クジ運




このバトル・ロワイヤル。不運な人はナイフとかそんなもんだけの時もある。
だが、稀に。大当たりする奴もいる。彼女がそうだった。

彼女の支給された鞄の中には、何も入っていなかった。
入っていたのは、IDカードのような鍵と地図だけ。

『彼女』は、必死になって鞄の中から出てきた鍵と紙を頼りに、C06-C07の境目あたりの海岸線にきていた。
そこに地図に『武器』と×が書かれた記号があったからだ。どうもそこにしか支給品はないらしい。

ひたすら、そこを目指す。というよりも目指さざるを得ない。彼女だけ食料すら支給されてないのだ。
森の中を、海岸を、ひたすら歩く。ただ歩く。
そうするとそこに、果たしてコンクリートで囲まれた、一つの扉。
鉄で出来た分厚そうな扉が一つだけあり、その横にカードが差し込めるようになっていた。
何もないので、彼女はそこにを差し込む。

開かない。じゃあ東京三菱UFJ銀行のキャッシュカードなら開くかとか、どうでもいい事を試した。
もちろん開かない。仕方なくもう一回そのカードをゆっくり差し込んでみた。

すると、鉄で作られた分厚いドアがゆっくりと、自動で開いた。
中は、真っ暗な道がずっと続いている。
その暗い道を一人で歩いていく。
またカードを挿すドア。何度も何度も行くと、そうすると、大きい部屋にたどり着いたようだった。

そばにスイッチがあるので、それをつけると。
その部屋や通路も含めて全部に電気がついた。


明かりをつけると。周囲の状況が全部わかった。

まるで要塞のような、総コンクリートと鉄筋の壁。ミサイルの攻撃ですら防げるのではないだろうか。
そして、その中に大きな鉄の壁。
あまりに巨大なものが目に入った。そのそばに武器も糧食も全部揃っており、さらに説明書きも書かれている。
糧食が日本製でないことは明らかだった。どうもフランスかドイツ製の缶詰のようにも思える。
水もあるが、何故かヴォ○ビック。日本国生産の物ではない。
つまり総じて他よりグレードが高い。誰かこんな糧食をほかに支給されている人間がいるんだろうか。

しかもどうも、この要塞、トンネルになっているらしい。
C6と、C7の海岸線からそのままG06-H07の交差地点までこの人一人入れるぐらいのコンクリートトンネルが続いており、
地図で見ると、G2-H2の境界線と海岸線の交差地点までトンネルが続いている。そしてもう一つは逆方向、GとHの交差する
09地点までこのトンネルが(地図で言う)東西に走っている。
 そして、ここのトンネルは仮にC6地点の爆破があったときもここのトンネルは別地域として見られるようだ。
 ここのトンネル全体としてはA10地点としてみると周囲のポスターに書かれている。

この広い部屋はF6とF7の交差地点なのだろう。地図上ではそうなっている。
ここでは簡単なソファーとテレビまで見れるようだ。実際に電気がつく。台所みたいのまである。
武器として支給されたものの確認。まず。500S&WマグナムとS&W M500が100発とデザートイーグルと50AE弾100発。
防弾アーマー。34徳ナイフ、ナタ、そして…



「・・・・・・・・」
「マジですか…」

部屋の大部分を占めている巨大な機械。ガンダムみたいなもの。そして操作説明書もそばにおいてある。

                『アヴ・カミュ操作説明書』

鉄の壁にカードを入れて開く。そうすると、外の光が中に入ってきた。
そして自分は主婦の格好。エプロンしたまま拉致られて、手には最初から持ってたおたまだけ。
後ろの軍事基地みたいのと比べてもあまりにもアンバランスである。




116 柚原春夏
   位置:要塞(F6‐F7交差地点/神塚山中腹。ルール上ではこのトンネル内はA10として見る)
   武器 【アヴ・カミュ】【500S&Wマグナム】【デザートイーグル】
      【おたま】【防弾アーマー】【34徳ナイフ(スイス製)】【ナタ】
   状態 【微妙に疲労】
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