理想と現実




――あぁ神様、僕が一体何をしたのでしょうか?
女の子に助けを求められると言うのは、確かに男なら憧れる一度は経験したいシチュエーションですが
手榴弾を持ちながらニコニコと近づいてくる男が相手なんて
この僕にはちょっとレベルが高すぎやしないでしょうか?
せいぜい裸で女子を追いかける相沢から助ける……ぐらいのレベルにして欲しかったです。

今をさかのぼることほんの数分前。
すぐ近くで聞こえた女性の悲鳴に、北川は思わず反応していた。
広瀬と遠野も一緒に立ち上がっていたが、危険だからとそれを制する。
それならば、と広瀬が自身の武器である消防斧を北川に差し出した。
「これも念のため、持ってきなさい」
接近戦になったらショットガンよりも確かに便利だろう。
「信用してくれんの?」
「ま、一応ね」
「サンキュッ!」
そう言って北川は外へと飛び出した。
刹那、北川の胸に女の子が飛び込んできた。
「お願いっ、助けてっ!!」

そして時は今に戻る。
右手にはショットガン。
腰には斧。
左腕には顔面蒼白で泣きじゃくる杏。
そしてそれを携えるは割烹着姿の金髪の男、北川潤。


格好を覗けばなんとも理想的なシチュエーションだろうか。
だが、所詮中身はヘタレ北川。
「あんた、なにやってんだよ!」
「なにって?鬼ごっこかなぁ」
勝平はゆっくりと二人へと近づく。
「こ、こっちに来るんじゃねぇ、撃つぞ!」
その笑みは変わらず手にもった手榴弾をぽんぽんと手の上で弾ませている。
「ご、ごめん!言い過ぎました、来ないでください!オネガイシマス!!」
抱きつく相手が北川だったのが彼女の不運でしかないだろう。

「北川っ!」
あぁ、やっぱりお前は俺の親友だ。
さっきは変なことを考えて悪かった。
俺は一生お前についていくよ……。
「あいざわぁ……」

情けない声を上げながら北川が見たそこには、S&W M19を構えた彼の悪友が立っていた。




北川潤(030)
 【場所:C-5鎌石村消防署のすぐそば】
 【持ち物:SPAS12ショットガン 防弾性割烹着&頭巾、他支給品一式、携帯電話、お米券】
 【状態:ヘタレ中】
藤林杏(090)
 【場所:C-5鎌石村消防署のすぐそば】
 【所持品:手ぶら、荷物はC-6消防分署に】
 【状態:北川の腕の中で震えている】
柊勝平(081)
 【場所:C-5鎌石村消防署のすぐそば】
 【所持品:手榴弾(Bなら残り3つ、B-2なら残り2つ)他支給品一式】
 【状態:北川&杏と対峙、その距離20mほど】
相沢祐一(001)
 【場所:C-5鎌石村消防署のすぐそば】
 【所持品:S&W M19(銃弾数4/6)・支給品一式】
 【状態:状況は飲み込めていないが、北川の左方100mのところで勝平に銃を構える】
神尾観鈴(025)
 【場所:C-5鎌石村消防署のすぐそば】
 【所持品:フラッシュメモリ・支給品一式】
 【状態:祐一の隣に】
広瀬真希(087)
 【場所:C-5鎌石村消防署内】
 【持ち物:防弾性割烹着&頭巾、他支給品一式、携帯電話、お米券】
 【状態:消防署の中で待機中】
遠野美凪(069)
 【場所:C-5鎌石村消防署内】
 【持ち物:包丁、防弾性割烹着&頭巾 他支給品一式、お米券数十枚】
 【状態:同上】

 【時間:1日目午後4時過ぎ】
 【備考:→083&→104&→105 北川組が消防署、杏&勝平が消防分署と表記が違ってたので別物として扱い】
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