正しくはメルボルン




「にょわ〜!変なのがいるっ!」
「ちょっと待て、俺のどこが変なのか言ってみろ」


場所は春原神社の境内の雑木林の中、ここにいれば知り合いに会えるのではないかと期待して待っていたんだが、
いつしか気づいたら寝てしまっていた。
「うわ、アホな子か、俺は」
こんな極限状況の中で居眠りとは、自分のことながら情けない。
探さなければならないやつはたくさんいた。親父に級友、その家族。
でも闇雲に歩き回るより知り合いと同じ名前の神社にいれば合流できると踏んだわけだが・・・
「我ながら情けねぇ」

そこで、ふと気配がしたような気がした。
慌てて息を潜める。
(こども・・・か?)
まだ年端もいかない小さな子が重そうにデイバックを引きずりながらこちらのほうに歩いてくる。
(さて、出て行くべきか否か)
考えあぐねていると、そいつはこっちを指差しこう抜かしやがった
「にょわ〜!変なのがいるっ!」

「仕方ねぇだろ、俺のバックの中身がこれだったんだから」
俺は『お誕生日セット』を見せながらこう答えた。
「でも普通つけないよ。こんなのつけるのは体だけ大きくなったかわいそうな大人だけだよ」
三角形の帽子を指しながらゲラゲラ笑ってやがる。
まぁ、確かにこの帽子が雑木林から飛び出してる光景は笑えることだろう
「これをつけてるだけで擦り寄って来る知り合いを一人知ってんだよ」
「へぇ、そうやって相手を油断させてザックリいくんだ。変人殺人鬼だ〜」
「まずてめぇからザックリいくぞっ!!」
「みちるキーーーーーーーックっ」
「ぐはっ」
「お前みたいなやつにやられるほど落ちぶれてなんかないよーだ」
腹を抱えてうずくまってる状態で言い返せるはずもなく
「みちるは美凪を探さなくちゃいけないんだ、変人殺人鬼に構ってられるか」
そう言って駆け出そうとするそいつの足首をつかむ
「ちょっと待て。どうせなら二人で行動しないか?」
「にょわ?」
「どうせなら二人で行動したほうが安全だろう。俺の知り合いもお前の知り合いと一緒にいるのかも知れないし」
「嘘つけっ!そうやって油断させてみちるを食べる気だな」
「違う、こういう状況では協力しあうのが定石だろ」
それに・・・こどもをほっとく訳にも行かないしな
「むむ〜、名前なんて言うの?」
「俺か?岡崎朋也だ」
「岡崎・・・どことなく変態誘拐魔と似てる・・・」
「お前の知り合いにはそんなのがいるのか・・・」
「しょうがないなぁ、変人殺人鬼が人を食べないように見張ってやるか」
「はぁ〜、はいはい」
こうして俺とこのへんなの珍道中が始まった。




岡崎朋也 
【時間:夕方(第一回放送終了後?)】 
【場所:正しくは菅原神社(E-02)】 
【持ち物:お誕生日セット(クラッカー複数、蝋燭、マッチ、三角帽子)、基本セット(食料その他)】
【状況:とりあえず知り合い探し】

みちる
【持ち物:基本セット、固有品(?)】
【状況:美凪を早く見つけてハンバーグ食べたい】


「そういえば名前はみちるでいいのか?」
「うん、みちるはみちるだよ」
「へぇ、オーストラリアの首都みたいだな」
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