凄いものが出ちゃいました




「――いったいなんなのかしらこのスイッチ?」
「さあ…」
「わかんないネ…」

ここは鎌石村のとある一軒家の一室。
そこで久寿川ささら(034)、沢渡真琴(052)、宮内レミィ(107)の3人は目の前にある謎のスイッチをじっと見つめていた。


話は少し前に遡る。

3人は偶然この村で出会い、なおかつ全員の目的が『自分たちの知り合いの捜索』ということで意気投合し、共に行動することにしたわけである。
そして、3人はそれぞれの支給品を順番に出し合うことになったのだ。


いいだしっぺで、最初にバッグを開けた真琴の支給品は日本刀だった。
「オウ。サムライソード!」
「当たり……ってことかしら?」
「あうーっ…どうせなら肉まんのほうがよかったのに〜……」

そして次にバッグを開けたのがささらである。
出てきたものは……

「――えっと…………」
「What?」
「何それ……?」

―――先程のあのスイッチだったわけである。
そして今に至る。



「でも、コレ本当に何に使うネ?」
「ねえ。説明書とか入ってないの?」
「ちょっと待って………あ。これかしら?」
ささらがバッグの中から1枚の紙を取り出す。
見てみると、確かにそれがささらの支給品の説明書だった。

―――しかし、それでもスイッチの正体はわからなかった。
なぜなら、その説明書に書いてあったのは以下のことだけだったからだ。



【支給品No.120 秘密のスイッチ】

おめでとう。これを引き当てたあなたは非常に運がいいです!

これを使えばどんな臆病な方も、どんなに気が狂ってしまった方も、どんな方でも楽になれます

しかも充電式で1度使っても専用の充電器に1時間接続すればまた使えるというスグレモノ!

ぜひ一度お試しあれ



「―――さっぱりわからない!」
狙ったわけでもないのに、説明書(らしきもの)を読んだ3人は同時に同じ言葉を叫んでいた。

「えーと……読んでみるかぎり、最初に使えるのは1回きりみたいだけど…………」
「『充電すればまた使える』って書いてあるネ」
「専用の充電器………バッグの中にはそのような物は何も入ってないわ………」
ささらは再びバッグの中を調べたが、彼女の言ったとおり中にはそれ以外特別な物は何も入ってはいなかった。


「……でも、本当に気になるわねコレ」
「イエス」
「もしかして………アレでしょうか?」
「アレかあ………」
「アレ? アレとは何のことネ?」
唯一アレが意味することが理解できないレミィがささらたちに尋ねた。

「あ…アレというのは…………その……別に変な意味ではないんだけど……………」
「これの自爆スイッチよ………………」
説明に戸惑うささらをよそに真琴は自分の首に付いている爆弾つきの首輪を指差して答えた。

「………………」
先程とは打って変わって一気に静まり返る一同。
「………『楽になれます』って書いてあるもんね」
「イエス…………」
「………………」
スイッチの引き当て主であるささらは終始無言だった。


「と…とりあえず、このことは一度忘れましょ!」
「そ…そうね。そうしましょう」
「じゃ…じゃあ次はワタシのアイテムをお披露目するネ!」
なんとか話題を変えようと、3人は最後の1人であるレミィの支給品を見ることにした。


「――ずいぶん大きいですね」
ささらが言うように、レミィのバッグはささらや真琴のものより一回り、二回りは大きかった。
「これはきっと中にすんごい武器が入っているのよ! 早く開けて〜〜!」
「ハァイ。開帳シマシタ……Oh?」
「ど…どうしたのレミィさん?」
「まさか、また自爆スイッチが…………」
おそるおそるレミィの支給品を確認しようと近づく2人。
出てきたのは…………








「プラネタリウムはいかがでしょう?
………………あれ? あの……ここは…どこでしょうか?」

ロボットの少女――ほしのゆめみだった…………




 【時間:午後1時半】
 【場所:B−05】

 久寿川ささら
 【所持品:スイッチ(どんなスイッチかは謎。充電器は付属していない)、ほか支給品一式】
 【状態:健康。呆然】

 沢渡真琴
 【所持品:日本刀、ほか支給品一式】
 【状態:健康。呆然】

 宮内レミィ
 【所持品:支給品一式】
 【状態:健康。呆然】

 ほしのゆめみ
 【所持品:なし】
 【状態:呆然】
 【その他:一応レミィの支給品】

 【備考】
・真琴の日本刀は吉岡チエのものとは長さ、形状が少し異なる
・ゆめみは大戦前の世界なのでなんの支障もなく普通に活動可能
・ささらのスイッチがどんなスイッチなのかは後続の書き手さんにお任せします
-


BACK