「遅すぎるの」 ―――グサリ、とことみの聖浄肉棒が椋の秘所に突き立てられた。 「あ……ああぁっ……!」 椋の身体が一瞬だけ撥ね上がり、すぐに地に落ちて動かなくなる。 ことみの、一国を滅ぼすとまで称えられた究極の肉棒によって与えられた至高の快楽による 超性感刺激に耐えきれなかった椋の身体が、心臓の活動を停止したのである。 元来、年中無休で己が性感帯の開発に勤しんできた椋ならではの、皮肉な結末であった。 「せっかくだからこのまま死姦するの」 ゆっくりと前後していたことみの聖棒が、やがて速度を増していく。 それは止まるところを知らず、人間の目に映る速度を遥かに超えていくのだった。 残像すらも残さず、掻き消えたように見えることみの下半身。 ソニックブームによって周囲に撒き散らされる壮絶な破壊のエネルギーだけが その凄まじさを物語っている。 音の消えた世界に、やがて奇妙な変化が現れた。 超光速のピストンにより歪んだ時空に、ピシリと裂け目が走る。 それはまるで光速を超えることみの腰使いに、時空そのものが悲鳴を上げているようだった。 時空の裂け目に周囲に舞い上がっていた土煙が、落ちていたベレッタが、そして衝撃波で 倒された木々までもが飲み込まれていく。 「え……?」 ここに至って、ようやくことみも異変に気がついていた。 「こ、腰が止まらないの」 椋の秘所にくわえ込まれたままのペニスが、自分の意思とは別の衝動に 突き動かされているかのように、止まらない。 それどころか、死んだはずの椋の肉襞が、ざわ、と蠢いたようにすら感じられる。 否、 「…………!」 椋の秘所は、死んでなどいなかった。 戦慄することみ。 藤林椋は先程の衝撃で紛れもなく、心停止に陥ったはずだった。 「どうしてなの……!」 「ふふふ……」 「な……っ! 生きていたの、椋ちゃん!」 驚愕に打ち震えることみ。 奇妙に静かな、椋の言葉がそれに答える。 「ふふふ……忘れたのことみちゃん、私の処女膜は素粒子一つ、無限小の時間さえあれば 再生可能なのよ……? 心臓など私の組織の中では瑣末な存在」 「そ、それでも人間なの?」 「人間……? 胸と同じで志も小さいわねことみちゃん。ヒトなどに留まっていては イケメンセックスによる快楽など得られないわ。数多のイケメン生物、数多のイケメン無機物、 数多のイケメン神霊体を制してきたこの処女膜こそが私、私こそが永遠の処女膜!」 「ば、化け物なの……」 「言ってくれるわねことみちゃん。貴女だって、その腰使いはもう人間のレベルを 遥かに超越しているわ。私に言わせればまだまだだけどね」 妖艶に笑む椋。 「油断したわね一ノ瀬ことみ、もうここは……私の世界」 「……!?」 いつの間にか、周辺の様子が大きく変わっていた。 先程まで確かに存在していたはずの、沖木島の景色がどこにもない。 代わりにそこにあったのは、無限の桃色。 「ようこそ、イケメンふたなり一ノ瀬ことみ」 正常位で繋がったことみには、舌なめずりする椋の蟲惑的な笑みから 視線を逸らすことができない。 「これから貴女に永遠の快楽を教えてあげる―――。 藤林椋に挿入した、貴女自身の愚かさを知りなさい……!」 性戦が、始まる。 【時間:存在しない】 【場所:ペニスとヴァギナの間にあるという時空の狭間、桃色世界】 一ノ瀬ことみ 【持ち物:書き手薬×3、ことみの剣、ことみの鎧、デイバッグ】 【状況:大ピンチ】 藤林椋 【所持品:ベレッタM92、デイバッグ(その場に放置)】 【状況:ヤる気マンマン】 - BACK