思巡




ゲーム開始地点の無学寺を出て、二人は森の中を道路と平行に慎重に南下していった。
レーダー頼りに他の参加者との接触を避けてきた為、いまだ他の参加者との遭遇はない。
少し足を休め、二人は休憩した。
珊瑚が水を取り出すのを見て、瑠璃はまだ自分のデイバッグを開けていない事に気が付いた。
瑠璃がデイバッグを開けると、そこには……

「拳銃……やな」
「良かった……これでうちさんちゃんの事守れる……」

珊瑚は少しだけ考えを巡らせたあと、
「瑠璃ちゃん、簡単に撃ったりしたらあかんで」
「何でや、さんちゃん。うちらが身を守る為にはしゃーないやん?」

こつん
軽く、本当に軽く珊瑚は瑠璃の頭を小突いた。
「さんちゃん、何するんや」
「瑠璃ちゃん、小突かれたら痛いやん? そんなんで撃たれたらもっと痛いに決まってるやん?
うちは瑠璃ちゃんが傷つくんが一番嫌やけど、瑠璃ちゃんが誰かを傷つけるんも……嫌やで?」
「……分かった。 さんちゃんがそういうんやったら……つかわへん」

(だけど、本当にさんちゃんが危険な目に遭いそうになったら……うちは撃つで……)
(早く何とかする手立てを考えんと……瑠璃ちゃんに手を汚させへん為にも……)

二人、心に思いを巡らせながら……
目指すは氷川村。




【85姫百合珊瑚】
【時間:午後3時】
【場所:H-08、他の参加者を避ける為、森の中を移動】
【支給品:レーダー デイバック】
【状態:氷川村を目指しつつ警戒行動】

【86姫百合瑠璃】
【時間:午後3時】
【場所:H-08、他の参加者を避ける為、森の中を移動】
【支給品:シグ・サウエルP232(残弾8)デイバック】
【状態:氷川村を目指しつつ警戒行動】
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