悪魔の誘惑天使の邂逅




どないしょー……! 瑠璃ちゃんが……!
あかん……あかんよ〜……!
瑠璃ちゃんが……瑠璃ちゃんが……!
なんとかしてとめな……なにか……なにか……
!!
「瑠璃ちゃん! あかん! 逃げよ!」
その言葉に瑠璃ちゃんはびくっとなる。
よかった。
瑠璃ちゃんもきっと迷ってた。
「どうしたん!? さんちゃん!」
「これ! 誰かおる!」
そういってうちはレーダーを取り出す。
近くに自分達の近くに光点。
光点自体は動いていないが、こちらの武器はそのものには攻撃力は無い。
ミサイルが飛んでくるまでは完全に無防備だ。
だからやめて?
やめて逃げよう?
そんな思いを込めて瑠璃ちゃんにレーダーを見せる。
「……そやね。はよ逃げな。だれもおらんとこに……」
「うん!」
よかった。
やめてくれた。
瑠璃ちゃんにこんなことさせたない。
「こっち!」
瑠璃ちゃんの手を引いて駆け出した。




ここは……
「さんちゃん、ここは……?」
「うん。神社みたい……」
だれもいないほうにと山を降りてきたら神社に出てきてしまった。
山を降りれば、きっとあの武器も使えなくなる。
そう思いながら。
「…………まぁぁぁ! る……!」
「さんちゃん?なんか聞こえへん?」
「うん……あれ?ひとつ、すごい動いてる光がある……」
「こっち来てる?」
「どやろ……下の道通ってるからこっち来るのかわからんし……」
「でも、こっち来るかもしれへんのやろ? あかんよ! 隠れな!」
「う、うん!」
近くの茂みに隠れる。
声と光はどんどん近くなる。
それにつれて声が聞きやすくなってくる。
「さん……! 瑠璃さまぁぁぁぁぁぁ!!!」
!!!! この声は!
「瑠璃ちゃん!」
「さんちゃん!」
もう言葉はいらない。
瑠璃ちゃんの手を握って駆け出した。


「珊瑚さまぁぁぁぁぁ!! 瑠璃さまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 貴明さぁぁぁぁん!」
やはり、のんびり探すことなんて出来ませんでした。
自分の安全を優先してゆっくり探している間に瑠璃様の身に何かあったら、私は壊れてしまうでしょう。
「何処にいらっしゃるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
この、心が。
何処にいる何処にいるこの壊れた島の何処にいるはやくみつけないとはやくはやくはやく
「いっちゃーん!!」
「イルファー!!」
!!!!!!!
弾かれた様に振り向く。
そこには。ああ、そこには。
私がずっとずっと求めていた愛しい人が。
「瑠璃様っ!珊瑚様っ!」
もどかしい。寸暇が惜しい。
この短い距離がもどかしい。
早く瑠璃様を抱きしめたい。
身体が瑠璃様を求めている。
瑠璃様。瑠璃様!瑠璃様!!
「いっちゃん!」
「イルファ!」
ああ、よかった。本当によかった。
瑠璃様を、珊瑚様をこの手で守れる。
「瑠璃様!珊瑚様!」
瑠璃様、珊瑚様は抱きついてきてくださった。
大きな涙をこぼしながら。
よほど、怖かったのでしょう。
本当に、よかった。


「いっちゃん、いっちゃん、いっちゃん……」
「イルファ……イルファ……」
「もう、大丈夫ですからね……お二人は絶対に私が守りますから……」
こんなゲームは、絶対に許さない。
私が、絶対に止めて見せる。
でも今は、もう少しだけこのまま……
抱きしめさせてください……
この、愛しい二人を……




姫百合瑠璃
【持ち物:デイパック、水を少々消費。携帯型レーザー式誘導装置 弾数3】
【状態:健康、安堵、軽い精神的疲労。最優先は珊瑚ちゃんの安全】

姫百合珊瑚
【持ち物:デイパック、水を少々消費。レーダー】
【状態:健康、安堵、軽い精神的疲労。最優先は瑠璃ちゃんの安全】

イルファ
【持ち物:デイパック、フェイファー ツェリスカ(Pfeifer Zeliska)60口径6kgの大型拳銃 5/5 +予備弾薬15発】
【状態:健康、安堵、冷静、ゲームを潰す決意。最優先は二人の安全。人探しは続行するつもり】

共通
【時間:一日目午後五時頃】
【場所:G-05】
【状態:周囲に他に人はいない】
-


BACK