氷川村




PM5:00過ぎ。
向坂雄二一行、氷川村到着。
静かな場所である、立ち並ぶ民家に人気は感じられない。

「なぁ、何でこんな時間かかったんだ?」
「さぁ・・・」
「まぁ、目と鼻の先のはずだったんだけどね」
「はわわ・・・すみません〜〜」

顔を覆うマルチ、道中こんなことがあったんだ。




「はぅ?!」
「どうした、マルチ」

いきなり大声を出したマルチ、貴明が聞いてみたところ。

「わ、私の耳がぁ〜〜」
「あれ、本当だ。アンテナみたいなの、かたっぽなくなっちゃってるね」
「うお、マジだ。なくても動けるもんなのか?!」

興味深そうにジロジロ見られる、マルチは頬を染めて俯いてしまった。


「はう〜〜ダメなんです〜、わ、わたし、わたしはメイドロボとして、あ、あれがないとぉ・・・な、ないとぉぉ!!」
「お、落ち着いてマルチ。多分そこら辺に落としただけかもしれないからさ」
「そうそう。さっきからよく転んでたし、その弾みなんじゃね?」

・・・が、これに意外と手間取った。

「・・・え、えっと。ここでも・・・あれ、あっちでも転んでなかった?」
「いや、新城。ここもあそこもみーんなだ」
「はわぁ、すみません〜〜〜」

結局茂みの奥から見つかるまで、ゆうに一時間弱。
本来ならば日が暮れる前に、到着できたというのに・・・

「す、すみません〜・・・」
「いいから、気にしないの。見つかって良かったね」
「は、はいっ!ありがとうございます、沙織さんっ」

ここまで他の敵対者に会うこともなく順調に来れたからか、彼らはのん気なものであった。
緊張感の欠片もない。

だが、それはここまで。




「・・・!雄二、あっち誰かいる」

貴明が雄二の手を引く、沙織とマルチも向かいの民家の影に逃げ込んだ。

「・・・おい、誰も来ないぞ」
「しっ!静かに。」

貴明の真剣な表情に、思わず雄二も押し黙る。




・・・実際、彼の感覚は当たっていた。

「ほほう、気を抜いていたとはいえ、俺の気配を読み取るとはやるじゃねえか」

四人組の数十メートル先、彼らからは死角になっているであろう場所。
そこに、那須宗一は立っていた。
右手にはFN Five-SeveN。準備、万端。

「来やがれ、腕が鳴るぜ」




 那須宗一
 【時間:午後5時15分過ぎ】
 【場所:I−07】
 【所持品:ベレッタ トムキャット(残弾7/7)、FN Five-SeveN(残弾20/20)、包丁、ツールセット、ロープ(少し太め)、救急箱、ほか水・食料以外の支給品一式】
 【状態:周囲を警戒している】

 河野貴明
 【時間:午後5時15分過ぎ】
 【場所:I−07】
 【所持品:Remington M870(残弾数4/4)、予備弾×24、ほか支給品一式】
 【状態:周囲を警戒している】

 向坂雄二
 【時間:午後5時15分過ぎ】
 【場所:I−07】
 【所持品:死神のノート(ただし雄二たちは普通のノートと思いこんでいる)、ほか支給品一式】
 【状態:貴明の後ろに隠れている】

 新城沙織
 【時間:午後5時15分過ぎ】
 【場所:I−07】
 【所持品:フライパン、ほか支給品一式】
 【状態:フライパンを顔の前にかかえびびっている】

 マルチ
 【時間:午後5時15分過ぎ】
 【場所:I−07】
 【所持品:モップ、ほか支給品一式】
 【状態:あわあわしている】
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