想いのカナタ







 ――残り六時間。

 職員室の全員が作業を中断し、ようやく表に出てきた『主催者』の放送を聞き終えたとき、那須宗一がまず思ったのがそれだった。
 要は昼になれば向こう側から仕掛けてくるという寸法だ。つまり、泣いても笑ってもそれまでに体勢を整えなければならない。
 宗一自体は首輪の構造自体は既に把握しており、手持ちの荷物で解除できることも確認していた。

 首輪の仕組みは拍子抜けするほどあっさりとしたもので、お粗末なものだった。
 遠方から電波を受信し、番号をチェックした後に信管を作動させ爆発する。
 だが首輪が自爆するにはとある回路が引っ張られるのを感知したとき、という杜撰さであり、
 ここにさえ引っかからなければいくら分解しようが爆発することはない。しかもこの回路は生死判定も行っていた。
 事前に信管さえ抜いておけば爆発するどころか死亡判定も出ないという有様であり、
 ひとたびひっくり返してみれば高校生、いや中学生でもどうにかなってしまうほどの代物でしかなかった。

 そんなところまで元ネタの小説と被せなくていいだろうにと宗一は呆れながらも、
 和田透の情報がなければこんな事実も知りえなかったのも事実だった。
 無様だ、と自虐するつもりはなかった。可能性は既にこちらの手の中にある。
 後は皆の糸を結び、強固なものにしてゆくだけだ。

 もう俺は、絶望なんて感じない。守ってくれる頼もしい味方がいる。信頼できる仲間がいる。そいつらと一緒なら地獄にだって行ける。
 ゆかり。七海。皐月。エディ。夕菜姉さん。俺にもようやく、帰る家が見つかったよ……

 ある者は苦笑し、ある者は笑顔で応援し、ある者は遅すぎだと呆れ、ある者はただ見守り、ある者は静かに頷いた。
 それぞれ全く別の反応でありながら、そのどれもがやさしい。
 全員の姿が網膜の裏に溶け、消え失せた瞬間に、宗一は叩いていたキーボードの音を止めた。
 作業完了。後はリサ=ヴィクセンに伝えようかと席を立ったとき、ガクッと膝が落ちた。

 力が入らない。自分でも驚くほどに。
 よくよく思い出してみればここまで不眠不休で働いてきた結果なのかもしれなかった。
 とうとう体も限界というところか。前準備が終わって、張り詰めた糸が切れたのかもしれない。
 へらへらと笑っていると、自分の状態を察知したらしいリサが肩を叩き、手を差し出してくれた。

「ちょっと休んだら?」
「そうさせてもらうか」

 手を取り、少しは活力を取り戻した体を立たせる一方、作業が完了したことも目線で伝える。
 黙って頷いたリサは完全に立ったのを確認すると「ほら行ってきなさい」と軽く背中を押し出した。
 よろめきながら後ろ目に職員室を確認してみると、高槻は椅子にもたれ掛かって寝息を立てており、
 一ノ瀬ことみも芳野祐介もその姿はない。どうやら自分が最後だったようだと判断して「ビリだったか」とおどけてみせた。

「残念。ブービーよ」

 自らを指したリサが唇の端を吊り上げる。額面にも出さないが、リサだって疲れているに違いなかった。
 そういう部分はやはりリサの方が格上かと素直に認め、宗一は「後はよろしく」と言い残して職員室を出た。

「……おお」

 一歩廊下に出ると、窓から差す朝日の光が宗一の目に飛び込んだ。
 たかが二時間ちょっとパソコンに向かっていただけとはいえ、
 疲弊していた身には命の源と言える陽光を受けるにはいささか刺激が強すぎた。
 目が細まり、くらっと体が揺れる。そのままよろめき、窓際の壁に強く体を押し付ける結果になってしまった。

 へへ、ともう一度笑って、宗一は窓から外を眺めてみる。
 薄く、青く色づいた空は、どこまでも茫漠と続く夜の闇ではなく、帰路へと続く遥かな道を指し示していた。
 今日はよく晴れそうだ。
 そんなことを思いながらふらふらと歩いてゆくと、隣の教室から小柄な影が現れた。

「あ……宗一さん」

 肩までかかる栗色のショートヘアを靡かせながら、古河渚がとてとてと走ってくる。
 心なしか強張った顔をしているのはきっと自分のせいなのだろう、と宗一は我が身の疲労ぶりに呆れた。
 渚が出てきたとき、すぐに彼女だと分からなかったのもあった。
 軽く手を上げて応じてみようとしたが、へにゃへにゃと動く自分の腕を鑑みれば、既にゾンビ状態と言っても過言ではなさそうだ。

「寝ましょう」
「第一声がそれか」

 苦笑で返すと、「笑い事じゃないです」と少し怒ったような口調になって、渚が腕をとって肩に回した。
 どこかに連行されるらしい。元々宗一は渚に会いに行くのが目的だったので特に文句はなく、なすがままにされていた。
 抵抗する気力がなかったというのもある。

 腕が回されると、密着した渚の体からほんのりと懐かしい匂いが漂ってくる。
 石鹸の匂いだと気付き、そういえばやけに艶があるということに、女の子だなと意識せずにはいられなかった。
 同時に自分が風呂に入っていないことに軽く羞恥心を覚えたが、今そうしてしまえば溺れ死にそうだったので諦めることにする。
 ならばせめて渚といることを楽しもうと思いつつ、宗一は口を開いた。

「どこに連れていくのです」
「……普通に隣の、教室です」

 どうやら渚が出てきたところに連れて行かれるらしい。
 渚が言うには毛布や枕もあるらしく、床の固さを除けば安眠は得られそうだった。
 教室の扉を一緒にくぐりながら、渚が質問してくる。

「どうしてあんなところに? もう、無茶です。フラフラなのに一人で……」
「渚に会いたかったから」
「ふえっ?」

 我ながら正直すぎる回答だと思ったが、面白い反応が得られたのでよしということに宗一はしておいた。
 みるみるうちに赤面してゆく渚の正直さが可笑しく、「可愛い」と続けてみると「か、からかわないで下さい」と小声で反論してきた。

「変な声出しちゃったじゃないですか……皆さん寝てましたからいいですけど」

 教室を眺めてみると、中にいる全員がすやすやと寝息を立てており、中央にはきちんと整理されたデイパックが並んでいる。
 どうやら待機していた連中がやってくれたらしい。
 ひとつ手間が省けたことに感謝しつつ、宗一は渚に連れられて教室の隅にある壁にもたれさせてもらった。
 毛布と枕を取ってきます、とデイパックとは別の、雑用品が積まれているスペースに移動する渚を横目にしつつ、
 眠りこけている連中の顔を眺めてみた。

 床で川の字になって寝ている三人組はルーシー・マリア・ミソラと朝霧麻亜子、伊吹風子だ。
 ルーシーは長い髪をくらげのように広げ、麻亜子はだらしなく口を開け、風子は何やら幸せそうな顔をしながら麻亜子に抱きついている。
 さしずめ仲のいい三姉妹といったところか。年上二人組がことごとく年下にしか見えないけれども。

 その付近で壁にもたれ掛かり、座るようにして寝ているのは川澄舞。
 物静かな彼女らしく、寝息のひとつも聞こえない。相方っぽい国崎往人はどこかに行っているようだった。

 教卓の近くで座ってうなだれるようにして寝ているのはほしのゆめみ。
 寝ているのではなく、機能を停止させているだけだとすぐに思い直したが、
 それにしても人間に酷似しているな、と近年の進化したロボット事情に感心を抱く。
 ご丁寧に頭のリボンに『Sleep Mode』と書かれているのにはロボットだなと思わざるを得なかったのだが。

 外側の窓の近くで二人身を寄せ合って寝ているのは姫百合瑠璃と藤田浩之だった。
 ぴったりと寄り添って眠る姿に若干の羨ましさと嫉妬を感じつつ、
 だが自分にも渚がいると思い直して、宗一はこれからやろうとしていることの中身を反芻した。
 やれるのかと疲れきった頭で思いながらも、ここで言わなければ機会はないと知っている理性で臆病な部分を押さえつける。
 どうやらまだまだ弱い部分はあるらしいと意外な弱点に内心溜息をつきつつ、毛布と枕を手に戻ってきた渚を迎えた。

「よく寝てるな、みんな」
「疲れてるんだと思います」
「放送があったのに」
「もう、関係ないんだと思います。そんなことは」

 毅然と言い放った渚には、既に覚悟を固め、後をこちらに委ねてくれている強さがあった。
 毛布を受け取りくるくると体に巻きながら、これが仲間意識というものなのだろうかと考えを巡らせる。
 ある部分では無言のうちに気遣う思いやりがあり、ある部分では他人に背中を預けて無防備な姿を晒す。

 個人の力が全てであり、利害の一致でしか物事を見ようとしないエージェントからの常識で言えば、
 ここにいる連中は馬鹿げているの一語で括られるのだろう。
 しかしそれは所詮理屈で見た物の見方に過ぎない。理屈を超え、お互いを信頼し合えるやさしさが今の自分達にはある。
 皆本能的に感じているのだろう。理屈と暴力で屈服させようとする主催者。デイビッド・サリンジャーには負けられない。
 自分のために、自分を成す根幹のために、やさしくなれる他人のために。
 目を反らしてはいけない。断固として異議を唱え続ける必要があることを。
 人の死の上に積み重なってきた生であり、ボロボロの布切れ同然の価値しか持っていないのだとしても……

「そうだな。もう、何も関係ない」

 ふわふわとした毛布の感触を楽しみつつ、宗一は渚の意志に応えた。
 ほっとしたように笑って、しかし渚は「でも、やっぱり不安なところはあります」と付け加えた。

「わたしにもようやく、やりたい事ができました。今この瞬間だけのことじゃなくて、ずっと先まで続くような」
「いい事じゃないか」

 羨ましい、と宗一は思った。
 自分はどうだろうか?
 ここで少しでも変わって、他人に誇れるようなことをしてゆける自信があるだろうか?
 少なくともエージェント稼業を辞められる気はしなかったし、楽しめはしても意義を持てているかと言われると答えられない。
 渚は驚くほどのスピードで進んでいっている。自分には及びもつかないような速さで、遥か前に。

「ですけど……わたし、考えすぎて、焦ってるんじゃないかって。本当にこれでいいのかって、いまいち、自分じゃ信じられなくて」

 たどたどしくも、渚は懸念の在り処を宗一にはっきりと伝えた。
 生き急いでいると思っているのかもしれなかった。本人が実感しているからこそ、先を進み続けることに躊躇してしまう。
 先頭に立って歩くのに慣れていないのだ。どうしても一歩、立ち止まって後ろを振り向いてしまう。
 それはそれで彼女の優しさ、謙虚さの証明でもあるし、悪いということはなかった。
 それでも渚は自分を信じられない。ひとりでいたときの過去が忘れられずに。

「少なくとも俺は応援してるさ。渚は、ひとりじゃない」

 渚は憂いを含んだ笑みを見せた。
 これだけでは足りない。言葉を交わさずとも理解できるものもあれば、
 言葉で伝えてでしか理解できないものもある。人間とは、そう不便なようにしか作られていない。
 だからこそ人の言葉、仕草、所作に至るまでを一喜一憂することだってできる。
 宗一は一拍溜めて、伝えるべき思いを伝えた。

「俺は……渚が好きだから」

 打算と思惑が錯綜する世界で、徹底して冷酷となりあらゆるものを疑い続けなければならなかった自分。
 人並みのことさえしてこれずに自分自身を信じられなくなってしまった渚。
 本来なら関わることすらなかっただろう二人の人間だ。まして、それぞれ考えていることすら違う。
 だが、自分はそんな理屈を超えて渚に好意を持った。何度転んでも立ち上がり、その度に強くなる彼女の姿に憧れた。
 彼女のためになら地獄にだって行ける。

 それほどに守りたいものであると思え、同時に安らげる存在だとも思えた。
 どこまでも一緒に未来を作り、やり直していこうとも頑張ろうとも思える。
 全てを託して身を委ねられる、魂を充足させられる場所がここにある。
 渚がその場所なんだと、宗一は己の全てを使って伝えた。

「えっ? あ、あ……」

 告白されるとは思ってもみなかったのだろう、その言葉が冗談であるのを待ち望んでいるかのように、
 渚はせわしなく目を泳がせ、意味もなく口を開閉させては途切れ途切れの言葉を吐き出すだけだった。
 可愛いなという感想が素直に浮かび上がったが、言ってしまえばまた冗談かと思われそうだったので、
 じっとして渚が落ち着くのを待った。

 渚は僅かに震え、緊張のせいか表情を徐々に硬くしてゆく。
 すぐに答えてくれないことは宗一にも分かっていた。人の気持ちに対しては、特に誠実であるのが彼女だから。
 少しずつ息を整えた渚は、次には穏やかな笑みを浮かべていた。
 自分と同じ、魂の充足の場を見つけ出した者の安らかな表情だった。

「わたしも……その、好き……で、す」

 声がしぼんでゆくのがいかにも渚らしいと思い、嬉しさよりも可笑しさが込み上げてきて、笑った。
 何もかもが不器用に過ぎた。お互いの気持ちひとつ確かめ合うのにここまで緊張していることにも、
 確かめたそばから気の抜けた体が弛緩してゆくのを感じていることにも、不器用だと感じてしまっていた。
 渚も小さく照れた。控えめに笑う彼女もぽろぽろと泣いていた。多分、ただ緊張から解き放たれたせいだろう。

 全く。俺達も。格好悪い。
 川の流れ。こびりついていたものを洗い流してくれたあの時のことを思い出しながら、宗一は渚を手招きした。

「頼みがあるんだ。膝枕してくれ」
「また、変なこと言いますね」
「本気だぞ。恋人の膝枕で寝たい」

 仕方ないですね、というように目元を緩め、渚は涙を拭ってから宗一の枕元で静かに腰を下ろした。
 とても柔らかそうな膝が目の前に差し出され、宗一は一も二もなく飛びついた。
 流石に節操がないかと少し思ったが、手を頭に乗せ、ゆっくりと撫でてくれている渚を見た瞬間、その懸念は吹き飛んだ。
 ひとの暖かさと柔らかさにただ身を委ねていればいい時間をようやく自覚して、宗一はようやく意識を楽にさせることができた。
 無防備でいられる感覚。一時を一切他人に預けていられることが純粋に心地良かった。

「……寝ちゃうんですか」

 渚も同じ気持ちなのだろうか、その声は少し間延びしているようだった。
 ああ、と応じて、最後にもう一度だけ宗一は起き上がった。起き上がって、無防備な渚に口付けをした。
 僅かに力が入る気配が伝わったがそれも一瞬のことで、徐々に力を抜いてそのまま流れに身を任せる。
 そのまま数秒ほどしてから、ようやく宗一は唇を離した。「おやすみなさい」と一言付け加えて。

「はい。……おやすみなさい、です」

 宗一は目を閉じたが、意識を閉じるまで直前の渚の顔が映ったままだった。
 薄い桃色の、作りたてのゼリーのような渚の唇の感触が幸せでならなかったのだった。
 そこで、ようやく宗一は気付いた。

 ――俺は、俺という人間は、やっと、初めて、幸せってものを手にできたのかもしれない。

     *     *     *

「大丈夫? 痛くない?」
「平気。……入りもしないうちから心配しすぎなの」

 それぞれ脇に洗面器とタオルを抱え、一ノ瀬ことみと藤林杏は風呂場へと続く廊下を歩いていた。
 古河渚が風呂から上がったということで、既に休憩時間に入っていたことみは、
 教室で風呂の順番を待っていた杏と合わせて二人で入ることにしたのだ。
 理由は単純なもので、怪我の度合いが著しいということで誰かの助けがなければならないかもしれないということからだ。
 無論、言い出したのはことみではなく杏。意外な心配性ぶりに呆れよりも寧ろ驚きの方を覚えたことみは、
 無下に断る気も持てずに同道させてもらうことにした。

 風呂場は狭いと渚は言っていたが、一人が湯船に、一人が体を洗えば何も問題はないだろう。
 そもそも、ことみは湯船に浸かれるような状態ではなかった。
 風呂に入ろうと思ったのも、爆弾の製作、及びそれまでの行程でで泥臭くなったのをどうにかしたかったという思いからで、
 最悪濡れタオルで体を拭ければ良いと考えていた。
 それはそれで女の子としてどうだろうと思わないではなかったが、頓着してこなかったのもまたことみの性分でもあった。

「そう……? 見た目が酷いからさ、気になっちゃって」
「人のこと言えない」

 ビシッ、と全身包帯だらけの杏を指差す。ことみからしてみれば杏の方こそひどい有様だった。
 それとも、失明しているからひどいと思われたのだろうか。怪我をした面積だけなら自分の方が狭いのに。
 指摘された杏は苦笑いしながらも、納得がいかないように小首を傾けて言った。

「そりゃそうだけど……でも、顔は女の命じゃない?」

 考えてもみなかった発想が杏の口から出てきて、ことみはつかの間絶句していた。
 やがて驚きから冷めた頭は、自分が合理的なものの見方しかしていないという事実にも気付いて、ことみは失笑を浮かべたのだった。
 なるほど、確かにそうだ。女の命を失くした方が心配されるのは当然ということか。
 だから風呂に行く直前、戻ってきた渚にもやたら気にかけられていたのか。
 どうにも一ノ瀬ことみという人間は女としての自覚が薄いらしい。

「まあ、それはそれで一部の人に需要があるし」
「どんなよ」
「……傷物の女?」
「アホか」

 肩を小突かれつつ、ことみはこうして気にかけてもらえる友達がいることに感謝した。
 こうしてひとりで気付けないことにも気付かせてくれるのが友達なら、くだらない話で花を咲かせられるのも友達。
 ひとりでいるよりずっとずっと楽しいことがあり、様々なものにも触れられるというのに。
 心に刻み込んだ『手紙』の中身を反芻して、ことみは一人で時間を潰していた過去の自分に問いかけてみた。

 やりたいことひとつなく、知識で隙間を埋め合わせるしかなかった自分。
 それでもいいと目を反らし、諦めていた自分。
 どうしてもっと早くに、その現実を変えようと思わなかったのだろう。
 そうすれば、ここにもう一人、『師匠』であり、『友達』である人がいたかもしれないのに。

 後悔を覚える一方で、焦らずに大人になれという父の言葉も蘇り、ことみはそれを埋め合わせるだけの時間があることもまた自覚した。
 焦らずに、ゆっくり。時間をかけて目的は達成していけばいい。
 今はそのための仲間だっているのだから。

「にしても、驚いたわ。渚まで医者になるとか言い出すんだもの」
「でも納得はしたの。渚ちゃんならそうするって気がした」

 まあね、と杏も頷く。風呂に行く前の少しの時間、会話を交わした中で渚は「帰ったら医者になる勉強をする」と言い出したのだ。
 ことみが医者になる心積もりはまだ渚達には話していなかったので、自身も面食らってしまった。
 曰く、「大好きな人たちに少しでも健康でいて欲しいから」とのこと。
 渚らしい考えだと納得して、ことみも医者になりたい旨を打ち明けたのだった。

 もっとも自分は尊敬している人のために、というごく個人的な理由であったのだが、渚はそんなことを構うことなく喜んでくれた。
 生きて帰ったら、一緒に勉強しようという計画まで既に織り込み済みだ。
 こうして約束一つ交わすだけで歩く道がずっと楽になったように感じられるのだから、人間は現金なものだと思う。

「杏ちゃんはどうするの?」
「あたしは……前と変わらないな。保母さんになるって決めてたから」
「保母さん……?」
「何よその疑問系は」
「なんでもないの」

 別にいいじゃない、と膨れっ面になる杏に、ことみはそれと分からない程度に唇の端を笑みの形にした。
 理由は大体見当がつく。いかにも面倒見のいい杏に向いた職業だと思い、「頑張れなの」とエールを送っておいた。

「ありがたく頂戴しておくわ。あんたこそ頑張って医者に……あーいや、別に心配しなくていいか」
「なにそれひどい」
「だって全国一位じゃない」
「うぬう、王者とは常に孤高なの」
「ま、渚と仲良く勉強しなさいよ」

 いつしか会話は他愛もない話、将来の話へと移り、夢中になる余りもう風呂場を通り過ぎていたことも忘れていた。
 それに気付いたのは、ぐるぐると廊下を一週くらいしたときのことだった。

     *     *     *

 学校の屋上というものはどこも変わらないのだなという感想を抱きつつ、急場で塗りたくられたような汚いコンクリートと、
 転落防止用に張られた金網とを見ながら、芳野祐介は夜明けの空気を存分に吸った。
 今まで埃っぽい部屋でひたすら作業に没頭していたからなのか、
 澱んでいた肺が新鮮な空気を取り込んで溜まっていたものを洗い流してゆくようだった。

 もう少しで全てが終わる。じきに文字通りの生死を賭けた最後の戦いが始まる。この島の風景も見納めということだ。
 出入り口近くの壁にもたれかかるようにして座り、同時に差し込んできた曙光に目を細めた。
 存外見た目は悪くない。陸から船で何時間とかかる田舎の孤島といったところか。
 殺し合いという要素さえなければ或いは好感情を抱いていたかもしれなかった。
 既に百人からの死体がここには転がっており、過去を含めれば、そしてこの島を建造するために支払われた犠牲も合わせて、
 何百、何千という単位で人が死んだことになるのだろう。

 身震いすら感じる。そこまでして、篁という連中は何がやりたかったのか。問いかけても詮無いことだとは思いながら、
 それでも犠牲になった理由を知りたい一心が芳野に当てのない疑問を出させたのだった。
 返答があるはずはない。この先主催者に出会えたとしても、返ってくるのは身勝手な言い分だけだろう。
 結局のところ、ここの死は理不尽な死でしかない。公子も、瑞佳も、あかりも、詩子も理由なく死んだ。
 何を満足させられることもなく。

 なら生きている自分はどうだろう、と芳野は思った。生きて帰って、その後はどうなるのだろうと想像した。
 公子はもうなく、伊吹風子と二人で生活することになるのだろうが、果たして風子はそうしてくれるだろうか。
 殆ど付き合いもなかった、というより機会があるはずのなかった芳野と風子とでは壁があることには違いなく、
 そこだけが唯一の不安だった。芳野自身は風子を養って暮らしてゆくのにも不満はない。
 だが風子は拒む権利を持っている。風子にとってみれば、自分は他人同然でしかないのだから……

 だから言い出せずにいた。目の前の作業に集中して意識的に遠ざけてきたことだった。
 自由な時間を与えられた今、浮かんでくるのはそのことばかりで、さりとて直接聞くにはまだ覚悟が足りず、
 こうして屋上でひとり寂しく悩んでいるしかないのが芳野の現状だった。

 誰かに相談すれば良かったのかもしれないが、大半は寝ていて聞けるような状態でもない。
 内心一番頼りにしていた藤林杏も姿を見つけられず、ぶらぶらと歩き回った挙句にここに辿り着いたというわけだ。
 今まで暖かい室内にいたからなのか、朝の空気は肌寒く少し鳥肌も立っている。
 いつまでここにいようかと考えを巡らせていると、唐突に開いた扉から思いも寄らぬ客が現れた。

「こんなところにいたか」
「おはよう、というべきなのか?」
「生憎だが寝たのは一時間程度だ」
「俺は寝てないが」
「こんなところで寝るな、死ぬぞ」

 軽口を叩きつつ、国崎往人の投げて寄越した缶コーヒーを受け取る。
 こんな場所に現れたのも意外なら、気の利いたものを持って現れたのも意外だった。

「どこで手に入れた?」
「置いてあった」

 思わず缶の底を見る。賞味期限は切れていないようだった。
 道端に落ちていたものを拾ったというわけではなさそうだ。
 ムッと眉根を寄せた往人を見ながら「そう怒るな。確認しただけだ」と笑って缶を開ける。

 温められてはいなかったが、冷たくもない缶コーヒーは飲むには丁度良かった。
 久しぶりに水以外の飲み物を口に入れたからか、喉が歓喜に震えているように思える。
 美味い、と素直に感じながら芳野は「どうしてここに?」と尋ねた。

「話せてなかったからな。あの時以来だ」
「そういえば、そうだったか」
「お前がどうしていたか聞きたかった。……神岸のこともな」

 芳野とは反対の壁に背を預け、往人もポケットから缶コーヒーを取り出した。
 問い詰める口調ではないが、真実を確かめようとする口調だった。
 大事なことだったはずなのに、今まで話すのも忘れていた。人の存在は、一人だけのものではないというのに。

「守りきれなかった」
「……そうか」

 一拍置いて呟かれた往人の声は寂しそうだった。悲しむでも怒るでもなく、ただ寂しそうに。
 どういなくなったかではなく、いなくなった事実自体に対して考えているようだった。
 守りきれなかった。口にしてしまえばそれだけの、しかし重過ぎる事柄。
 逃げちゃいけない。前に進むしかない。当たり前のことを教えてくれた誠実な人間。
 芳野も寂しい、と思った。――そう感じるのは、自分が大人だからだろうか。人間だからなのだろうか。

「守るっていうのは、難しいな」

 往人の言葉に、芳野は黙って頷いた。一人で為すにはあまりにも難しすぎることだった。
 だからこそこうして集団となり、互いに守りあうものなのかもしれない。
 杏が自分に対してそう思っていたように。

「俺も守りきれなかった。守ろうとしたつもりでやっていたことが全部裏目に出て、全部失った」
「……それは、ここいる全員がそうなのかもしれない」

 肯定の代わりに、芳野はその言葉を紡いだ。
 ここにいるのは失ったものが多すぎる人間達ばかりだ。
 往人も、杏も、高槻でさえそうだ。

 そうなってまで必死に生き延びて、また新しく生き甲斐を見つけて守ろうと必死になる。
 こうしてみるとなんと進歩のない生き物なのだろうとさえ思う。
 けれども諦めるという行為が生み出すものは、往人の言う『寂しさ』でしかないと知っているから、
 たとえどんなに愚かしい行為だとしても人は守るという行為をやめようとしないのだろう。

「だが、今はまだ生きている。生きている限り俺達は戦って、守っていかなければならない」

 自分の命しかり。人の想いしかり。守りたいと思うものしかり。
 その道を自分の意志で選択している以上、逃げてはいけない。前に進むしか、ない。
 ただそれを苦難の道と受け取るか希望を指し示す道と受け取るかは自分次第だ。
 少なくとも、今の自分は……芳野祐介という人間は、苦には感じていない。それは確かな事実だった。

「お前にだってそういうものはあるだろう、国崎」
「……そうだな。俺が選んだ道だ」

 どこかあっけらかんとした調子で言い放って、往人はコーヒーを飲み干した。
 芳野もそれに倣う。手で温めていたコーヒーは少しだけ温かく、爽快感こそないものの味わいがあった。

「なあ、国崎」
「なんだ」
「生きて帰れたらどうする?」
「あまりその話はしたくないな」

 往人も考えられないのかと思ったが、往人の口から突いて出た言葉は意外なものだった。

「このご時勢に大学どころか高校も出ていない人間が就職活動せにゃならんからな……大変ってレベルじゃない」
「……は」

 本気の口調で言うものだから、呆れを通り越して笑いが飛び出した。
 重要な問題なんだぞ、と声を張り上げたことがまた可笑しく、「傑作だ」と腹を抱えた。

「何とかなるもんだよ、そういうのは。俺なんか元犯罪者だ」
「なに?」
「薬物でな。だが電気工になれたぞ」
「マジでか」
「もっとも、就職するまでに滅茶苦茶苦労したがな」
「いや、十分だ」

 往人は案外なんとかなると思っているのか、小さくガッツポーズをしていた。
 実際のところは苦労なんてものではなかったが。頭を下げ続け、日中歩き回り、ようやく掴んだに過ぎない。
 そのあたりの苦労話でもしてやろうかと思ったが、今はやめておくことにした。
 そういう話は、往人が苦労して溜息をついたころにでもしてやればいい。

 想像しているとまた笑いが込み上げ、一方で殆ど誰にも話さなかった身の上を語っていることにも内心驚いた。
 こんなにも簡単に、先のことを想像できるものなのか。
 やはり分からないものだと思った。人生も、それ以外の全ても。

「俺は……公子さんの妹と……風子と暮らしていこうと思う。本人が、受け入れてくれたらの話だが」
「そういや、伊吹がそんなことを言っていたな。すまん、忘れてた」
「忘れてたって……」
「以前に会ってたんだ。会ったらよろしくって言伝も頼まれた。ここまで遅くなって悪かったよ。
 ……まあ、んな深刻そうな顔で言わなくても、伊吹なら言う前に了承するさ。あいつなりに心配してたみたいだからな。
 あいつにとっちゃこんなのは既に決定事項で、その先をどうしたいか考えてるんだろう」
「……そうか」

 その先。自分にしろ往人にしろ、まだ子供だと思っていた風子でさえも先のことだけを考えている。
 ここで死ぬなどとは微塵も思っていない。
 いや正確には、この島が出している死の臭気などもはや些細なものでしかないということなのだろう。
 それは逃げではなく、しっかりと現実を見据えた末の結論に違いなかった。
 不意に、眩しい光が芳野の網膜を刺激した。ようやく顔を出した太陽の光に、芳野は目を細めたのだった。
 本当の夜明けだ。恐らくはこの島で見る、最後の。

「いい朝日だ」
「ああ」

 そうしてしばらく、二人で太陽を見続けていた。
 絶海の孤島であるはずなのに、そこには外界へと通じる道があるように思えたからなのかもしれなかった。
 逃げ場はない、と言ったな。
 芳野は放送の主に言い返す。

 逃げるつもりは毛頭ない、とだけ言っておいてやる。貴様には、この朝日でさえ拝めまい。

     *     *     *

 曙光が眩しい。
 薄暗い所にずっといたからなのか、窓ガラスを通してでさえ朝日はリサを圧倒した。
 同時に、体内に蓄積していた疲労という名の澱みが瞬時に分解されてゆくのもまた感じていた。
 太陽にはそれだけの力がある。何の疑問もなくそう思い、リサは窓を開け、直に陽光を浴びてみる。

「……暖かい」

 こうしていると、それだけで不安までもが解消されてゆくような気がする。
 作戦、計画は練りに練ったつもりだったが懸念はいくらでもある。元々が分の悪すぎる賭けといって差し支えない。
 当たれば生き残り、負ければ死ぬ。加えて当たりを引き当てられる確率は五分にも満たないときている。
 果たして本当にやってみる価値はあるのだろうか――そんなつまらない疑問を、この太陽は掻き消してくれる。
 上手くいく。それだけの思いを結実させてひとつ深呼吸すると、朝の澄んだ空気が最後のしこりを洗い流してくれた。

「朝か……?」

 重たい声に振り向くと、そこでは寝ぼけ眼の高槻が気だるげに目を擦っていた。
 頷いてみせると、高槻は大仰に体を反らして「何時だ」と尋ねる。「七時くらいかしら」と答えたところ、
 「俺にしちゃ寝てたほうだな」ととてはそうは思えない、欠伸を交えた返答が来た。
 一番早く眠りについていたとはいえ、それでも三時間にも満たないはずの睡眠時間のはずだが、元気なものだ。
 自分が言えたことでもないと思い、リサは苦笑して「いい朝よ」と話題を変えた。

「だろうよ。ここにいても溶ける気がする」
「貴方は吸血鬼?」
「ばーか。吸血鬼は灰になるんだよ」
「知ってるわ。頭は起きてるみたいね」
「心遣い、痛み入るね」

 首をコキコキと鳴らしながら、高槻は軽口を叩いてくれる。コンディションは見た目ほどは悪くなさそうだ。
 体調管理を気にしている自分はこの時間でも軍人の性分が頭をもたげているのか、それとも親切心から尋ねたのか……
 判然としないまま、「それで、今後のことなんだけど」と続けようとすると「あーやめてくれ」と高槻が腕を交差させ、罰印を作った。

「いつもの俺はティータイムなんだよ」
「安物のコーヒーでしょう?」
「甘いね。栄養ドリンクだ」
「働き者なのね」
「人間は光合成できないんだ。太陽なんぞ浴びても何の得にもならんわ」
「そうでもないかもよ? 来てみたら、もやし人間さん」
「栄養ドリンク、プリーズ」
「Sorry.当店ではこちらの商品は取り扱っておりません」
「……しけてるねぇ」

 大袈裟に嘆息してみせると、高槻は重い腰を上げてよたよたとこちらに歩いてくる。
 頭は起きているが、体は全然眠っているようだった。
 いかにも科学者らしいと考えを結びつつ、代わりにあるものを取り出してみせた。

「煙草なら、あるんだけど」
「最高の栄養をありがとう」

 体も目覚めたようだった。軽快な動作でこちらに近づき、手を揉みながら媚びた笑いを浮かべる。
 ヘビースモーカー……とまではいかなくとも、それなりの喫煙者であることは察しがついた。
 この数日、吸う暇もなければ体も飢えていたのだろう。少しくすんだ色になった、ふやけた紙の箱から煙草の一本を取り出し、
 ライターと一緒に投げて寄越す。高槻は器用にキャッチして受け取り、早速火をつけようとしたところで、ふとリサを眺めた。

「吸わねぇのか」
「私はスモーカーじゃないのよ」

 ならなんで煙草を、と言いたげな高槻の目線に苦笑で応じてみせると、
 大体のことを察したらしい高槻がライターの火打ち石から指を離した。

「いいのか」
「使ってあげて。その方が……彼は喜ぶから」
「……コブつきかよ。つまらねえ」

 男女の関係を察知したらしい高槻が、嫌味か妬みか、それとも何か別の感情でも抱いたのか、本当につまらなさそうな口調で言い、
 それでも煙草に対する未練は捨てきれないらしく、火をつけて吸い始めた。
 吐き出した白い煙は、リサの開けた窓から外に吸い込まれ、空を目指すかのように昇りながら消えてゆく。
 煙の匂いは僅かに甘味を帯びていて、持ち主である緒方英二の人間性を表しているかのようで、彼らしい選択だとリサは思った。

 愚直なやさしさしか示せなかった、不器用に過ぎる男。ただ、はっきりと好意を持っていることはリサにも分かり、
 上手くやっていけるだろうとも思っていた。だからこそ、英二がこの場にいないことが寂しすぎた。
 辛いのでもなく、悲しいのでもなく、寂しい。ここにいないことがあまりにも惜し過ぎた。

「くそっ、美味いもん使いやがって……」
「貴方と違って、洒落た人だったのよ」
「惚気かよ。聞きたくもないからやめろ」
「寂しいの?」
「うるせえよ」

 怒ったように煙を吐き出して、高槻はボリボリと頭を掻いた。分かっているのかもしれなかった。
 このように寂しく思えることの、それだけの信頼があったのだということを。
 それを惚気と表現するのなら、そうなのかもしれない。悪くないなと悪戯な気持ちを覚えながら、「もう一本どう?」と尋ねてみる。

「結構だ。砂糖吐きそうだよ。甘すぎてな」

 どうやら一本吸って欲よりもプライドの方が勝り始めたようだった。
 少しだけども、本気で残念がっている自分がいることに気付き、それだけの余裕はできたらしいと自覚することが出来た。
 煙草を服の内側にあるポケットに仕舞い、リサはそこにある存在を確かめた。

 英二とは、まだコンビを組んでいる。宗一には悪いが、英二がまだ自分にはベストのパートナーだった。
 もう一度窓から外を眺める。正確には、煙が消えていった空を眺めた。
 先に帰ったのかもしれない。自分とのディナーを予約するために。
 少し自信過剰だろうかとも思ったが、これくらいが自分らしいとも思い、「すぐ行くわ」と返事しておいた。

「ん?」
「何でもない。休憩はいつまで?」
「あー……芳野とかが戻ってくるまで」
「余った時間に煙草はいかが?」
「悪りい、俺健康主義になったんだわ」
「あら残念」

 こうしている自分は、さほど変わりはしていないのかもしれないとリサは思った。
 でも、それでいい。でしょう?
 自分らしいとはこういうことなのだろうと納得して、リサは窓辺に腰掛け、頬を撫でる風に身を預けた。




【時間:3日目午前07時00分ごろ】
【場所:D−6 鎌石小中学校】

那須宗一
【状態:怪我は回復】
【目的:渚を何が何でも守る。寝てる】 

スモーカー高槻
【状況:怪我は回復。主催者を直々にブッ潰す。煙草を吸ってご満悦?】

芳野祐介
【状態:健康】
【目的:思うように生きてみる】

一ノ瀬ことみ
【状態:左目を失明。左半身に怪我(簡易治療済み)】
【目的:生きて帰って医者になる。聖同様、絶対に人は殺さない。お風呂タイム中】

リサ=ヴィクセン
【状態:どこまでも進み、どこまでも戦う。全身に爪傷(手当て済み)】

川澄舞
【状態:往人に付き従って行動。強く生きていたいと考えている。両手に多少怪我(治療済み。支障は全くない)】
【その他:往人に対して強い親近感を抱いている。剣道着を着ている。寝てる】

朝霧麻亜子
【状態:鎖骨にひびが入っている可能性あり。寝てる】
【その他:体操服(上下のジャージ)を着ている】

国崎往人
【所持品:スペツナズナイフの柄】
【状況:強く生きることを決意。人形劇で舞を笑わせてあげたいと考えている】
【その他:左腕に文字を刻んだ。舞に対して親近感を抱いている】

古河渚
【状態:健康】
【目的:人と距離を取らず付き合っていく。寝てる】

ルーシー・マリア・ミソラ
【状態:生き残ることを決意。髪飾りに美凪の制服の十字架をつけている】
【目的:まーりゃんはよく分からん。寝てる】

ほしのゆめみ
【状態:スリープモード。左腕が動くようになった。運動能力向上。パートナーの高槻に従って行動】

藤林杏
【状態:軽症(ただし激しく運動すると傷口が開く可能性がある)。簡単には死ねないな。お風呂タイム】

姫百合瑠璃
【状態:死ぬまで生きる。浩之と絶対に離れない。寝てる】

藤田浩之
【状態:歩けるだけ歩いてゆこう。自分を取り戻した。寝てる】
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