新米家政婦と御姑さんと御局様




水道の流れる音が聞こえる、割烹着を着た少年は手馴れた手つきで食器をを洗う。
「ちょっと、まだ!?時間かかりすぎよ。」
彼の速度が遅くは無いにもかかわらず、割烹着を着たボブカットの少女は彼を急かす、つまりは彼をからかってるのだ…。
彼女の名前は広瀬真希、愉快愉快と椅子の上に腰をかけて食後のお茶をすすっている。すると
「はあぁっ…御姑さんは厳しいねぇ〜。」
割烹着を着た少年、北川潤は冗談の口調で溜息を漏らし水道の蛇口を止める、つまりは食器を洗い終えたのだ。
「…家政婦さん洗い物コンプリート。」
まるで台本を棒読み用に呟くのは割烹着を着た遠野美凪、
たまねぎハンバーグのタネを右手と左手でキャッチボールして空気ぬきをしている最中。

「さ〜て、次は部屋の掃除よ、ほらっ、サッシがこんなに汚れてる。」
楽しそうな口調と共に人差し指でサッシのホコリをすくい上げ北川に見せる広瀬
…その姿はどう考えても御姑さんそのもの。
「楽しんでるだろ…。」
ジト目になりながら…広瀬を見る北川。
「あははははっモチロン、本当ならアンタは本来なら裸エプロンならぬ、裸割烹着の刑で洗い物をするはずだったよ、有り難く思いなさい♪」
「マジかよっ!て言うかオレの裸割烹着姿が見たいのかよ!!」
「マジよ!!」
本気とも冗談とも取れる口調で言葉を交わす広瀬と北川。
「………ぽっ。」
「ヲイヲイ…。」
「この娘って子は…。」
よく解らないが北川広瀬遠野の凸凹□トリオは順調に機能してるのだった…。


「で…なんでこんなとこに来たの?」
寸劇の閉め時だと感じたのか話を切り替える広瀬…今度は目が真剣そのもの。
「普通に考えたらご飯を食べに来たなんてウソに決まってるもの、だからと言ってアタシや遠野を殺しに来たとも思えない…。」
黙々と推理する広瀬、本気で北川が殺しに来たのなら、今頃美凪共々彼の持つ【SPAS12ショットガン】で撃ちされている。
「さあてね…。」
適当に誤魔化す北川、手には遠野に手渡されたお米券をヒラヒラと漂わせている。
徐に割烹着の下に着ている制服の裏ポケットから何かを取り出す、別に銃という訳ではない…ただの携帯電話だ…。
「携帯電話は通じないわよ。」
あたしも何度か試したんだからと言いたいのか、自分の携帯を取り出す広瀬。
「通じないよなあ…。」
そう言いつつもボタンを押す北川…勿論相手に繋がるはずも無く『ツーツー』としか音は出ない。
「だからアタシはそう言ってるでしょうが…。」
「だよなあ…。」
イラつく広瀬を気にしない北川、まったく取り合おうとしない、今度は給湯室の横に備えてある【家庭用の電話】の受話器に手をとる。
「それも切れてるって…アタシと遠野でご飯作る前に確認したもの!」
「電話線が切れてるな…これじゃあ助けは来てくれないな。」
割烹着姿の北川がそこでニヤリとした顔を広瀬に見せた。
「えっ…。」
広瀬は北川の笑顔と、そして何を言いたいのか良く解らなかった


給湯室のガスコンロからジュージューとたまねぎハンバーグの焼く音と匂いがする、焼いているのはもちろん遠野美凪
「…みちる」
フライパンの中のハンバーグが急にみちるに見えたかの用だった…。




【時間:1日目正午四時過ぎ】
【場所:鎌石村消防署】【C-5】
北川潤  (30番)
【持ち物:SPAS12ショットガン 防弾性割烹着&頭巾 水・食料、他支給品一式、携帯電話、お米券】
【状況:冷静・臨機応変 】
広瀬真希 (87番)
【持ち物:消防斧、防弾性割烹着&頭巾、水・食料、他支給品一式、携帯電話、お米券】
【状況:周囲警戒 】
遠野美凪 (69番)
持ち物:消防署にあった包丁、防弾性割烹着&頭巾 水・食料、他支給品一式、お米券数十枚】
【状況:順応、みちるのことが心配】

【その他】
【和の食材セット1/2】 【余り物(035)のおにぎり】【玉ねぎハンバーグ】    
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