久瀬のもうひとつの役目




このゲームが始まってかれこれ数時間………
久瀬はまだ例の部屋にいた。
たびたび水と食料が部屋に不定期に送られてはきたが、誰がどのように送ってきたのかは久瀬にはわからなかった。
さらに、この部屋に来てから尿意等がまったくしないということも気になっていた。
そのため、久瀬はこれは例の人のものではない力によるものだろうと思った。

『やあ、調子はどうかな久瀬君?』
「――!? 貴様は!」

久瀬が見ていたモニターの映像が突然変わり、あの殺人ゲームのスタートを告げた忌まわしいウサギが画面に映った。

『―――いかがかな? 君のために特別に用意した121番目の参加者―――『観測者』となった気分は?』
「…………最悪だな。こんな役割まで用意して、いったい貴様たちは何を企んでいる?」
『それは最後までこのゲームを見届ければわかるさ。
………さて、本題に入るが、実は君にもうひとつ頼みたいことがある』
「なんだ?」

『今島で行なわれているゲームは毎日朝6時と夕方6時にこれまで出た死者を発表する定期放送というものがあるんだがね。
それのアナウンサーを君にお願いしたいのさ』
「なんだって!?」
『5時59分になったらこれまでの死者の名を君の部屋のモニターに送るから、6時になったら随時発表してくれたまえ。
君の部屋に仕掛けてある隠しカメラとマイクから君の声と顔が島に送られる仕組みになっているからね。
ああ。基本的には何を言ってもいいが、我々に関する情報、参加者に対してゲームを止めるように促すこと等を言うのは禁止だよ。
少しでも言った瞬間、君を君の部屋ごと木っ端微塵に爆破するつもりなのであしからず』
「クッ……」
それのどこが自由なんだ、と思いながらも久瀬はウサギの言うことにただ従うしかなかった。




 久瀬
 【時間:午後5時】
 【場所:不明】
 【状態:健康】
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