Power Game




久瀬 【時間:開始直後】 【場所:不明】 【持ち物:無し】 【状況:健康】

モニターの画面が、ざーっと、音が鳴り、次の画面に変わった。

───モニターの、中。
──今度は宴会だった。

「ばばんばばんばんばん♪」「あーあびばびば♪」
「ばばんばばんばんばん」「あーあびばびば♪」
かなりの人数の男女が飲み会をやっている。

「にゃ〜、久瀬のお兄さん、お兄さんも呑め呑めいぇいですよ。にゃあ」
何故かカメラに向かって黄色の髪の女が俺を誘っている。
なんだか。全くよく分からない。なんなんだ一体

テレビの中では完全に宴会モードである。
「天いな・こみパ・まじアン・誰彼勢該当者無しを祝してかんぱーい♪」
「かんぱーい♪」

あきらかにドンチャン騒ぎである。ケーキまで出ている。

───白い、部屋。

なんだかよく分からない・・・ままその画面を見入っていると、急に電気がつき、鍵が開く音。
殺風景なドアが急に開く。中から、数人の女性が現れた。

女性:「初めまして。」
 女は名刺を差し出してきた。
 榊:「初めまして、久瀬秘書官。」
   
「厚生労働省人口調査調整係課の榊しのぶと申します。」


 久瀬先生。確かに俺はそう呼ばれている人間、まあ今は国会議員秘書でだが。
 今は親父の防衛庁長官の下で東大に行きながらいきなり実戦で働かされていた。
 ただ、将来は…親父の跡継ぎという事になるのだろう。

「今回はこのようなご無礼な形で任務につかれた事を大変申し訳無く思っております。」

他の女性のうち、眼鏡の女は、椅子を入れたり、テーブルを出したりしている。
名札には『栗原 透子』と書かれている。どうもこいつは厚生労働省の下の社保庁から派遣された職員らしい。

榊と名乗る女性がうやうやしく礼をする。

──モニターの中では──ウサギの話が続いている。

「支給サレルモノハ水2リxtuトル、食料6っっ食分、コンパス、地図、筆っ記用具、参加者の名簿、懐中電灯、
ソレカラ武器トソノ説明書ダ。武器ニハサマザマナ種類ガアル。コレモ何ガ誰ニ当taルカハ・ラnダムda」

(画面が切り替わる)

「こなああああああああああああああああああ──ゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいい♪」
「ふみゅーん!私のマイクかえしなさいよぉ!!!」

テレビの画面の中では緑髪の変なめがねの男と緑髪の女がカラオケのマイクをとりあっている。

(画面が切り替わる)
また元の画面。テレビでは、教室の悲惨な状況が写る。

──部屋。

驚愕と恐れの表情と、もう一つの天国というか平和すぎる画像。
このあまりに違いすぎる陰陽の二つの映像の前で、久瀬はその榊と名乗る女と話る事になる。

 「何を見せたいんだ」と久瀬は聞く。
 ただ、親父も防衛庁長官。俺もその仕事を手伝っていた。となると何となくだが、想定はできていた。

 榊は…俺が予想した一つの答えを発した。
「久瀬氏。貴方の任務は、」
「今回の『改正バトル・ロワイアル』の開催するに当たっての任務を、お父上である久瀬長官より直接指名されました。」

「なに?」
「『改正・バトルロワイヤル総司令官』の着任命令書です。同意と判をお願い致します。」
と、一枚の紙を差し出してきた。

「『バトル・ロワイアル』…総司令官・・・だと?」
「防衛庁の話では、この件については貴方にこの話だけすれば分かると承っております」
しばしの沈黙。そして返事をした。

「ああ。」
確かに俺は、この話の内容、親父から聞いていた・・・だが、
(冗談だと思っていた。)

普通こういうのは、防衛軍の幹部クラスが総指揮を取るはずだ。



「若すぎる。しかも俺は文民だ・・・」と久瀬は断ろうとした。
「しかし」
「この立案と計画はお父様である久瀬長官と貴方が練った話のはずです」
「?!」

 榊は、さらに話し出す。
「改正BR法では文民の司令官が一応条件付で認められていた筈です」
───確かにそうだ。今回のBR法からは、軍だけでは出来ない『さる』事情の為に、軍人以外の司令を認めていた。

「じゃあ、──倉田『先輩』は──」
「貴方の計画の通り。ご存知のはずです」
「──そうだな。」

 確かにそうだ。
 俺はこの内容を知っている。確かに知ってはいた。
 だが、まさか『俺が』司令になるとは思ってなかった。

 そうこう言う内に、榊の携帯が鳴り出した。榊は携帯から話をし、俺に携帯を渡してきた。
 久瀬長官。俺の父だった。





 「親父か」 と電話を取った。
 「そうだ」 と電話の声は言った.

───東京
「あまり、榊君を困らせるな」とその男は言った。
「・・・・・・」電話の先の息子の声は、しなかった。
「お前も・・・話はしただろう。これは他者に漏れてはならない話だと自分でも」
『はい』

「お前は、陸軍・海軍・空軍の全ての知識を高校3年の時から叩き込んだ筈だ。しかも自らの意思で。
 ───防大の教授まで呼んでお前に対して特別な講義までさせた。この社会情勢下で、国家防衛や行政の
 エキスパートになりたいというお前の意思でだ。出来る筈だ。この艦隊の総司令官を」
『艦隊?!艦隊の総指揮を取れというのか!』
「そうだ。それがそもそも総司令官だろうが。」

───沖木島海上

(・・・確かに「司令官」というのはそういう役目だが・・・)と電話の向こうの息子は思っていた。

「これは『戦争』ではない。『戦争』に近いがな」
「・・・」
「お前は、倉田の娘とは違う。小さい偽善を為す事が国家百年の大計の為にならぬ事ぐらいわかっているだろう。
「・・・・・・」
「やれ。これは父の命令だ」

「まってくれ。サポートがほしい。まだ俺は21だ」
「軍の規律は判っている筈だ。小僧だからといって命令を聞かぬ連中ではない。それに軍の中にもお前の知己はいる」
「・・・」
「出来るか、出来ないか。返答はそれだけだ」

──判ってはいた。

 この改正BR法の内容も、文民でありながら防衛の知識を身につけて、父の仕事に即ついて行った。
 20前だが、酒の席にもついていって飲めない酒も飲まされたり、18歳の時・・・高校の時ですら選挙の時は
 自分の意思で父の選挙も助けた。

 俺はなんとしてでも『成長』したかった。倉田の勢力を追い抜く事。それが自分の目的だった。
 20までは。

 「出来るか」と電話の向こうの親父の声がした。

──久瀬の目が光りだした。

 「出来る」と久瀬は即答した。

 自信があるか、ないか。それは無い。
 だが、『この事』を知っている人間は確かにあまりいない。
 そして、これは何より父から俺への試験だという事。そしてこの『命令』を実行する事が俺の仕事だという事を。

榊が俺に質問を投げかけてきた。
「お引き受け下さる・・・という事で、宜しいですね」

久瀬は、
「ああ」
と短く、一言だけ答えた。




 俺は榊に、特殊戦略室に運ばれた。

 「特別と第零と第一、第二・第三で並べられたのリストです。再確認をお願いします」
そうして並んでいる。先ず来栖川綾香・芹香の2名が最初に並び、次に第零種参加者、第一種参加者・・・と
並んでいる。

 「特別は主催者ですので判るのですが、この『第零種』から『第一種』『第三種』の違いは知らされておりません。」
 「『第二種』・・・は判るのか?」
 「第二種は・・・これは・・・マスコミ関係ですよね?」

 当たらずとも遠からず。

 今回、バトル・ロワイヤルの開催にあたり、参加者選別の際に5種類に分けていた。

 第零種参加者・・・国家指定消去命令。直接上層部からバトル・ロワイヤル参加命令を出された参加者郡。
 第一種参加者・・・絶対殺害条件。絶対に殺害する事を条件としているメンバー。
 第二種参加者・・・推奨殺害条件。主に反政府宣伝扇動者の文化人文化人及びその文化人の親類・支援者。
 第三種参加者・・・一般人。生存帰還ヨシ

 の四種と
 特別参加者・・・来栖川綾香・来栖川芹香の二名。 の5カテゴリに分けられていた。

 本来なら、今回の主催であるパワードスーツの性能を確認するには来栖川綾香が生き残る事が望ましい。

 ただ、最悪の場合はバトル・ロワイヤルである以上考慮に入れなければならない。
 最悪、綾香が殺害された場合、『誰を生き残らせるか』という別の命令。
 それは俺以外では自衛軍と政府上層部しか知らない情報。
 ここでも最高司令官と軍の一部以外知ってはいけない情報である。
 生存していたのが『第三種』だった場合は、勝利者・生存者として公表してよい。
 ぶっちゃけた話、国崎往人。奴は第三種だ。


 第二種参加者が最期まで生存していた場合は、判断。状況を見て消去し、『生存者無し』で公表せよ。
        但し、政府に対して従順になったと判断された場合は、三種に落としてよい。
        (その判断は俺の・・・つまり司令官の政治判断になる)

 第一種参加者が最期まで生存していた場合は殺害せよ。公表は『生存者無し』。
 第零種参加者が生存していた場合は、島ごと一気に砲撃せよ。航空兵力とクラスター爆弾の使用も許可する
 その後、情報統制を行い、事故として公表せよ。
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 第零種───具体的には天皇・皇室からの直接命令で殺害する事を命じられている者である。

 何故殺害しなければいけないのか──は俺は知ってはいるが、国民に公表はされないし当然榊も
 「知らない」
 と答えていた。

 これらは最重要機密。今回の目的は、『特定固有異種族』の消去と根絶、もしくは遺伝子改造である。
 皇居では、『歴史機密』に属する物だと説明を受けている。多かれ少なかれ、時の政府の心中を苦しめ、
 その為太古の古文書にもその内容は載っている内容。それが第零種になる。

 今回のパワード・スーツの開発、そしてそれの実戦使用も──最初からそれらとの戦いを想定している。
 ただ、来栖川綾香自身が参戦するのは想定外だったが。

榊:「『第零種』の参加者としては代表としては柏木千鶴等です・・・一族全員選択されているケースが多いですよね」

 だが、この女は、何も知らずにただ『第一種』『第二種』『第三種』『第零』を指定された通りに
 分類しているのだろう。そりゃそうだ。『アレ』らは一般人が知るはずも無い情報。
 現に榊は、今回使われる『結界』についても知らないだろう。
 結界の存在は、バトル・ロワイヤル参加者にしか通達されない。
 軍が結界を張っていると知られたところで参加者はどうせ全滅するか一人だ。どちらにしろ口封じされる。

そして、念のため、『特殊能力を持っている可能性のある』人間は、
うまい事を言って各船の内部に優待という名の隔離をしてある。
能力があると判断された段階で・・・今回はこのバトル・ロワイヤルに参加して貰い、
消えてもらうかその場で消す。




No.121  久瀬(主催者/司令官)

【武器】 ヘリ空母  「あきひで」(コントロール・センター)
     ヘリ空母  「くにさき」(旗艦) イージス艦 「あしがら」
     汎用護衛艦×5 ミサイル艇×2 潜水艦×3(1は原子力)
     調査船・病院船・輸送船・客船等 海上保安艇×10 

     VTOL機 40機 攻撃ヘリ 30〜50 輸送ヘリ 20
     海兵隊 陸上兵 強化兵部隊 葉鍵キャラの大部分(VIPアリ)
     ニューナンブ(38口径)

【目標】 第一目標 第零種参加者(結界対応者・地球外異種族等)の全消去
     第二目標 来栖川綾香/芹香の勝利
         (原則人間の科学力が第一、人間の魔法力使用での勝利が第二勝利条件)
     (誰彼キャラは今回は第零種に入らない⇒1945以前の旧来通り国家側の部隊に配属)

No.122  榊しのぶ(厚労省派遣職員)
【武器】 ニューナンブ(38口径) 書類

No.123  栗原 透子(社保事派遣職員)
【武器】 ニューナンブ(38口径) メガネ

位置は、 大型艦隊は瀬戸内海、沖木島周辺2kmから4kmの沖合。
     コントロール・センターは島内部にもあるが、
     重要情報はヘリ空母「くにさき」と「あきひで」「あしがら」で処理される。
     今回、結界の処理も、島内部の結界と大型艦隊・陸上部隊の三重の結界を張っている。
     放送も民間の支援を受けて安全地域からの衛星使用での遠隔放送になるであろう。
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