眠り姫




「にはは、ありのままに起こったことを話すよ。

『わたしは祐一さんと行動をともにしていると思ったら、いつの間にか一人になっていた』

何を言ってるのかわからないと思うけど、わたしも何が起こったのかわからなかった。
おいていかれたとか、幻を見ていたとか、そんなチャチなものじゃ断じてない。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わった」

 神尾観鈴は困惑していた。一緒に行動しようと決めた祐一が、何故か忽然と姿を消したからだ。
とりあえず辺りを適当に探しまくったが、結局見つけることはかなわなかった。
「もう疲れたよパトラッシュ。少し眠ってもいいよね」
(駄目です先生。まだ仕事がたくさん残っています)
「が、がお。なんか変な電波受信した」

 彼女は横になり、仮眠をとることにした。
武器を持っていないので、どうせマーダーに対抗する手段はない。


夢、夢を見ている

3人の男女が旅をする夢を

「柳也ど───」

───ガブリ───

 獲物を求めて彷徨っていたムティカパは、眠っている観鈴の横腹に噛み付いた。
引き摺り出された胃の中から、消化途中のパンがあふれ出てくる。
続いて心臓を引き摺り出し、意識のない病原体保有者に止めを刺す。
一心不乱に肉を引きちぎり貪り食うその獣は、
後ろで翼を広げてたたずむ少女の姿に気付いていなかった。

「破ッ」

 少女の掛け声ひとつでムティカパは遠方まで吹き飛び、木に叩きつけられた。
彼女の周りからは異様なオーラが立ち上り、景色が揺らめいている。
その髪は徐々に逆立ち、色を金色へと変化させていく。

「戦闘力5、まったく益体もない。余の宿主を喰い殺すとはいい度胸だ。
この代償は高くつくぞ。貴様の鼻水を飲み尽くしてくれよう!



まて、なんでそんなものを飲まねばならぬのだ。
変なことを書くでない!」

(が、がお。ちょっとした冗談)




 神尾観鈴 
 【時間:3時ごろ】
 【場所:E-03】
 【持ち物:カンペ】
 【状況:死亡(神奈の力で霊体になる)】

 神奈 
 【時間:3時ごろ】
 【場所:E-03】
 【持ち物:不明】
 【状況:怒り心頭】

 ムティカパ 
 【時間:3時ごろ】
 【場所:E-03】
 【持ち物:なし】
 【状況:軽傷、炭疽菌に感染】

 【備考:さすがは神奈様だ、瞬間移動してもなんともないぜ】
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