自分の安否を報告するスレッド 1:藤林杏:一日目 12:34:08 ID:ajeogih23 自分が今、どういう状態にあるか、報告するスレッドです。 報告して知り合いを安心させてあげてください。 私は、今は無事です。さしあたっては当面の危機もありません。 それから、私は積極的に人を殺そうとは思っていません。攻撃された場合は別ですが。もし、あたしを見つけても撃たないでね。 みんな、希望を捨てちゃ駄目よ。生き延びて、みんなでまたもとの町へ帰りましょう! 「まだ書き込みはナシ……か」 彼女は鎌石消防分署の一室でノートパソコンを眺めていた。 民家を出たのはいいが当ても無く彷徨うのは危険と判断し ここ鎌石消防分署に身を潜めることにした。 「みんな……まだ生きてるよね……?」 杏はふぅとため息を吐き、まだ誰の書き込みのない 『自分の安否を報告するスレッド』を閉じた。 1:死亡者報告スレッド/ 2:自分の安否を報告するスレッド 「――ッ!?」 トップページに新たに立てられたスレッドの名前に杏は釘付けになる。 ――死亡者報告スレッド。 もしあたしの大切な人達の名前があったら―― 杏は恐る恐るそのスレッドにカーソルを合わせクリックした。 1:びろゆぎ@管理人:一日目 14:05:00 ID:haKarowa3 ここは定時放送までガマンできないせっかちな人のための死亡者報告スレッドです。 更新は随時行われますので気軽にご覧下さい。 2:びろゆぎ@管理人:一日目 14:05:01 ID:haKarowa3 PM14:00:00時点の死亡者一覧 002藍原瑞穂 013岡崎直幸 015緒方理奈 027河島はるか 063篁 ――岡崎直幸。 見覚えのある名前、朋也と同じ苗字。 「もしかしてこの人、朋也の――」 朋也は普段、自分の家族についてあまり語りたがらない。 春原から少し聞いたことがあるだけだ。 父子家庭で父親との仲は良くない、と。 「朋也……」 杏はいたたまれない表情でスレッドを閉じ、パソコンを電源を切る。 既に五人の尊い命が失われている。 それは積極的にゲームに乗った人間がいることの証左だった。 「椋……今は無事だけだけどもし……ううん、そんなネガティブなこと考えては駄目。 藤林杏、今あたしができることだけを考えるのよ」 【藤林杏(009)】 【時間:午後二時過ぎ】 【場所C−06鎌石消防分署】 【持ち物:ノートパソコン(充電済み)、包丁、辞書×3(英和、和英、国語)】 【状態:精神的に少し動揺】 - BACK