無し

状況を分析しつつ、グロック19を構えるセリオ。
その様子を見て、詩子も慌ててニューナンプM60を鞄から取り出していた。

「ちょっと!これからどうするのよ!?」
「相手の隠れている場所と、私達のいる場所との間には効果的な遮蔽物がありません。
先に動いた側が不利になります。」
「それってつまり、このままこうしてるしか無いって事?」
「相手の出方次第ですが、そうなりますね。」


(相手は銃を持っているかもしれない……迂闊には姿を出せないわね)
山田ミチルは木の影に隠れながら考えていた。
(一旦離脱すべき…?それとも、ここで勝負を決めるべき……?)
考えても答えはでない。


詩子達も、ミチルも、動けないでいた。




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【時間:1日目、19時半頃】
【場所:c-03】


セリオ
【持ち物:グロック19(椋に支給された銃・全弾装填済み)。予備弾丸13発。支給品一式】
【状態:左足の甲の一部を損傷。専守防衛】

柚木詩子
【持ち物:ニューナンブM60(5発装填)&予備弾丸2セット(10発)・支給品一式】
【状態:緊張、やや疲労】

山田ミチル
【所持品:MG3(残り30発)、ほか支給品一式】
【状態:健康。ゲームに乗っている。】


*B-9にこの話を採用する時は、山田ミチルのMG3の弾数を(残り25発)にしてください。
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