この世の果てでみゅーと鳴く少女 MA−YU




時刻は午後5時50分、放送直前。
折原浩平(016)は森をグルグル回っていた。
「迷った。」
その時であった。浩平のカバンが金色に光る。
『参加者よ、よくぞ我等を生かしてくれた。』
「何っ!?」
『我はだんご大家族の長、だんご大家族(父)である。』
「俺は折原浩平、通称お兄ちゃんだ。」
『了解した、お兄ちゃん。
 第一回放送まで我らを欠損することなく生かし続けた者に対し、
 ボーナスを授けるのが我の使命だ。』
「ほほう。して、そのボーナスとは?」
『お主の求める人間の元に、我がナビゲートしてしんぜよう。』
「マジか。」
『ただし一人だ。複数にしてしまうとお兄ちゃんだけ有利になりすぎてしまうからな。』
「・・・まぁいい。ありがたいことに変わりはないからな。」
『ではお兄ちゃん、誰を求めるか。やはり、長森・・・』
「椎名繭だ。」
『ほう?』
「こういう時長森長森言ってても芸がないからな。新鮮味も。
 今回、俺は繭ルートを経てここに存在することに決めた今決めた。
 俺と繭は、彼女の放尿の際発生する音も聞いたことのあるくらい深い仲だ。」
『何と下品な・・・』
「いま俺、痛いこと言ってるね。うん、失言。編集で切っといて」
『そんな機能はない。・・・ふむ、しかしお兄ちゃん。』
「何だまだ文句あるか。」
『いや、椎名繭という女子は、既に絶命しているぞ。』
「マジか?!」
『まぁ、手がない訳ではないが。』

マジか?!!!」
『お兄ちゃん達は気がついていないかもしれないが、
 この世界は平行世界で成り立っている。
 他の世界に旅立てば、椎名繭の生存するルートもあるであろう・・・。』
「マジか?!!!!!!」
『少々待て、検索する・・・む、何と。』
「どうしたっ。」
『お兄ちゃん、椎名繭の生存するルートは、ない。』
「マジで?!!!!!!!!!」
『端的に一つだけは存在するのだが・・・そこで椎名繭は、奈良カッターや翻訳こんにゃくと戯れている。』
「マジか?!!!!!!!!!!!!」
『ただし、その世界は紡がれていない。
 かけら紡ぎの行われていない世界に旅立つということは、お兄ちゃん、
 お主がその独自ルートの建設者として世界を成り立たせねばいけないのだぞ。』
「構うもんか。繭が生きているなら、それでいい。」
『そうか・・・では、これをやろう。これは並列世界を行き来するための「装置」だ。
 残念だが欠陥品で、宝玉セーブもできなければ片道しか使えない。』
「おお!やった、早く俺を送ってくれ。」
『ちょっと待て、お兄ちゃん。その前に一つ願いがある。』
「何だ?早くしろ3,2,1はい」
『この装置は欠陥品故に、荷物の持ち込みもできないのだ。
 即ち、お兄ちゃんが去った際我等はこの場に取り残される。
 それは我等にとっては危機的状況だ。』
「それがどうした早く結論言え。」
『我等を古河渚ちゃんの元へ送ってくれ。
 彼女の元なら、我等も安心して過ごせるであろう。』
「よしきた、それじゃあ渚ちゃんの元へ出発だぁっ!」
『頼もしいよお兄ちゃんっ。』
「そして、俺は新世界の神になるっ。待ってろよ繭〜。」
『人間って・・・面白っ!』




折原浩平
 【所持品:だんご大家族(だんご残り100人)、日本酒(一升瓶)、装置、他支給品一式】
 【状態:渚を探す】

 【時間:1日目午後6時過ぎ】
 【場所:D−02(迷って戻った)】
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