芳野祐介は溜息をついた。 傍らで眠る少女、長森瑞佳をなだめるのには、意外と手こずり時間もかかった。 そして、この始末である。 「・・・すぅ・・・すぅ・・・」 叩き起こす、かついで氷川村まで移動する、放っておく。 選択肢はいくつもあるが、祐介はそれを選ばなかった。 隠れられるだろう茂みに入り、瑞佳を横たえると自分はその隣で周りを警戒する。 「たっく、いつになったら氷川村に行けるんやら」 まぁ、仕方ないか、という諦めにも似た思い。 ちらっと盗み見る。 もぞもぞと体を丸くしてる瑞佳、まだまだ可愛い年頃だ。 「・・・風子よりちょっと上、くらいだよな」 その時、彼女の抱えるデイバックも目に入る。 彼女の支給品・・・祐介は、それに目をつけた。 (悪いけど、いい物だったら頂戴するか) 丸くなっている体を押しのけ、鞄を取り出す。 気づかれぬよう素早く開ける、彼女の支給品は・・・ 「・・・・・これは・・・」 制服。見覚えのあるファミレスか何かのものだ。 薄い緑色の、肩が出るタイプ。 まるで水着、長いパレオが特徴の涼しげなタイプ。 ブロンズパロットのような作り、赤と白のコントラストが可愛いタイプ。 それぞれ「フローラルミントタイプ」「トロピカルタイプ」「ぱろぱろタイプ」という札がついている。 瑞佳の鞄には、この3着が無理やりギュッギュッと押し込まれていた。 「何だ、一体・・・」 そして、一枚の紙。説明書。 『防弾チョッキ(某ファミレス仕様)』 頭が痛かった。 そんな混乱状態の中、気づいたらなぜか・・・ 「いや、着ないから。着るぐらいなら蜂の巣になるから。 っていうか露出多くて弾から守ってくれないから」 芳野祐介(118)』 【時間:1日目午後5時50分】 【場所:H−08】 【所持品:Desart Eagle 50AE(銃弾数4/7)・サバイバルナイフ・支給品一式】 【状態:氷川村へ向かおうとしているものの、足止め中】 長森瑞佳(074)』 【時間:1日目午後5時50分】 【場所:H−08】 【所持品:防弾チョッキ(某ファミレス仕様)×3・支給品一式】 【状態:熟睡】 - BACK