くそっ、どうしてこの俺様がガキ二人から尻尾を巻いて逃走しなきゃならないんだ!? ふざけるな、俺様は高槻様だぞ。女を犯し、支配して、苦痛を与えることこそが喜びではなかったのか。それがなんだこのザマは。一流どころか三流悪役じゃないか。タイムボカンじゃないんだぞ。 俺様はこの状況の原因となった激プリチーなクマのぬいぐるみを憎しみをもって睨みつけた。 そもそも、これさえなけりゃこんな思いをすることもなかったんだ。おのれ、ぬいぐるみ。おのれ、高野山。おのれ、高野連。 やつあたりする対象が増えたような気もするが、それだけ腹が立ってるってことだ。ちくしょう、FARGOの連中が見たら笑うだろうな。 「いっそのこと、こんなもん東京湾の奥底に…ん? 何だこれは」 今まで気付かなかったが、ぬいぐるみの後ろにジッパーがあった。ま、まさか、これは! 「ハハ、ハハハハハ! 参った! 俺は参ったぞぉぉぉぉ! ぬいぐるみとは見せかけのフェイク、すなわち、ここに真の秘密兵器が眠っているに違いない! ハハハハ! 我が世の春が来たァ!」 前々からおかしいと思っていたんだよ。殺し合いに、こんなプリチーな代物が配られるはずはない。やはり俺様はツイている。 見てろよあのクソガキども。こいつで俺様の雌奴隷にしてやる。 「さぁ見せてみろ! 俺に真の姿を!」 「ぴこ」 …ぬいぐるみの中から出てきたのは、何やら白い毛むくじゃらの奇怪な生物。おい、秘密兵器は? 「ぴこぴこ、ぴっこり」 つぶらな瞳二つが俺を捕らえる。…なんだよ、こっち見るな。そんなに俺がピエロだと? 「ぴこっ!」 謎の奇怪生物は勢いよく飛び出すと、俺の前に対峙した。…何だ? 俺とやる気か? 「くそ、このクソ生物がぁ…俺の夢をぶち壊しにしてくれやがって! この一流の悪を自称するこの高槻様、そう簡単にやられはせん! 最後まで生き残ってみせる、エースだ!」 宇宙外生命体ピコ(仮)に向かって拳法の構えをとる。どうせなら食料にしてやる。宇宙生物だろうが何だろうが、生命体なら食えるはず。 「ぴこ〜〜〜っ♪」 …が、宇宙外生命体ピコ(仮)は攻撃してくるどころか俺に懐いてきた。…なんだぁ? こいつ、人間慣れしてやがる。 「ぴっこ、ぴっこ…」 しまいには一般のお子様には到底見せられないような踊りを披露する。やめてくれ。 「わかったわかった、食わねえから踊るな。ちくしょう…どうしてこの島に来てからこんなにヒキが悪いんだよ…」 「ぴこ、ぴーこっ」 ぽんぽんと俺の足を叩いて慰めるピコ(仮)。ざけんな、ぬっ殺すぞ。 俺はまた意気消沈しつつ歩き出した。頭のどこかで、俺が家畜のエサになっている姿を想像しながら。 高槻 【時間:1日目14:50頃】 【場所:E−08】 【持ち物:ポテト、他基本セット一式】 【状況:南へ移動。意気消沈】 - BACK