篁は怒り心頭に来ていた。 (おのれ……オノレ……この私が……) (このような愚劣なゲームに参加しろだと……?) 篁は今何も持っていなかった。 怒りに任せ開いた戸棚を思い切り殴り付けていた。 支給品ごとに。 こんなゲームに参加させられてむざむざ施しを受けるなど篁には耐えられなかった。 (巫山戯……おって……) 篁は又、怒りに任せて傍に在る木を力任せに殴る。 ドゴォ……と凄まじい音がして、梢が揺れる。 (何なのだ……この封印とやらは……) その木には罅が入り、拳の跡が刻まれていた。 普通の老人では在り得ない様な膂力だった。 が、それでも彼の本来の力の一欠片も出せていない。 (忌々しい……) しかし、篁を本当に怒らせていたのは封印ではなかった。 (この私を駒にしてゲームをするだと……?) (最後まで残った者は生かして帰してやろう……?) (巫山戯る……な……) 彼の背中からどす黒いオーラが立ち上っている様にも見えた。 「必ず……後悔させてくれるわ……」 「地獄の底で……その罪を悔いるがいい……」 噛み砕かんばかりに力を込めた奥歯がぎりぎりと悲鳴を上げる。 もう一度力任せに木を殴り付け、篁はその場を去った。 篁に殴られたその木は軋む様な音を立てる。 暫くして、めきめきと嫌な音を立てていたその木は、倒壊した。 そして、その場に静寂が戻った。 篁 【時間:一日目午後三時頃】 【場所:E-04とE-05の境目付近】 【持ち物:無し】 【状態:怒り心頭、目標はゲームの主催者の皆殺し、参加者は眼中に無い】 - BACK