虐待日記




 1時間を越える神奈とムティカパの激闘もそろそろ終焉を迎えようとしていた。
「畜生の分際でよくここまでやったと褒めてつかわそう!だがこれで終わりだ。
余の最終奥義、とくと目に焼き付けて逝くがよい!くらえ、必殺……」

   「  ペ  ル  セ  ポ  リ  ス  神  魔  碑  紋  !」



(わたしたち勝った、ぶいっ!)
「余の活躍を数行で終わらせるでない!真面目に書くのだ」
(が、がお)

            ──────1時間程前──────

「戦闘力5、まったく益体もない。余の宿主を喰い殺すとはいい度胸だ。
この代償は貴様の命で払ってもらおう!」

 起き上がり勢いよく向かってくるムティカパを、神奈は鋭い目で睨みつける。
「弱点は水……か、ならば……」

「汝、美の祝福賜らば、我その至宝、紫苑の鎖に繋ぎ止めん!アブソリュートゼロ!」
(にはは、スーパー○イヤ人が魔法で攻撃。すごく似合わない)
氷の精がムティカパを取り囲み、首から下を氷漬けにしていく。

「ギャーーーース!」

 森の王は悲鳴をあげて激しく首を振るも、
固く閉ざされた氷の檻を破ることは出来そうもなかった。

「いい気味である。しばらくもがき苦しむさまでも眺めているとしよう」
(神奈ちゃんキャラ変わりすぎ……)

           ──────20分経過──────

「そろそろ頃合いだ」
神奈はおもむろにライフル銃を取り出し、ムティカパの右前足に照準を向ける。

───バンッ───

「ウォゥ!」

(今度は銃撃してる、魔法よりはましかな?)
「いちいち茶々を入れるでない。これは余の気を込めた特製のもの。
光速の10倍の弾丸を撃てるのだ」
(もう毛の硬さとか関係ないよね)
「すぐには楽にしてやらぬぞ。観鈴の受けた苦しみを思い知るがいい!」

(獰猛なトラを見つけたので、虐待することにした。
水が苦手なようなので、まずは氷で閉じ込める。
首だけわざと残して、悲鳴が聞こえるようにする配慮も忘れない。
氷が解けて毛が柔らかくなったところで、体中をライフルで打ち抜く。
もちろん急所に当てて即死させるような野暮な真似はしない)
・
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           ──────冒頭にもどる──────

(どこによくやったと褒める要素があったのかな?)
「それは言葉のあやだ」
(このトラどうしよう?)
「せめてもの情けだ。食用に加工しておいてやろう」
(が、がお。こんなの食べたくない)


『トラの塩漬けあります────ご自由にお取りください』

「なんや肉が積まれとるな」
「オレッチのパンよりズット美味そうだナ。もらっていくカ」




 エディ
 【時間:午後4時半ごろ】
 【場所:E-03】
 【所持品:支給品一式、古河パン×30、ムティカパの塩漬け×5】
 【状態:健康】

 神尾観鈴 
 【時間:午後4時半ごろ】
 【場所:E-03】
 【持ち物:カンペ】
 【状況:霊体】

 保科智子
 【時間:午後4時半ごろ】
 【場所:E-03】
 【所持品:支給品一式、専用バズーカ砲&捕縛用ネット弾×3、ムティカパの塩漬け×5】
 【状態:健康】

 神奈 
 【時間:午後4時半ごろ】
 【場所:E-03】
 【持ち物:ライフル銃】
 【状況:とりあえず怒りは収まった】

 ムティカパ 
 【時間:午後4時半ごろ】
 【場所:E-03】
 【持ち物:なし】
 【状況:死亡(炭疽菌に汚染された塩漬け肉として積まれる、あと40個)】
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