特に異常無し。




G4地点。午後4時半くらい。

「お腹すいた」と綾香は言った。

開腹された腹をガムテープ巻かれたメイドロボと富豪。機械どもにはどうでもいい話だが
綾香と芹香は人間なんで最初からそもそも拉致された訳ですらないのだから当たり前なのかもしれない。

のんびり珊瑚だか翡翠だか瑠璃だか琥珀だか瑪瑙だか忘れたが技術者の首求めて探してると、
そこに、足元に一人の遺体を発見した。セリオが近づいて情報照合を行う。

「データ照合。TH2です。045番、小牧愛佳。生年月日5月1日。死亡日は本日。A型 B83W58H84身長154cm。」
「あらら」
「首輪内の住民基本台帳情報から算出すると生存時間は6432日19時間33分。殺害コードは39」

「WikiによるとTH2はLeafの総力を結集した大作であるが、『To Heart』においてシナリオを担当した高橋龍也
 青紫や、原画担当の1人水無月徹らが既に退社していることもあってか、登場キャラクターなどが一新されており前作との
 相関性は薄いとなっております。」
「そこはどうでもいい」と綾香は念を押す。

  綾香:「ていうかコケシに戻ってきてもらっても困るというLeafキャラとしてのココロの声」
 セリオ:「綾香様、口に出してます」



「にしても、随分綺麗に頚動脈切れてるわね」
たしかに、愛佳の首の4分の1だけ切れた状態でこと切れていた。

「はいなんまんだなんまんだぁ」と綾香は手を合わせた。そして直ぐ
「じゃ、ここで飯でも食うか」と振り向く。こくこく首を振る姉。無表情なHMX-13。

「ここでですかぁ?」とイルファは驚きを隠せなかった。
  綾香:「なんか困る?」
イルファ:「別に」
いくら人間の心持ってるといっても所詮は機械である。こいつも人の生死にはいまいち鈍感だ。

「じゃあ、携帯用の食料を・・・」とイルファが鞄あけようとすると、
「誰がそんなもん食うって言った?」と綾香が首輪を持って話し出した。

「え?」

「久瀬クーン」と首輪に話しかける。
『はい』


───10分後。防衛軍の輸送ヘリCH-48 チヌーク(ライセンス・来栖川工業)が綾香の目の前に下りてきた。
   ヘリには十字の病院によくあるようなマークが書かれていた。

「・・・あ」
イルファは驚いた。既に中に旅客機のファーストクラス並みの料理が準備されているのだ。
あきらかに主催者じゃないとできない暴挙。流石に機械の背筋も凍る。


イルファはそっと綾香らの鞄を覗き見た時だったが、。

綾香と芹香の鞄は、いろんな火器やアイテム・弾薬・薬剤その他が大量に入ってるが
とにかく中の携帯用の食料や水ですら他の奴等とぜんぜん違う。
イルファに支給されてるのは生産地大阪のおいしい水とかかれた軍支給品だが
こいつらだけヴォル○ックやエ○アンでしかも念のため携帯用浄水器や水浄化剤まで入ってる。

糧食にしても、こいつらだけはフランスやドイツ製のレーションでしかも特別製のようだった。
牛肉とニンジンのシチューとかそんな感じの内容が外国製の品のよい形の缶詰に書かれてる。
それとは別の糧食もフリーズドライで軽く持ち運びが出来るようにわざわざ別パック。

他の奴等の食料はカンメシか乾パンであとは軍製造の『いやっほぅ〜元気最高!』とかいう
妖しげな栄養ドリンク程度なのに。

(・・・これなのにしかも補給アリですかぁ?ねえ・・・)
機械の心ですら無体と思うこの心情。




何のためにこの糧食があるのかすらわからない。しかも鞄は微妙に他の奴の1.5倍くらい大きいし。
しかも、スーツのバージョンアップまでしてる。銃弾再補給や対衝撃吸収用の物を体に付け始めてた。
武器を持った兵が何人か外に出る。「強化兵部隊」とやらが今、ヘリの護衛をしている。
近づけないようにする為だろう。名札には『御堂』とか書かれてる。あと数人。

ヘリの中の坂神という名札つけた男に綾香が話しかけている。
「小牧愛佳ってのが死んでる。保存状態いいから回収して」といった。

男は「はぁ」とため息をつく。
「なんでこんな国になっちまったんだ」
「知るかよアタシが」と綾香が返す。

「バトロアに参加しないだけマシでしょ?」
「まあそりゃそーなんだが」
「あんたら恵まれてるのよ?少しは感謝してほしいわ」
「まあな」

そして、愛佳の死体がヘリの中に運び込まれた。


イルファ:「愛佳さんの死体・・・どうする気なんですかぁ?」
  綾香:「うーんと、多分、他の主催者用に展示?」
イルファ:「・・・」
  綾香:「姉さんの話だと、プラスティネーションの技術を使って永久保存できるらしいのよ。
      だからすっ裸にして人○の不思議展の標本のように乳房とか全部保全できるようにして、
      17歳の健康な美少女全裸標本か剥製として金持ち用の裏オークション?」
イルファ:「プラスティネーション…オークション・・・」
  綾香:「買う奴は金持ちや政治家に多いのよ〜バトロアだから死体どうにでもできるし。
      そもそもこういうときじゃないと作れないしね〜仕方ないんじゃない?」

『綾香さん。できるだけなら妹の小牧郁乃のもお願いします』と首輪の中から声がする。
「OKできるだけやってみる。姉妹同時剥製なら金も上がるって?」
『まあ話ではそうらしいです。九品仏って奴の話だと』
「・・・わかった・・・見つけたらできったけ綺麗にやってみる」
『はい』
「理奈由綺はしないわよ。アレはバレるとマスコミがうるさいからさ」
『ええ。一般人だけっす』

 さっさと食事終わった後、愛佳の体を載せたチヌークはゆっくりと飛び去っていった。
 あのまま島の外まで飛んでいって、久瀬の別部隊に引き渡されるのだろう。

 「もうすぐ放送入るわよ。入れるように言っておいたから」と綾香は言った。




【45 小牧愛佳  死亡     遺体は軍で回収⇒オークションに】
【来栖川綾香・芹香・セリオ  既に首輪は自分で外している。
               パワードスーツはトラとの戦いの経験から耐衝撃性を向上。銃弾は補給済。
 イルファ          首輪が逃げられない様に爆発量を少なくされて続行】
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