生みの親はずりーよ




 カタカタカタカタカタカタカタカタカタ

「な、何をしてるんですか! 超先生!」

 カチカチカチカチカチカチカチカチカチ

「諒がやられたんですよ! もうすぐあいつが迫ってくるんですよ!」

 恐怖に陥った滝沢が超先生へと声をかけつづけるが、超先生はひたすらモニターへと向かって作業をしている。

「そんな事してる暇があったら、早く何か対策を!」

 SSSランクである超地球人3の春日が負けたのだ。
 ただの超地球人にしかなれないSランクの滝沢は焦った。

「逃がしはしない」

 扉を開けて祐一が再びコントロールルームへと入り込んでくる。

「あ、あわわわ……」

 その姿を見た滝沢が怯えながら超先生の方へと後ずさりする。

「……どうした超先生。恐れて声が出ないのか?」

 ピタッ。
 音が鳴り止む。
 作業を停止した超先生が椅子に座ったまま振り向く。

「…………春日は十分役に立ったよ」
「はっ? SSSランクでもこのXランクの俺の前には塵も同然だったんだぜ?」
「いやいや、奴の稼いだ時間は十分だった……おかげで何とか該当部分を終わらせれたよ」
「ちょ、超先生……」

 滝沢が名前を呼ぶのと同時にゆっくりと椅子から超先生が立ち上がる。
 不可思議な超先生の台詞と行動。
 
『…………この身は盗作でできている』

「念仏か? せっくだ。あいつと同じ技で葬ってやる」
            
『……血潮はインスパイアで心は模倣』

「イベント……」
           
『幾たびの叩きを超えてへこたれず。
 ただ一度の弁解もなく、ただ一度の謝罪もなし』

「ホラ……」
                 
『パクリ手はここに孤り、盗作の末に有り続ける』

「ズン!!」

『ならば、我が生涯にオリジナルは要らず。
 この体は…………無限の盗作で出来ていた!!』

「こ、これは!」

 滝沢が叫んだ。
 超先生の詠唱が終わると共に辺りの空間が一転する。
 無機質のコンピューターだったはずのそこは辺り一体砂漠のような赤い世界へと変質した。

「何の技か知らないが既に遅い!!」

 しかし、祐一の手から放たれた無は超先生を包み込む。

「終った」

 その様子を見た祐一は満足げに呟く。
 そして踵を返して次は滝沢を狙おうとした時、

「おかしい、空間が壊れない……?」
「クックックック……当然だ。この技は貴様の為だけに生み出されたのだからな」
「なんだと!? 存在そのものが無事!? そんなはずは!?」
「あのゲームでこの発想を思いつかなかったら危なかったかもしれない」

 そして超先生を包んでいた虚無がゆっくりと晴れていく。
 すると段々と出てくる無事な超先生の姿、その横に一人の男が立っていた。

「この私がFa○eをプレイする事によって目覚めた奥義……Unlimited Great Teacher」
「超先生、それは目覚めたのではなくとうさ……「インスパイアだ!」
「はい」

 突っ込みかけた滝沢だが超先生の一括で口答えをするのを止めた。

「だ、だが、そんな技でXランクを防げるとでも!」

「やれ」

 超先生の一声と共に横に現われた男が祐一へと襲い掛かる。

「消せないなら、実力で倒すのみ! くらえ!」

―――超神滅剣最大奥義ラグナロク―――

 祐一から放たれた奥義が男を襲う。
 ……しかし。

「無傷!? そんな!?」
「喰らえ」

 祐一の奥義をかき消し、男は距離を詰める。

―――秋浜流<一刀両断>

「こんなただの剣術……ぐはっ!」

 その一撃で祐一の肩がざっくりと切り裂かれる。

「俺の『七式斬撃剣』はどうだぁ!」

 突然、男の手の元に現われた大剣で祐一は再び切りつけられた。

「な、なぜ……」

 ふらふらと祐一が下がる。
 その顔は信じられないといった驚愕に満ちていた。

「まだ気づかないのか……目の前の男が何ものであるのかを。
 彼こそは

 ……斬魔大先生! 貴様が決して敵う事の存在だ!」

「そ、そんな存在がいるなんて……」

「斬魔大先生だけじゃないぞ? 見せてやろう全てを超えし先生にのみ与えられた超先生の称号。
 その私がなすUnlimited Great Teacherの真の力を!
 いでよ! 秋雨! 蒼竜! 倉田大介!」
「こ、これは……」
「これがUnlimited Great Teacherの能力、この世のありとあらゆる先生、大先生と呼ばれし者達と順ずる者を自由に召還し使いこなす事ができるのだ。
 相沢祐一、しばらく島の方で遊んでいて貰おうか」

 ザッ。
 超先生が手を上げると四人の名だたる作家達が祐一を取り囲む。

「やれ!」

 そして超先生が手を振り下ろすと四人は一斉に詠唱を始める。

「「「「ワルヤテシンイフウカンナエマオワルヤテシンイフウカンナエマオ」」」」

(封印の言葉までパクリですか)
 
 滝沢はそう思ったが口に出すのは止めておいた。

「く、くそう!」

 もがけどもがけど祐一は四人の囲みから逃げ出す事ができない。

「さらばだ、しばらく島で遊んでいたまえ」

 そして四人の詠唱が終わりを告げる。

「「「「―――はろーあげいん―――」」」」

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」

 言葉と共に祐一は島の地上へとテレポートさせられる。
 このアジトへは戻ることのできない封印をかけられて。


「や、やったんですか……」

 元の部屋に戻ったコントロールルームで滝沢が呟いた。

「うむ、やはりU-1の隔離ははろあげが一番だな」

 そう言った超先生の顔は、一仕事を終えた者の清清しい物だった。




『相沢祐一(001)』
【時間:一日目12:10分頃】
【場所:島のどっかへ飛ばされた】
【持ち物:世界そのもの。また彼自身も一つの世界である】
【状態:真唯一者モード(髪の色は銀。目の色は紫。物凄い美少年。背中に六枚の銀色の羽。何か良く解らないけど凄い鎧装着。はろあげ(隔離)のせいで主催本拠地に行く事ができない)】
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