笹森花梨は逃げていた。背後から迫るイレギュラー、岸田洋一から。 「うわーん。しつこいよー!」 「黙れ雌豚、貴様だけは許さん!」 どうやら先ほどの砂攻撃が岸田の堪忍袋を爆発させてしまったようで、 今の岸田は目の前を逃げる花梨しか見えていないようだった。 「や…やばっ。どんどん近づいてくる〜!」 一度チラリと後ろを振り返る。徐々に岸田は花梨に追いついてきていた。 やはり花梨も女の子である。男である岸田とは身体能力に違いが出てしまうのだ。 2人の距離はどんどん縮んでいく。 「もらったァ!」 次の瞬間、岸田が持っていたカッターを構え一気に花梨に飛び掛った。 「いやぁぁぁぁぁぁ!」 ――ボーン! 「え?」 「なにっ!?」 突然何かが発射される音がしたと思ったら、次の瞬間にはよく獣を捕らえたりするのに使う捕縛用の網が岸田を捕らえていた。 「大丈夫? 怪我しとらん?」 「あ…ありがとう………」 声と共に近くの茂みからバズーカ砲を持った保科智子(096番)が姿を現した。 どうやら、そのバズーカから捕縛ネットを発射したようだ。 「くそぅ! これしきのことで!」 岸田は早速カッターで網を切ろうとしていたが、意外とネットの糸は硬く悪戦苦闘しているようだった。 「うわっヤバ! ねえ、今のうちに逃げよう!」 「せやな。こっちや!」 智子の指差す方――鎌石村へと2人は駆け出しその場を離脱した。 「自己紹介がまだやったな。保科智子や」 「笹森花梨なんよ」 「ちっ。あの雌豚どもめ……」 それから1時間ほどして岸田はネットを破って脱出した。 「――まあいい。まだ時間はたっぷりとある。存分にこのゲームを楽しむとしよう…… まずは……そうだな。人が集まりそうな場所を探してみるか………」 岸田はニヤリと笑うと自身も智子たちが走っていったほうへ歩いていった。 【時間:午後2時】 笹森花梨 【場所:C−03(鎌石村)】 【所持品:特殊警棒、海岸で拾ったピンクの貝殻(綺麗)】 【状態:健康。今は岸田から逃げる】 保科智子 【場所:C−03(鎌石村)】 【所持品:専用バズーカ砲&捕縛用ネット弾(残り2発)、支給品一式】 【状態:健康。今は岸田から逃げる】 岸田洋一 【場所:C−02】 【所持品:カッターナイフ】 【状態:健康。とりあえず花梨たちを後を追う。マーダー(やる気満々。イレギュラー)】 - BACK