ここから先のすべては蛇足である。 物語は既に完結している。 世界は救われ、人々は日常へと帰った。 この先に得られるものは何もない。 そこにあるのは取るに足らない答え合わせと、愚にもつかない辻褄合わせ。 描かれるのは一人の敗者と一つの祝福。 繰り返して警告する。 ここから先のすべては、蛇足である。 ****** 葉鍵ロワイアル3 ルートD-5/終章 「生」 ****** そこには花が咲いている。 「神さま、しんじゃったね」 「そうだね」 儚げに天を仰ぐ、白い、白い花。 「もう、くりかえせないね」 「別に構わないさ」 見渡す限りの一面に咲き誇る花の仰ぐ天に、光はない。 「いいの?」 「ここは僕たちが生まれるに価しなかった。結局それだけのことさ」 闇夜に日輪はなく、 「……そう」 「それとも、もう一度始めてみたかった?」 星の瞬きすらもない。 「……さあ」 「なら、いいじゃない」 そこにはただ、 「……そうかもしれないね」 「最後の世界が終わるまで、どのくらいかかるかな」 赤い、赤い、瞳のような、 「……」 「ま、いいか。どうせいつかは終わるんだから」 月だけが、浮かんでいる。 【時間:すでに終わっている】 【場所:世界の終わりの花畑】 岡崎汐 【状態:――】 少年 【状態:――】 - BACK